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実績 - ハーネスエンジニアリング

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ハーネスエンジニアリング

AIに任せた仕事が、人が見張らなくても最後まで終わる。その仕組みを、御社の中に

OUR APPROACH

ハーネスエンジニアリングに対するARCHECOの考え方

AIが途中で止まる。AIが依頼の意図を取り違える。AIへのルールファイル「CLAUDE.md」に決まりを書いても、AIが守らない。AIの完了報告を担当者が確認すると、残件(終わっていない作業)が見つかる。開発や業務でAIを使うほど、担当者の確認と差し戻しが増えていませんか。
ARCHECOは、開発責任者や情報システム・業務改革の担当者と、停止や指示違反の原因を調べます。AIの判断を担うモデルを替える前に、既存の開発環境に不足する仕組みを確かめます。判断の基準、自動の検査、止まった作業を再開させる設定を加え、御社が運用できる手順とともに引き継ぎます。目指すのは、承認された範囲でAIが作業を続け、必要な判断を人へ戻す運用です。

開発チームの方は既存CI(変更ごとの自動検査)を使う進め方へ、業務部門の方は経費精算の例へお進みください。診断の見本では、原因の整理から効果の確かめ方まで確認できます。

下の録画は、ARCHECOが自社のハーネスの上でAIだけに作らせたアプリの操作画面です(自社検証)。

Spotify構成の音楽アプリ(開発 約10時間)
TikTok構成の短い動画アプリ(開発 約14時間半)
01 / 10実際に操作した画面の録画(無音・等速)。主要な画面と再生・操作機能の検証です。音源の品質・権利は未確認の範囲があり、動画アプリの決済・身元確認は未実装です。

ハーネスとは、AIに情報や道具を渡し、作業と結果を確かめる周囲の仕組みです。指示を受けて道具を使い、作業を進めるAIを「AIエージェント」と呼びます。ARCHECOは、AIだけにSpotifyとTikTokと同じ構成のアプリを作らせ、自社で検証しました。人は画面設計や開発手順を指示していません。AIが実装した範囲と、残った確認事項を次に示します。ブログ記事「ハーネスエンジニアリング|70人が15人になって分かったこと」の要点と、詳しい経緯へのリンクをまとめました。

10月24日の13時12分、ARCHECOの代表はAIに一文だけを送りました。「AI生成のみの音楽を扱うSpotifyはつくれるのか(中略)余力があれば、TikTokも開発して。」。そのあと打ったのは、「その都度あなたの判断で完全に決定して」「spotifyをそのまま作るのが重要。」「止めて」くらいです。代表は画面を設計せず、仕様書の作成や技術の選定もAIに任せました。依頼の目的は、店で流すBGMの有料配信を、AIが作った曲で置き換えられるかを確かめることでした。

約10時間後には、AIがSpotify構成のアプリの主要な画面と機能を実装していました。音源の品質と権利には未確認の範囲が残ります。Spotify構成のアプリは、ホーム・検索・ライブラリに加え、全画面のプレイヤーを備えています。プレイリストとオフライン再生ができ、店舗モードでは、時間帯に合わせて流す曲のチャンネルが切り替わります。一晩かけた8時間の連続再生テストでは、曲が205回切り替わり、停止もエラーも0でした。

同じ日に並行して作らせたTikTok構成のアプリは、開発に約14時間半かかりました。本家の公式ヘルプにある112機能のうち103が、本家と同じ操作で動きました。決済と身元確認は未実装です。どちらも既存の環境と無料枠を使い、追加の支払いはありませんでした。

ただ、その途中でAIは何度もつまずきました。Spotifyと同じ構成のスマホアプリを頼んだのに、AIは「店のBGMプレイヤー」という要約に引っぱられ、Webプレイヤーの調整と曲の量産を進めました。代表の指摘を受け、AIは途中の変更を退避し、スマホアプリに作り直しました。次の作業を選べずに止まることもありました。 夜9時にAIは完成を報告しましたが、報告書には4つの作業が「後回し」と書かれていました。各AIの報告を取りまとめる「まとめ役」のAIが、その報告を差し戻しました。スライドの「要確認54曲」は、機械の点検で基準に届かず、人の確認が必要な曲です。曲の品質と権利は、いまも人の確認が残っています。 このつまずき方は、ARCHECOが組織でAIを使う中で繰り返し見てきた課題とほとんど同じです。対策は、AIの周りに付ける仕組みと、使う人・組織の備えに分けて考えます。

ARCHECOは御社でも、AIへの指示を増やす前に、AIが判断と検証を続けられる環境があるかを確かめます。人の工程を順に自動化するだけでは、AIが判断に迷う場面や確認待ちが残ります。ARCHECOは、組織の基準で判断し、成果物を確かめる仕組みを先に作ります。その上で、御社の承認者が認めた範囲の仕事をAIに任せます。判断と検証の仕組みがあると、AIで動く試作を早く作り、試作を見て仕様を確かめる順番へ変えられます。

自社検証では、原文を渡し直し、見回り役が判断して作業を進めました。ハーネスの有無を比較した実験ではないため、環境だけの効果とは断定できません。ARCHECOは、モデルの能力を仕事につなげるには周囲の環境も必要だと考えます。

だから、ARCHECOは

ARCHECOは、御社のAIが止まった場面や意図を取り違えた場面、危険な操作の記録から調べます。影響の大きい原因から対処し、ルールや検証の設定、運用手順を御社へ引き継ぎます。事故からルールを書き足す担当と見直し方も決めます。以下では、対象となる課題と、ARCHECOが作るものを具体的に示します。

仕様書も画面の設計も無しで、AIだけがアプリを約10時間で作り切りました。差をつけたのはモデルではなく、AIの周りに付けた仕組みと、AIを使う人と組織の備えです。ハーネスエンジニアリングは、この2つを設計して作ることです。ARCHECOはその両方を作ります。

課題

  1. AIの「できました」は自己申告にすぎない。完了の定義を先に決め、作った本人ではない点検役と機械の検査が、事実と数字で確かめる。
  2. 文章の指示は守られる保証がない。必ず守らせたいものは、フック・権限・テストといった機械の検査へ移す。
  3. 同じモデルでも、周りの仕組みだけで成績が動く。LangChainはモデルを変えずにハーネスだけを直し、Terminal Bench 2.0の点を52.8%から66.5%に上げた。

出典:ARCHECOの進め方、日本HP『HP Tech&Device TV』によるLangChainの事例の紹介

この支援は、Claude CodeやCodexなどのAIを開発・業務に使うチームが対象です。夜間の操作記録が足りず、担当者がAIの操作を説明できない場合も扱います。判断材料や確認方法が欠けていれば、モデルを替えても同じ問題が残ります。ARCHECOは、使っているAIを組織の中で働かせる仕組みを調べます。

業務アプリそのものを作る場合はAIエージェント開発、生成AIの使い方を学ぶ場合は生成AI研修をご覧ください。

AIが途中で止まる、前提を取り違える、人が成果物を確かめきれない場合は、症状から直す場所とARCHECOが渡すものを選ぶ対応表をご覧ください。

上の「仕様書も画面の設計も無しで、AIだけがアプリを約10時間で作り切りました」は、主要画面・再生機能の実装を指します。自社検証の記録であり、環境だけの効果を示す比較実験ではありません。音源の品質と権利には未確認の範囲が残ります。

ARCHECOのアプローチ

  1. 文章のお願いで足りるものはルールファイルに、必ず守らせたいものはフック・権限・テストに置く。どちらに置いたかは一覧にして渡す。
  2. 最初から全部を作り込まない。AIが止まった場面、取り違えた場面、ひやりとした場面が出るたびに、欠けた仕組みを1つずつ書き足す。
  3. ハーネスを整えても、社内の決まり・人にしか許されない操作・使う人の腕は残る。だから人と組織の側も同時に整える。

出典:ARCHECOの進め方

ARCHECOは、停止や取り違え、危険な操作の記録から原因を集めます。AIの周りの7つの仕組み(ルール・道具など)と、人と組織の5つの備え(承認の場・担当など)に振り分けます。一覧は下の「依頼の型」に示します。欠けた仕組みと影響を確かめ、影響の大きいものから作って引き継ぎます。

文章で伝える指示は、守るかどうかがAIの判断次第になります。必ず守らせる決まりは、操作を制限する仕組みに置きます。Claude Codeなどの製品に最初から組み込まれた仕組みは「内部ハーネス」と呼びます。ARCHECOが作る対象は、使う側がAIに足して育てる仕組み「外部ハーネス」です。ARCHECOはルールと道具を整え、AIに許す操作の範囲である「権限」を設定します。既存のコードと検査を使う導入例は、症状別の対応表の直後に示します。

ARCHECOは引き継ぐ前に、作業を継続できるかを試します。成果物が合意した条件を満たすかの確認(検収)と、事故からの復旧も試します。戻せる対象は、履歴や保存済みの状態があるコード・設定・手元のファイルです。

外部への送信・支払い・確定したデータ更新は、この復旧では戻せません。戻せない操作は実行前に止め、人の承認を得てから進めます。事故時の連絡先と手動での対処を、御社と事前に決めます。承認後に誤りが分かった場合に備え、取消や誤りを打ち消す追加操作の手順も決めます。ARCHECOが御社と担当を決め、戻し方の手順書に事前に記載します。

承認待ちや社内の決まりが原因なら、ARCHECOは御社と担当・手続きを見直します。事故の記録からルールや設定を更新する担当と見直し方を決めます。御社内で仕組みを改善し続ける体制を整えます。

提供価値

  1. ARCHECOでは15分ごとの見回りが、止まったAIの画面を読み、組織の基準で分かれ道を決めて先へ進める。
  2. 完了の報告は、作った本人ではない点検役と機械の検査が確かめ、足りなければ差し戻す。人が見るのは、機械で判定できない品質と承認だけにする。
  3. ルールは最初から完成しない。書き足す担当を決め、使われないルールを消せる状態まで渡す。

出典:ARCHECOの開発記録・運用の決まり(2026年10月)

この支援で目指すのは、AIが承認された範囲の中で、組織の基準で判断して進める状態です。人の承認は、本番への反映・送金・顧客への送信・権限の変更のような取り消せない操作の前に置きます。どこまでを承認にするかは、社内の決まりと影響範囲で決めます。

必要な作業では、成果物を完了条件と照合する「点検役」を置きます。点検は、作ったAIとは別のAI、または人が担います。まとめ役は報告の取りまとめと差し戻し、見回り役は停止の確認と再開を担います。自社検証の報告書には、4つの作業が「後回し」と書かれていました。まとめ役のAIが、その報告を差し戻しました。ARCHECOは変更の記録と復旧手順を用意し、検証した範囲で速やかに戻せるようにします。任せる対象と責任者を決め、止める条件と戻せない影響も先に確認します。

ARCHECO自身も、この仕組みを自社の運用で作り、直し続けています。AIの停止を調べる15分ごとの見回りや、重い処理を順番に動かす制御がその例です。判断の型の自動読み込みに、記録と検収の決まりを組み合わせています。

自社検証の数字は下の実測値に示します。御社での効果は着手前後の数字で確かめます。

"ハーネスエンジニアリング|70人が15人になって分かったこと"記事を読む

注:関連記事の「70人から15人へ」は、代表が共同設立した開発会社の、グループ会社を含む従業員数の話です。昨年の70人に対し、記事執筆時点では年末に15人ほどになる見込みと記されています。この人数を御社への導入効果や削減目標には使いません。このページで扱うのは、少人数でも判断と検証を続けられる開発体制の作り方です。

"AIエージェントのセキュリティ|9つのリスクと6つの対策"記事を読む

ここからは、御社のAIの停止・取り違え・確認の負担を調べ、仕組みを作って運用へ引き継ぐ4段階を示します。

背景

Solution Flow

Window decoration

01

STEP 01

止まった場面・ひやりとした場面の棚卸し

依頼として行う棚卸しでは、ARCHECOがAIの停止・取り違え・許可していない操作の記録を集めます。御社の担当者と原因・影響を確かめ、7つの仕組みと5つの備えの欠けを数えます。社内の決まりと着手前の数字も確認し、原因の一覧と着手順を次の設計に使います。無料診断で返す短い整理を、記録に基づく一覧と設計の材料へ具体化する段階です。

すること

  • 停止・取り違え・事故の記録の収集

  • AIの仕組みと組織の備えへの振り分け

  • 社内の決まり(使えるAI・データの置き場所)の確認

  • 効果の測り方と着手前の数字の記録

御社へ渡すもの

  • 場面と原因の一覧

  • 欠けている仕組みの地図

  • 着手の順番と測る指標

ハーネスの設計と実装

ARCHECOは原因の一覧をもとに、御社と守る境界と完了条件を合意します。既存の設定を確かめ、不足する検査・権限やルールを実装します。見回りと隔離した作業環境も整え、検収と復旧を試します。設定で解決しない承認待ちは、人の担当を決めて対処します。以下は作る部品の一覧です。

すること

  • ルールファイルと判断の型の整備

  • 権限・フック(操作前後の自動検査)・サンドボックス(隔離した作業場所)の設計

  • 見回りと引き継ぎの仕組み

  • 自動の検証と別の目による検収

  • 変更ごとの戻し方と記録

御社へ渡すもの

  • ルールファイル・判断の型

  • ガードレール(危険な操作を止める仕組み)と権限の設定

  • 検収の基準と手順

  • 戻し方の手順書

人と組織の備え

承認待ちや担当の不在には、ARCHECOが御社と人・組織の体制を整えます。出島とは、既存組織のルール・承認・予算の区切りがAIの速さに合わないとき、本体の外に切り出す変革の組織・場です。AIの作業場を隔離する設定であるサンドボックスとは、役割が異なります。社内でまだ許可されていないAI・道具・進め方を、承認を得た別の場で先に動かすために設けます。ARCHECOは御社の情報システム部門(情シス)や法務と、置き場所と持ち込むデータを先に決めます。御社の承認のもと、試す範囲と管理担当・責任も定めます。データの扱いと社内への取り込み手順は、後半の「出島」の節で説明します。 ARCHECOは記録の残し方と人の担当を定め、実務でAIへの指示・判断を練習するコーチングを行います。組織のルールはAIが読める場所に置き、次の運用で更新します。

すること

  • 出島の設計

  • 人に残す操作と担当の決定

  • 使う人へのコーチング

  • AI前提の組織のルールづくり

御社へ渡すもの

  • 出島の設計書と安全の根拠(データの扱い・接続先・承認の記録)

  • 人の担当表と承認の線引き

  • 組織のルール集(AIが読める形)

運用と育成

導入後はARCHECOが御社と停止・事故の記録を読み、ルールや設定を直します。道具とモデルの更新に合わせて検証し、着手前の数字と比べて効果を測ります。更新の担当と手順を引き継ぎ、御社内で運用できる体制に移します。

すること

  • 記録からの定期的な見直し

  • ルールの書き足しと不要なルールの削除

  • 道具・モデルの更新の追従

  • 着手前の数字との比較

御社へ渡すもの

  • 効果測定の報告

  • 更新されたルール集

  • 社内で回す運用体制

SERVICE MENU

ハーネスエンジニアリングの2つの型

無料診断は、最初に調べる場所を整理する入口です。依頼の型には数えません。診断後に進める支援は、次の2つの型から選べます。AIの停止や指示違反には仕組みの設計・実装、承認待ちや担当の不在には組織の整備が中心です。一方からでも、両方を組み合わせても始められます。4段階のうち、段階1・2は主に「ハーネスを作る」、段階3は「組織を整える」で扱います。段階4のうち、仕組みの設定の修正は「ハーネスを作る」、社内の決まりと道具の選び直しは「組織を整える」で扱います。

  1. number 1

    AIは使っているが、止まる・取り違える・確かめきれない

    ハーネスを作る|ハーネスエンジニアリング

    ARCHECOは、AIの停止や取り違え、人が成果物を確かめきれない原因に合わせて、必要な仕組みを作ります。御社には、使っているAI・道具と許可する操作をお知らせいただきます。御社には停止の記録も共有いただき、承認者を決めていただきます。ARCHECOは原因を切り分け、文章で伝えるルールと機械で守る設定を実装し、検証と運用の引き継ぎを行います。以下は、AIの周りに作る7つの仕組みです。

    やること
    • AIが組織のルールに沿って働く仕組み(ルールファイル、判断の型、原文の渡し方)
    • AIに渡す道具(道具の自作・接続・壊れたときの直し方)
    • ガードレールの設計(越えさせない線、フック、人の承認が要る操作)
    • 止まらない仕組み(見回り、分かれ道での判断、引き継ぎ)
    • 安全な環境(権限の絞り込み、隔離、秘密の置き場所)
    • 成果物を検収する仕組み(自動の検証と、作った本人以外による確認)
    • 初期の事故に備える仕組み(変更ごとの戻し方、記録、定時の報告)
    成果物
    ルールファイルと判断の型/ガードレール・権限の設定/見回りと検収の仕組み/戻し方の手順書/効果測定の報告
    選べる契約
    受託(準委任:合意した業務の遂行を担う契約)/カスタマイズ開発受託(御社向けの機能を作る受託開発。完成責任などの契約条件は個別に確認)
    期間
    数週間〜
  2. number 2

    決まり・承認・人の腕が、AIの速さに追いつかない

    組織を整える|ハーネスエンジニアリング

    ARCHECOは、社内の決まりや承認待ちでAIの作業が進まない原因を、御社と整理します。御社には、使っているAI・道具と許可する操作をお知らせいただきます。停止の記録と社内の決まりを共有し、承認者も決めていただきます。ARCHECOは承認された実行の場を設計し、人の担当とコーチング、ルールの更新、道具の選定を支援します。以下は、人と組織の5つの備えです。

    やること
    • 御社の承認のもと、置き場所・対象データ・責任者を定めて出島を設計
    • AIにできない操作を人が引き受ける体制(本人確認・物理的な操作を担い、支払いと最後の承認の担当を決める)
    • 使う人の腕を上げるコーチング(何を言うか、いつ言うか、何を言わないか)
    • 組織のルールづくり(事故から書き足し、AIが読める場所で育てる)
    • 導入の支援と選定(モデル・道具・置き場所を比べて選び、更新し続ける)
    成果物
    出島の設計書と安全の根拠(データの扱い・接続先・承認の記録)/人に残す操作の担当表/コーチングの記録/組織のルール集/選定の比較表
    選べる契約
    月額顧問/受託(準委任)
    期間
    数か月〜

PROOF

ハーネスエンジニアリングの実測値

ARCHECOの自社検証で、実装した範囲と検査で見つけた問題を示します。再生試験の条件と残件は、下の「数字の条件と残件」をご覧ください。

number 1

音楽アプリの主要画面・再生機能を約10時間で実装(条件は下記)

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number 2

短い動画アプリの112機能中103が動作(条件は下記)

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number 3

完成アプリの一晩かけた8時間の連続再生テスト。曲の切替205回・再生の途切れ0回・エラー0回

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number 4

「完成」報告の裏で54曲が要確認(人の試聴は0曲)

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CASE TYPES

ハーネスエンジニアリングの実績(類型別)

数字の条件と残件:上の実測値はARCHECOの自社検証の記録です。音楽アプリは主要画面・再生機能の実装で、音源の品質・権利は未確認の範囲が残ります。動画アプリの決済・身元確認は未実装です。再生試験はアプリの動作を確かめたもので、開発AIの停止や音源の品質・権利の検証ではありません。ハーネスの有無を比較した実験ではなく、御社で同じ成果を保証するものではありません。 ページ後半の既存CIを使う進め方や診断の見本は、顧客への支援実績ではありません。経費精算の例・出島の取り込み手順・症状別の相談案内も、支援方法の説明です。 次の一覧には、自社検証と自社AIプロダクトの開発・本番運用の経験を示します。個々の試験と差し戻しの記録は、後半の「自社検証」の節に示します。

業種
規模感
類型
支援範囲
自社検証大手の音楽配信と同じ構成のアプリ
—
主要画面・再生機能をAIが約10時間で実装
ハーネスの設計・実装・運用
自社検証大手の短い動画アプリと同じ操作のアプリ
—
本家の公式ヘルプの112機能のうち103を約14時間半で再現
ハーネスの設計・実装・運用
自社事業AI自律実行プラットフォーム
—
生成AIプロダクトの自社開発・本番運用
戦略・設計・開発・運用のすべて

ABOUT HARNESS ENGINEERING

ハーネスエンジニアリングとは|仕組み・進め方・費用

ここまでの支援内容と自社検証を踏まえ、依頼を判断するための情報を詳しく示します。まず症状別の対応表と導入例で、御社に必要な支援を確認できます。続いて定義と仕組み、進め方を解説し、費用と依頼先の選び方を示します。最後に自社検証と公開事例の条件を確かめられます。依頼しない場合にも、自社の仕組みを点検する物差しとして使えます。

ハーネスエンジニアリングとは

ハーネスエンジニアリングとは、AIモデルの外側の仕組みを設計し、作り、直し続けることです。AIに渡すルールや道具、許す操作の範囲、結果の検証や記録を整えます。まず、御社の症状と直す場所を対応表で確かめます。既存CI(変更のたびに自動検査する仕組み)を使う進め方と、診断でお返しする見本が続きます。その後に、設計範囲を詳しく説明します。

うまくいかないときに、どの層を直すかの切り分け

ARCHECOは失敗の記録から、指示・情報・実行の仕組みのどこを直すかを決めます。意図が伝わらないのか、判断材料が足りないのか、実行や検証の仕組みがないのかを分けます。情報不足や引き継ぎの欠けは、頼み方を磨くだけでは直りません。OpenAIも、行き詰まったら「もっと頑張れ」ではなく、不足する道具や文書を問うとしています。

失敗は、足りない環境の手がかりになります。NTTデータは、コマンドを知らない失敗と、仕様の所在を見つけられない失敗を分けています。NTTデータは、テストを実行しない失敗や、変更禁止の範囲に触れた失敗も別の型として扱っています。ARCHECOは下表で振り分け、同じ失敗に効く制御を作ります。

繰り返す注意は、早く自動で検査できる場所へ移します。@ITが紹介するGoogleの解説で、OpenAIの実践報告を書いたライアン・ロポポロ氏が述べるシフトレフト(確認を工程の前のほうへ移すこと)の考え方です。担当者が繰り返す注意を文書に残し、機械で判定できる決まりをリンターに移します。リンターはコードの書き方を自動検査する道具です。さらにテストや実作業に入る前の評価問題(AIの出来を測る試験問題)で確かめると、人が毎回注意する負担を減らせます。下表で症状を選び、続く導入例で設定と合否の確認方法を見てください。

非開発部門の方へ:経費精算でルールと検査を試す例
症状から直す場所を決める切り分け表
よくある症状疑う層直す場所ARCHECOが渡すもの
言い方を変えると結果が大きく変わるプロンプト(AIへの指示文)依頼の文面・出力の形式役割・出力形式・例題を記した指示の雛形
前提を取り違える、古い情報で判断するコンテキスト(AIに渡す判断材料)渡す資料・判断基準・原文の貼り方原文と判断基準を渡す設定、資料の参照手順
毎回同じ注意をしているのに繰り返すハーネス(ルール)ルールファイルの決まりを整理し、必ず守らせるものを自動検査(フック・テスト)へ移す操作の前後に自動検査を差し込む設定(フック)、再発を検出するテスト
「完成」と言うが中身が足りないハーネス(検収)完了の定義と、別の目による確認検収基準、既存の自動検査の結果をAIへ返す設定、点検役の手順
途中で止まる、前回の続きが分からないハーネス(止まらない仕組み)進捗ファイル・見回り・分かれ道の判断基準進捗の記録様式、再開条件と停止条件、見回りの設定
頼んでいない範囲に手を出すハーネス(ガードレール・環境)権限・隔離・承認の線引き操作権限と作業場所の制限、承認条件と担当表
検査に失敗した後、AIが同じ修正を繰り返すハーネス(検収・止まらない仕組み)既存CI(変更のたびに走る自動検査)からAIへの結果の受け渡し失敗記録をAIへ返す設定、再試行の上限、再開・更新・戻し方の手順

御社の症状から、診断で調べる場所を選ぶ

ARCHECOは症状に応じて、まず次の記録を照合します。初回は機密を含まない症状の概要と、使っているAIの名前だけで構いません。記録は秘密保持の取り決めのあとに伺います。

AIが止まる場合は、停止時の進捗と検査の記録を照合します。意図を取り違える場合は、依頼の原文とAIへ渡った資料を照合します。

成果物を確かめきれない場合は、完了報告と検査結果を照合します。許可外の操作が起きた場合は、許可した範囲と実行記録を照合します。

この症状について、無料診断を相談する

既存CIがあるチームでの進め方(説明例)

症状に対して何を設定し、どう合否を確かめるかを、既存の検査を使う例で示します。

既存CIがあるチームでの進め方(説明例)支援の説明例
  • 症状検査に失敗した後、AIが同じ修正を繰り返します。
  • 原因の確認ARCHECOは停止記録と既存CIの検査記録を照合し、AIが失敗の内容を受け取れているかを調べます。結果が届いている場合は、別の原因を調べてから設定を選びます。
  • 追加する設定検査結果が届いていなければ、ARCHECOは既存CIの結果をAIへ返す設定と再試行の上限を加えます。御社と変更禁止の範囲を決め、開発規約をルールファイルへ、既存テストの合格条件を検収基準へ対応させます。
  • 合否の決め方既存コードを使い、影響を限った変更で試します。検査結果を受けてAIが作業を再開し、既存テストの合格条件と変更禁止の範囲を守れるかを確かめます。再試行の上限で停止することも合格条件です。権限・承認の設定を変える場合は、禁止操作と承認待ちでAIが止まることも検査します。条件を満たさない設定は引き継がず、修正して再検査します。
  • 引き継ぐものARCHECOは合格した設定と検証結果を、既存の変更履歴・検査記録に対応づけて残します。再開・更新・戻し方の手順を御社の運用手順へ組み込み、担当者へ引き継ぎます。御社と結果を確認してから、対象を段階的に広げます。

御社の既存コードと検査を使い、設定の引き継ぎまで確かめる導入例です。

症状と対策の対応を図で確認する

図は、指示・情報・実行の仕組みのどこに原因があるかを整理したものです。依頼の文面ならプロンプト、判断材料ならコンテキスト、実行や検証ならハーネスを見直します。

  1. プロンプトは役割や出力形式を指定し、手順や例題で1回の文面を磨きます。言い方を変えると結果が大きく変わる。依頼の文面・出力の形式。
  2. コンテキストは、背景やルール、参照資料や手順書の渡し方を設計します。量と形式を決め、読む順番とタイミングを整える仕事です。
  3. 毎回同じ注意をしているのに繰り返す。お願いをフック・テストへ移す。選ぶ基準は、指示を伝えるだけで足りるか、仕組みで守らせる必要があるかです。

出典:OpenAI、NTTデータ、@ITによるGoogleの解説の要約、ARCHECOの切り分け表

無料診断でお返しするものの見本

対応表で選んだ症状から、最初に調べる場所を整理します。自社検証を題材にした見本と、症状表を使った診断の説明例を示します。

業務部門向け:経費精算で規程と正解を照合する例
診断でお返しするものの見本自社検証を題材にした見本
  • 疑う原因店のBGMの有料配信をAIの曲で置き換えるため、スマホアプリの開発を依頼した。AIは「店のBGMプレイヤー」という要約から、Webプレイヤーの調整と曲の量産を進めた。要約で依頼の意図が欠けた可能性を調べる。
  • 最初に調べる仕組み依頼の原文と判断基準をAIへ渡す設定を確認する。
  • 着手順原文と判断基準をAIへ渡す設定を先に整える。
  • 効果指標同じ依頼で、意図の取り違えと人の修正がどう変わるかを記録する。着手前の数字の取り方として、設定を変える前にも同じ項目を記録する。

表のどの症状に当たるか迷う場合も、無料診断で最初に調べる場所を整理できます。

検査の後、AIが同じ修正を繰り返す場合の診断の見本症状表に基づく説明例です。顧客への診断実績ではありません。
  • 疑う原因検査に失敗した後も同じ修正を繰り返す場合、検査結果がAIに届いていない可能性を調べます。
  • 最初に調べる仕組みARCHECOは、既存CI(変更ごとの自動検査)からAIへ、失敗記録を渡す設定を確認します。
  • 着手順失敗記録が届いていなければ、AIへ返す設定を先に整えます。再試行の上限と再開・更新・戻し方の手順も決めます。
  • 効果指標設定を変える前後で、同じ修正を繰り返す回数と、失敗記録を受けて作業を再開できたかを記録します。

診断では、確認した原因に合わせて最初に直す設定を示します。

ハーネスエンジニアリングの定義

荷車を引く馬と、その体に付けた朱色の馬具(ハーネス)の挿絵

ハーネスエンジニアリングとは、AIモデルの外側の仕組みを設計し、作り、直し続けることです。AIエージェントは、指示を受けて手順を考え、道具を使い、結果を確かめて作業するAIです。設計する人が、AIに渡す指示・情報と、使える道具・操作の範囲を決めます。AIの進捗を保存する仕組みに、結果の検証と操作の記録、人への差し戻しを組み合わせます。モデルの再訓練ではなく、賢さを仕事に変える環境を作る活動です。

作った後も、失敗から環境を直し続けます。QiitaやAIsmileyの解説も、テストの自動化やCI、権限管理と監視をAI向けに組み直すものと説明しています。CIは変更のたびに自動で検査する仕組みです。人の開発者と同じく、AIの成果物にも点検(レビュー)とテストが必要です。設計者は、AIが結果を確かめ、誤りを直せるように検査を組み込みます。

呼び名は、作る行為と作られた物を分けると理解できます。AIハーネス・エージェントハーネス・LLMハーネスは仕組みそのものです。LLMは大規模言語モデルで、ChatGPTやClaudeの頭脳にあたります。作る行為は英語で harness engineering と書きます。評価ハーネスはモデルの成績を試験で測る別の仕組みです。ハーネスは製品名や、開発用の部品集であるフレームワークの名前ではありません。Claude CodeやCodexには一部が組み込まれ、使う側がルールや権限を足します。

語源のハーネスは、手綱や鞍、引き具などの馬具を指します。AIの分野では、モデルの能力を仕事に使うための仕組みを指す名称です。登山の安全帯や配線を束ねるワイヤーハーネス、試験用のテストハーネスとは用法が異なります。ここからは、AIモデルと周囲の仕組みの役割を分けて説明します。

「エージェント=モデル+ハーネス」という考え方

エージェントは、モデルに仕事のための仕組みを足したものとして捉えます。LangChainのVivek Trivedy氏は2026年3月10日に「Agent = Model + Harness」と示しました。解説名は「The Anatomy of an Agent Harness」です。「If you’re not the model, you’re the harness.(モデルでないものは、すべてハーネスだ)」は、モデルでない部分をすべて含める広い定義です。

モデル単体には、作業の記憶を保存し、仕事を続ける手段が足りません。会話を越えた記憶の保持や、ファイル・コマンドの直接操作には周囲の仕組みが必要です。自分の出来を確かめる手段もありません。設計者は、AIが指示を読み、道具を呼ぶ仕組みを足します。次に状態の保存、検証、記録をつなぐと、AIモデルが仕事を進めるエージェントになります。Google DeepMindのPhilipp Schmid氏も、モデルを包み、長時間の作業を管理する土台と定義しています。

役割を整理した既存の説明に、パソコンの構成との対応があります。モデルは計算を担うCPU、一度に読める会話の量は記憶領域のメモリに対応します。道具は周辺機器を操作する部分、ハーネスは全体を管理する基本ソフトのOSです。エージェントは、その上で動くアプリに対応します。元は2023年のBeren Millidge氏の比喩とされます。CodeZineの西見公宏氏は、文脈管理をOSのメモリ管理に対応させています。道具の実行管理は入出力管理、作業の計画はプロセス管理です。

ARCHECOは、モデル交換の前に不足する仕組みを数えます。@ITが紹介するGoogleの解説(2026年9月25日の紹介)で、スミタ・コラン氏はモデル・ハーネス・知識の釣り合いを重視しています。まず道具や判断材料を確かめることで、モデルを替える以外の打ち手を選べます。直す対象は、指示の文面・判断材料・動作の仕組みに分けると整理できます。

  1. モデル単体では、記憶は会話の終わりで消え、ファイルにもコマンドにも触れず、自分の出来を確かめる手段もない。
  2. LangChainのVivek Trivedy氏は『Agent = Model + Harness』と書き、モデルでない部分はすべてハーネスだとした。

出典:LangChain『The Anatomy of an Agent Harness』(2026年3月)

プロンプト・コンテキストエンジニアリングとの違い

選んだ資料を置いた机と、その周りの鍵付きキャビネット・掲示板・非常ボタンの挿絵

違いは「どう頼むか」「何を見せるか」「どう動かして確かめるか」です。プロンプトエンジニアリングは、AIへの指示文を整える仕事です。担当者が役割や出力形式を指定し、手順・例題を使って文面を磨きます。コンテキストエンジニアリングでは、AIの判断材料となる背景・ルール・参照資料の渡し方を設計します。量と形式を決め、読む順番とタイミングを整える仕事です。ハーネスはその情報を使う道具に権限を与え、検証・復旧・引き継ぎまで扱います。

選ぶ基準は、指示を伝えるだけで足りるか、仕組みで守らせる必要があるかです。単発の文章作成や対話はプロンプトが中心です。長時間の作業や道具の使用、チームの運用ではハーネスが要ります。プロンプトは不要にならず、ハーネスの中で使い続けます。成果物も異なります。Qiitaの比較では、プロンプトは指示の雛形、コンテキストは資料検索や例題の設計です。ハーネスは進捗ファイル・機能一覧・自動検査の設計です。冒頭の対応表は、この違いに沿って症状と直す場所を分けています。続いて、作る速さと確かめる速さの差を見ます。

ハーネスエンジニアリングで差がつく理由

ハーネスの範囲が分かると、モデルを替える前に点検すべき場所が見えてきます。ここでは、検証や承認の遅れが成果にどう影響するかを示します。AI製品に任せる部分と、御社が整える部分も分けます。

ハーネスエンジニアリングで、作る速さに確かめる速さを合わせる

速いベルトコンベアから箱があふれ、検品台に虫めがねが1つだけある挿絵

ARCHECOは、AIが作る量を増やす前に、検証と承認にかかる負担を確かめます。ファインディの2026年4月の国内調査はエンジニア157人が対象でした。AIで改善を実感した割合は、コーディング87%に対し、品質検証44%、リリースと運用41%です。同社の開発組織トレンド調査2026では、AI駆動開発を重要と考える割合は65.7%でした。本番運用の割合は40.0%にとどまります。この差は調べた15項目で2番目に大きいとしています。ARCHECOは、作成量だけでなく確認待ちと差し戻しを見ます。

長い仕事をAIに任せるほど、人が全部を読む前提は難しくなります。AIの使い方は、チャットや1行ずつの補完から、調査→修正→テスト→報告へ広がりました。Software Design誌は、ソフトウェアの実課題を解く試験「SWE-bench Verified」の推移を紹介しています。Anthropicモデルの最高点は、2024年10月の49%から2025年11月に80%へ上がりました。自走時間も数十分から数時間〜数日へ延びています。OpenAIでは、エンジニアが寝ている間にAIが6時間以上動くことが日常でした。作業が長いほど誤りは後へ伝わり、途中経過は会話から消えます。OpenAIが希少な資源とした、人の時間と注意力を検証にどう配るかが課題です。

Software Design誌は個人の見解として、AIの進歩について発信するSimon Willison氏がOpus 4.5とGPT-5.2の出た2025年11〜12月を転換点としたことを紹介しています。同じくAIの進歩について発信するKarpathy氏も2025年12月を境に、長い作業の粘り強さが上がったと述べています。

個人の工夫は、チームで繰り返し使える場所に移します。会話履歴に閉じた知識では、担当が替わるたび同じ失敗が起きます。担当者はルール・手順を、コードと履歴を保存するリポジトリや共通の保管場所に置きます。誰が何を変えたかも記録します。Googleの研究プログラムDORAは、AIが組織の強みも弱みも増幅すると説明しています。OpenAIでは、各担当者のAIが、共有されたルールや手順を使って作業できました。人数が3人から7人に増えても、1人あたりの処理量が上がりました。

技術の外の決まりも、運用に合わせて見直します。道具が毎週変わる一方、社内の決まりが年に一度しか変わらない場合があります。検証と統制が追いつかないまま作成量を増やすと、確認待ちと危険が増えます。ARCHECOがハーネスと人・組織の備えを一緒に扱う理由です。

  1. ファインディの2026年4月の国内調査(エンジニア157人)で、AIで改善を実感している人の割合。
  2. 同社の開発組織トレンド調査2026では、ハーネスを重要と考える割合65.7%に対し、本番運用は40.0%。別調査の数字であり、上の3本と同じ母集団の連続工程としては扱わない。
  3. 道具は毎週変わるのに、社内の決まりは年に一度しか変わらないことがある。詰まりは技術の外にも出る。

出典:ファインディ(Findy Team+)の調査、ARCHECOの見方

同じモデルでも、ハーネスエンジニアリングで成績が変わる

ARCHECOは、モデルを替える前に、周りの仕組みの不足を切り分けます。同じモデルでも成績が変わる公開例がありますが、仕組みを足せば必ず良くなるわけではありません。導入先の作業で、足す前と後を比べることを前提にします。

ハーネスだけの改善で、成績が上がった例があります。日本HPは、LangChainがモデルを固定し追加学習せずに改善した例を紹介しています。端末操作の課題を解く試験「Terminal Bench 2.0」で、成績は52.8%から66.5%へ上がりました。13.7ポイントの改善で、順位は30位圏外から5位以内に入りました。同記事が引くAIエージェント開発のHumanLayer社の報告「Skill Issue」の順位では、Claude Opus 4.6がClaude Code上の約33位から、別のハーネスで5位になりました。ブログBSWENの整理にも38%から60%へ22ポイント動いた例があります。ただし日本HPは、BSWENの数字は論文でなくブログの整理だと断っています。

モデルの比較だけでは見えない差もあります。サーバーワークスはSWE-benchの分析で、上位モデルの入れ替えによる差はわずかだったと紹介しています。ASPICはスタンフォード大学の研究「Meta-Harness」で、数学の正答率が4.7ポイント上がった例を挙げています。いずれも、御社の業務で同じ差が出る根拠にはなりません。

足しても効かなかった結果も、設計に反映します。電通総研は、銀行の取引や残高を処理する勘定系システムを題材に検証しました。Opus 4.8とHaiku 4.5で基本は各3回、点検役の比較だけ5回試しています。AIに見せない隠しテストで採点した結果です。効いたのは状態の引き継ぎと、正しい資料の手がかりです。再実行・完了前のフック・スキル(必要な作業のときにAIへ読ませる手順書)は、不合格0件のままで差が出ませんでした。フックはHaikuの手数を18回から49回へ、費用を約3倍へ増やしました。別のAIによる点検が効いたのはHaikuだけです。詳細は下表に残します。

フックと検収は、必要な失敗を防げるかで選びます。電通総研は、今のAIが自分で再実行や型検査(データの種類の整合性を確かめる検査)をすることを、差が出なかった理由に挙げています。ARCHECOが重視するのは、本番反映や支払いを止め、長い作業で報告と実物のずれを見つけることです。短く閉じた課題と、外部サービスや長時間作業では条件が違います。まず素の構成で試し、不足した情報と制御だけを足します。不足する仕組みを探す際は、製品に内蔵された部分と御社が整える部分を分けます。

電通総研の比較の結果(隠しテストの不合格数の平均、仕組みなし→あり。基本は各3回、点検役は5回)
足した仕組みClaude Haiku 4.5Claude Opus 4.8電通総研の判定
状態の引き継ぎ3.0→0.03.0→0.0効果あり
正しい資料の手がかり12.3→4.721.0→0.7効果あり
一時的な失敗での再実行0.0→0.00.0→0.0差なし(もともと不合格0件で、減る余地なし)
完了前の関門(フック)0.0→0.0(手数18→49回)0.0→0.0(手数16→25回)差なし(もともと不合格0件で、減る余地なし)
手順のスキル0.0→0.00.0→0.0差なし(もともと不合格0件で、減る余地なし)
別のAIによる点検5.6→2.40.4→0.4(手数43→91回、費用は約2倍)Haikuだけ効果あり
  1. LangChainはモデルを変えず追加の学習もせず、ハーネスだけを直して Terminal Bench 2.0 の点を上げた(日本HPの記事の紹介)。
  2. 電通総研の比較で、セッションをまたぐ引き継ぎは両モデルとも不合格3.0件を0件に、正しい資料を教えることはOpusで21.0件を0.7件にした。
  3. 完了前の関門はHaikuで手数が18回から49回、費用が約3倍に増え、不合格は0件のままだった。

出典:日本HP『HP Tech&Device TV』、電通総研 テックブログ

内部ハーネスと外部ハーネス:ARCHECOが整えるのは使う側

ARCHECOが整えるのは、使う側が育てる外部ハーネスです。AI製品の中で判断・道具の使用・結果の確認を繰り返す仕組み(実行ループ)や、道具の呼び出しは、作り手が組み込む内部ハーネスです。製品を導入するだけで、御社固有の判断や承認の基準まではそろいません。

設計を頼む前に、製品と使い手の担当範囲を分けます。Software Design誌は、LangChainやAnthropicを作り手側の議論として紹介しています。ThoughtworksのBirgitta Böckeler氏、失敗ごとの環境改善を発信するMitchell Hashimoto氏、OpenAIは使い手側の議論と整理しています。普通の会社が育てるのは後者で、ユーザーハーネスとも呼ばれます。AIを動かすプログラムの部品一式であるClaude Agent SDKやClaude Managed Agentsのように、内部の仕組みを部品やサービスとして公開する動きもあります。

使う側では、ルールファイルと権限を定め、フックで操作を検査します。さらに検証と記録を整え、人と組織の備えを合わせます。ARCHECOは、特定製品への作り込みより、選んだ製品の上で組織の基準を実行できることを確認します。使う製品が更新されても残すべき基準を、次に整理します。

  1. Software Design誌の特集は、作り手のためのハーネスと使い手のためのハーネスを分け、普通の会社が育てるのは後者だとした。
  2. 特定の製品を作り込むより、どの製品を使っても組織の基準でAIが動く状態を作る。

出典:gihyo.jp(Software Design 転載)

モデルが賢くなると、何が古くなり何が残るか

夜のオフィスで、誰も座っていない机のノートパソコンだけが光っている挿絵

ARCHECOが残すべきと考えるのは、組織ごとに異なる知識と判断基準です。速さと安全のどちらを優先するか、費用をかけて時間を短縮してよいかは、組織ごとの判断です。モデルが外から知ることはできません。

電通総研も、知能を肩代わりする工夫より、知識を補う工夫が価値を持ち続けると述べています。

モデル更新時には、以前必要だった仕組みを外せるかも試します。Anthropicには、会話の文脈をいったんリセットする仕組みを、次のモデル世代で外せたという報告があります。@ITが紹介するGoogleの解説でも、独自ハーネスの作り込みすぎを避け、道具と文脈の質への投資を勧めています。既製部分の再実装を増やさず、組織固有の部分を保守します。

今後の予想は、実績と分けて扱います。ASPICは、モデル間の差が縮むほど環境で差がつき、AIが記録からハーネスを書き換える仕組みが広がると予想しています。一方、OpenAI自身も、AIだけで作った設計の一貫性が何年保てるかは未確認としています。自動の改善にも履歴と評価を付け、古いルールを消す運用を残します。組織固有の基準を実行に反映する場所が、次の7つの仕組みです。

ハーネスエンジニアリングで作る7つの仕組み

組織固有の判断基準を実行するために、ARCHECOは使う側の環境を7つに分けて設計します。AIが指示を受け取り、道具を使い、作業を続けるまでを支えます。安全の確認と成果物の検収、事故からの復旧も含め、実際の失敗に必要な部分から作ります。

症状に合わせて選ぶ7つの仕組み

ARCHECOは、AIが困った場面から直す場所を決められるよう、7つに分けています。番号と名前は、1. ルール、2. 道具、3. ガードレール(危険な操作を止める仕組み)です。作業の継続を支えるのは、4. 止まらない仕組み、5. 安全な環境です。結果の確認と復旧を担うのは、6. 検収、7. 事故への備えです。前の症状別の対応表で選んだ修正箇所を、以下の各項目で具体化します。各項目ではARCHECOが作り、御社へ渡すものを示します。他の分類との対応は、ページ末尾の「参考:他の分類と7つの仕組みの対応」で確認できます。

ARCHECOの分け方

1. ルール:AIが組織のルールに沿って働く

付箋の付いたルールブックと羽根ペンの挿絵

まず、ARCHECOはAIが判断の前提として読むルールから整えます。依頼の原文と組織のルールを、AIに渡せる形にします。自社検証では、要約で依頼の目的が消え、AIが別のアプリを磨いていました。依頼の原文(要約する前の元の文面)が残っていたため、AIに作り直す方向を伝えられました。組織の決まりも、人の頭やチャットにしかなければAIからは見えません。新しい担当者に渡すのと同じく、毎回読める場所に置く必要があります。以下では、入口のルールを短く保ち、機械で守るものを分け、判断の型と手順を渡します。ARCHECOはルールと強制手段の対応表を作り、同じ取り違えや違反を防げるか確かめます。

  1. OpenAIは、1枚の大きなAGENTS.mdは失敗したと書き、短い入口から詳しい資料へ案内する形にした。
  2. 依頼者の言葉は要約せず原文のまま貼る。ARCHECOの記録では、要約した一文に引っぱられてAIが作る物を取り違えた。
  3. 確かめられる文で書き、AIが失敗するたびに1行足して育てる。

出典:OpenAI、ARCHECOの開発記録

開発3時間ごろ、担当のAIへ10/24
再生テストとか音源よりも、まずはアプリ作成。意図を理解していますか?

「店のBGMプレイヤー」という要約に引っぱられ、AIは「大手の音楽配信と同じアプリを作る」という目的を見失っていた。AIは作業を止め、スマホアプリに作り直した。

ルールファイルを短く保つ:入口に書くこと

ルールファイルは、入口を短くし、詳細へ案内する形で作ります。Claude CodeではCLAUDE.md、CodexなどではAGENTS.mdを使います。AWSのAIコーディング環境Kiroの置き場所は .kiro/steering/ です。担当者は、プログラムを組み立てて動かすビルドと、テストのコマンドを先に書きます。コードの構造と変更禁止の範囲も決めます。命名やセキュリティ、変更履歴の付け方も明記します。「適切にテストする」ではなく「変更後に npm test を実行する」と書きます。非エンジニア向けには、Claude活用メディアのClaude Works(Anthropicとは別の運営)が載せる経費精算の例があります。正しい基準として読む文書の指定と、原本の編集禁止を書きます。判定の2択、根拠条項の記載、進捗の更新を合わせた5行です。

詳しい決まりの置き場所

ARCHECOは、行数よりも必要な詳細を順に読める構造を重視します。全体の入口には共通の原則を残し、フォルダ固有の決まりはその階層に置きます。AIは、作業するフォルダに近い階層のAGENTS.mdを優先して読みます。担当者は既存の開発標準・設計判断の記録を、AIが読める場所に置きます。画面の共通部品や表現の決まりをまとめたデザインシステムも対象です。

ルールの更新と検査

運用担当者は失敗のたびにルールを1行ずつ足し、最初から完成させようとしません。文書の古さやリンク切れも専用リンターで検査します。下表の前半がルールの雛形、後半が配置の見本です。AI駆動開発協会とファインディ、サーバーワークスとClaude Worksの見本を整理しています。配置はSoftware Design誌とQiitaの見本をもとにしています。検査→権限→ルールの導入順と、ARCHECOが先に守る内容を合意する理由は「進め方」で扱います。

ルールファイルの雛形と最小の配置(各解説をもとに整理)
区分・見出し/置くもの書く内容/役割
ルール:最初に読むものARCHITECTURE.md と docs/ の設計資料の場所。どの順に確かめるか
ルール:組み立てとテスト起動・テスト・リンターのコマンド。例:変更後に npm test を実行する
ルール:構造どの層に何を書くか、依存してよい向き
ルール:書き方の決まり命名、使う部品と使わない部品。例:スタイルは Tailwind CSS を使い、styled-components は使わない
ルール:セキュリティ秘密を書かない、触ってはいけない範囲、元のデータは編集しない
ルール:変更の出し方変更履歴の粒度、1つの変更に1つの目的
ルール:完了条件全テストが通る、リンターの指摘が0件、進捗ファイルを更新した
配置:AGENTS.md(CLAUDE.md)入口のルールファイル。Claude Codeでは CLAUDE.md に @AGENTS.md と書けば AGENTS.md を取り込める
配置:docs/architecture.md全体の構造と層の決まり
配置:feature_list.json機能の一覧と、それぞれの合否
配置:progress.md進捗、迷った点、次にやること
配置:init.sh開発環境の起動と、毎回の作業の始めの状態の復元
配置:.claude/settings.json など操作ごとの許可・確認・拒否の設定
配置:.devcontainer/devcontainer.json手元の環境から分離した作業場所
配置:.github/workflows/ci.yml変更のたびの自動検査
配置:tests/unit、tests/e2e単体テスト(関数など小さな部品ごとの検査)と、画面を通しで操作するテスト

参考:入口の行数と配置の例

OpenAIは、大きなAGENTS.mdが失敗した理由を4つ挙げています。読める量に限界があり、全部を重要とすると優先順位が消えます。さらに文書がすぐ古くなり、機械で正しさを検査できません。そこで約100行の目次にし、設計や品質基準、実行計画を docs/ に分けました。長さの目安は、Claude Worksが紹介する公式の200行未満と、サーバーワークスの60行以内で異なります。日本HPはGarry Tan氏が2万行を約200行の案内集に削った例を紹介しています。フォルダ固有の決まりをその階層に置く方法は、ファインディとWEELも勧めています。

参考:詳細資料とコードの構造の例

OpenAIはARCHITECTURE.mdに加え、設計の考え方と実行計画を配置しました。進行中・完了済みの計画と、品質の採点表を docs/ に分けています。将来の改修を難しくする未解決の問題(技術的負債)も記録しています。ファインディによれば、外部部品の説明も、AIが読みやすい文書の形式である llms.txt で置いています。Qiitaは、コードの構造と命名が整っていれば、それ自体が置き場所の説明になると述べています。業務の概念を表すドメイン、処理をまとめるサービス、要求を受けるハンドラーの役割を分けます。コードの置き場所が明確なら、AIが別の検索をせずに必要な情報へたどり着ける場合もあります。

「お願い」と「強制」を分ける

前半で述べたとおり、文章の指示と、操作を制限する仕組みを分けます。ルールファイルは判断の材料で、従うことを保証する装置ではありません。公式の説明も、この違いを明示しています。担当者は、よく出る修正をルールファイルやスキル(必要な作業で読む手順書)へ移します。確実に防ぎたい問題には、操作前後の自動検査であるフックやテストを使います。書き方はリンターで、許す操作は権限で確かめます。「消さないで」と書くより、消す権限を渡さないほうが確実です。ARCHECOはルールごとに、文章と強制手段のどちらへ置いたかを一覧にします。事故の際に、お願いが破られたのか、仕組みに穴があったのかを切り分けるためです。

原文と判断の型を渡し、長い手順はスキルに分ける

ルールファイルが書くのは「何をしてはいけないか」が中心ですが、AIが本当に迷うのは「どちらを選ぶか」です。ARCHECOは、AIに仕事を頼んできた代表の7,000を超える発言から判断の型を抜き出しています。「承認待ちを増やさず合理的に進める」「有料より無料枠を優先する」といった基準です。AIが動き出すたびに、自動で読み込ませます。 適用例として、音楽を生成するモデルも、AIが判断の型に沿って選びました。学習済みモデルのデータ(重み)の利用が非商用に限られるMusicGenは、候補から外しました。同意の手続きと年商の条件があるモデルも外しています。選んだのは、商用で使えて手続きの要らないACE-Step 1.5でした。 参考として、Algomaticの登壇資料にも、判断材料をAIへ渡す例があります。事業の達成度を測る指標(KPI)を含め、製品と利用体験の原則をAIに渡しています。ARCHECOの判断の型は、AIに渡す判断の基準を依頼者の過去の発言から抜き出して作る点が違います。人の暗黙知を、AIが読んで確かめ、実行できる形に変えます。 スキルとは、よく使う手順を1つのファイル(SKILL.md など)にまとめ、呼ばれたときや関係する作業のときだけAIに読ませる仕組みです。担当者は、変更提案(PR)の点検や、公開・本番反映(リリース)前の確認をスキルに分けます。障害調査や設計書の更新も同様です。長い手順は必要なときだけ読ませ、AIが一度に読める情報量を圧迫しないようにします。日本HPの記事は、ルールファイルを短くした事例の発信者Garry Tan氏の「ハーネスは薄く、スキルは厚く(Thin Harness, Fat Skills)」という言い方を紹介しています。担当者ごとの進め方の差も小さくなります。スキルが効くのは、社内固有の手順や判断の順番のように、モデルが知り得ない知識を渡すときだと考えるのが妥当です。 Qiitaが紹介するRedditの個人投稿には、250行の手順書でツールの精度が0.5から0.96へ上がった例もあります。この個人報告では、抽象的な原則より具体的な手順書が効いたとされています。手順書による精度改善は伝聞の個別例で、導入先の効果を保証する数字ではありません。社内固有の手順を試し、効くものだけを残します。ルールと手順に沿って作業できるよう、次にAIへ渡す道具を選びます。

2. 道具:AIが使う道具と情報を整える

有孔ボードに工具が1本ずつ掛けられ、1か所だけ空いている挿絵

ルールを実行できるように、ARCHECOはAIが使う道具と計算資源を整えます。自社検証では、2体のAIがメモリ18GBのMacを使い、記憶領域の不足分を補う退避領域が最大30GBに膨らみました。AIは同時実行を防ぐ制御を自作し、重い処理を順番に動かしました。AIの能力だけでは、使う資源や道具の競合を解消できないためです。以下では道具を絞り、画面と記録を読めるようにし、製品ごとの設定を確かめます。ARCHECOは必要な接続と道具を整え、正常時だけでなく故障時の応答も試します。 道具を接続するSDKとは、AIを動かすプログラムを作るための部品一式です。以下の製品別の設定名や既定値は、実装担当者向けの参考情報です。

道具ごとの、ハーネスにあたる主な部品
道具ルールファイル強制・検査その他
Claude CodeCLAUDE.md(@AGENTS.md と書けば AGENTS.md を取り込める)フック(操作の直前・直後)、許可・確認・拒否の権限設定(拒否→確認→許可の順に評価)スキル、役割ごとに分けるAI(サブエージェント)、自動メモリ(AIが作業中に分かったことを書き残す機能)、MCP(AIと外部の道具をつなぐ共通規格)の接続設定
OpenAI CodexAGENTS.md変更ごとに分けた作業場所での実行(OpenAIの報告)スキル、変更の提出などの道具の直接利用
Kiro.kiro/steering/ の下のファイル道具ごとの信頼の設定会話の保存と読み込み、サブエージェント
AIコードエディタのCursorなど.cursorrules などのルールファイル道具による—
各種SDK指示の設定繰り返し・予算の上限、ガードレール、フック記録(トレース)の送信先の設定
主なSDKの既定値(一創の解説による、2026年10月時点)
SDK繰り返し・予算の上限隔離記録・そのほかの注意
OpenAI Agents SDKmax_turns の既定は10回—トレースは既定で有効、送信先はOpenAI。入力ガードレールは既定で並行実行され、拒否より先に道具が動きうる
Claude Agent SDKmax_turns と max_budget_usd は既定で未設定(上限なし)sandbox オプションありフックは10種類、権限のモードは6種類(default・acceptEdits・plan・bypassPermissions・dontAsk・auto)
Strands Agentslimits を指定しなければ上限なし未指定ならホストで直接実行(隔離なし)AIに渡す会話履歴は既定で40件。記録はOpenTelemetry(処理の記録を共通の形式で扱うための規約)
Deep Agents処理の流れを繰り返すステップ数の上限(グラフの再帰上限)は9,999—要約とファイルへの退避が標準。人の承認は interrupt_on(人の確認まで処理を中断する設定) で入れる
AWS AgentCoreループ・道具の実行・文脈管理・状態・障害の回復をまとめて引き受ける(2026年6月17日に一般提供)セッションごとに分離独自の制御が要るときは Strands のコードに書き出せる
  1. 似た道具を多く渡すと、AIの選び方が不安定になる。仕事ごとに分けた小さなAIには、必要な道具と権限だけを渡す。
  2. 道具ごとに、何に使うか、何を渡せば何が返るか、失敗したら何が返るかを、AIに分かる言葉で書く。
  3. ARCHECOの記録では、AIが重い処理の前に共有の鍵を取り、空きメモリが10%を切ったら待つ道具を自作した。

出典:Claude Worksの解説、ARCHECOの開発記録

道具は絞り、使い方と失敗の情報まで渡す

道具はAIが手を動かす接続先です。まずファイルやコマンド、ブラウザを使えるようにします。担当者は必要に応じて、外部サービスをプログラムから呼び出す窓口(API)やデータベースもつなぎます。MCP(AIと外部の道具をつなぐ共通の規格)で接続する形が増えています。よく勧められるのは、似た道具を多く渡しすぎないことです。選択肢が多いとAIの選び方が不安定になります。道具には用途と入出力を説明します。失敗したとき何が返るかも、AIに分かる言葉で書きます。仕事ごとに役割を分けた小さなAI(サブエージェント)に、必要な道具と権限だけを渡す形もよく使われます。サブエージェントには、本体のAIに渡す情報を絞る役割もあります。Claude Worksは、調査の途中経過で本来の作業の文脈を埋めないための分担だと説明しています。調べた結果だけを受け取れば、本体のAIの記憶を本来の作業に使えます。 OpenAIは、安定していて広く使われている「退屈な」技術ほどAIが正しく扱える、と書いています。OpenAIは、再利用できる外部のプログラム部品(ライブラリ)の中身を確認しにくい場合も報告しています。その場合、必要な機能だけをAIに作り直させたほうが安く済むことがありました。道具を選ぶ段階で、AIが読める・確かめられることを条件に入れておくと、後の検証が楽になります。自社検証でAIが作った同時実行を防ぐ制御は、別のAIが重い処理を実行中なら待機させます。空きメモリが10%を切った場合も、処理を待たせる設計です。自社検証では、その後2つのプロジェクトは一度も衝突しませんでした。一方、アプリの更新で道具の置き場所が消えた経験もあります。現在はAIが毎回、道具の実際の保存場所を調べてから使っています。

画面と記録を読めるようにし、情報を選択・退避する

AIが自分で検証できるよう、画面と記録を読める状態にします。OpenAIは、AIが自分の作ったアプリの画面、ログ、性能の数字を直接読めるようにしたことを大きな転換点に挙げています。変更ごとにアプリを起動し、Chrome DevTools Protocolをつなぎました。ブラウザを外から操作して画面の写しを取る仕組みです。OpenAIは、作業中だけ使う監視環境を立ち上げました。AIは、ログ収集基盤の検索言語であるLogQLでログを調べます。性能の数字は、監視基盤の検索言語であるPromQLで調べます。その結果、「起動を800ミリ秒以内に」のような指示を出せるようになっています。社内の資料も同じです。担当者は、共有ファイルの保管先や、課題を管理するチケットに分散した情報の所在を整理します。AIが作業に必要な情報を参照できるようにするためです。チャットでの合意や担当者の記憶にしかない情報は、AIからは見えません。担当者が利用前に資料の所在を書き出すと、AIが検証時に情報を探す負担を減らせます。 長い作業では、道具の呼び出しが数十〜数百回続くうちに、AIが一度に読める会話の上限に達します。古い情報が押し出され、最初の目的や途中経過をAIが参照できなくなります。日本HPはこれを「コンテキストの腐敗」と呼びます。 会話の上限への対策として、古いやり取りを要約し、大きな出力はファイルへ退避して要点を残します。必要な分だけ段階的に見せることも対策です。AI駆動開発協会の解説は、勘所を4つの型にまとめています。まずTODO.mdやMEMORY.mdへ書き出し、必要な情報を選択します。次に圧縮し、別の記憶が要る調査はサブエージェントへ分離します。書き出し・選択・圧縮・分離の4つです。 要約には、もとの目標が少しずつずれていく危険があり、CodeZineの西見公宏氏はこれを目標のずれ(Goal Drift)と呼んでいます。最初に伝えた事実を要約の後でも思い出せるかを試すテストもあります。また、ルールファイルや設計書のように変わらない資料と、ログやテスト結果のように毎回変わる資料は、渡し方を分けます。ARCHECOが原文を貼るのは、この要約のずれを防ぐためでもあります。 実装上の設定例として、CodeZineの西見公宏氏が紹介するDeepAgentsには、3段階の圧縮があります。応答が2万トークン(AIが文章を処理するときの単位)を超えると、DeepAgentsはファイルへ退避します。会話には参照先と先頭10行を残します。会話の上限の85%では古い履歴を参照先に置き換え、さらに要約します。これは紹介された実装の値で、すべての道具に適用する設定ではありません。原文の目標が圧縮後も残るかを別に試します。

製品ごとの実装とSDKの既定値を確かめる

道具ごとに、ルールと権限、繰り返しの設定を確認します。道具の節にある2つの表は、主な部品の対応と、一創が公開資料・ソースで確かめた初期設定値です。数値は2026年10月時点の紹介版で、導入時には公式の説明を確認します。とくに「上限なし」「隔離なし」は使う側で埋める部分です。Claude Agent SDKの allowed_tools は、道具を制限する設定ではありません。確認なしで使ってよい一覧なので、塞ぐには disallowed_tools が要ります。版による変更にも注意します。Deep Agentsは0.7.0で計画用の道具を既定構成から外しました。古い見本を写すだけでは動きが変わるため、設定を明記し、意図した操作になるか試します。道具が使えることを確かめた後は、実行してはいけない操作を止める設定を試します。

3. ガードレール:越えてはいけない線で止める

崖沿いのカーブした山道に、朱色のガードレールが続く挿絵

道具を渡すときは、AIに許す操作と、止める操作を先に決めます。ARCHECOの自社検証では、最初に音を止めたとき、AIが名前の合う実行中のプログラムをまとめて終了させました。別のAIが同時に動いていれば、その作業も巻き込むおそれがありました。AIは自分で危険に気づき、以後は自分の作業フォルダのプロセス(実行中のプログラム)だけを止める、と記録しました。2回目は代表の会議中に音が鳴り、代表が「止めて」と送ってから数分で音が止まりました。 善意の操作でも対象を広く取りすぎれば、別の作業を巻き込みます。権限と承認の境界を、実行する前に決める必要があります。以下では操作前のフック、権限の評価、承認と検査、構造の決まりを設計します。ARCHECOは承認者と止める条件を設定し、許可した操作だけが通るかを試します。

  1. フックは操作の直前・直後に検査を自動で差し込む仕組み。フォルダごとの削除やデータベースの表の削除、許可していない送り先への push を直前で止める。
  2. 人の承認は、本番への反映、送金、顧客への送信、権限の変更のような取り消せない操作の前に置く。どこまでを承認にするかは、社内の決まりと影響範囲で決める。
  3. 権限設定には評価順序があるため、利用する製品の仕様を確認する。指示文・権限・OSの制限を分けて重ね、1つが破れても止まるようにする。

出典:Claude Worksの解説、日本HPの記事、@ITによるGoogleの解説の要約、ARCHECOの運用の決まり

フック:操作の前後に検査を自動で差し込む

フックとは、ファイルの編集やコマンドの実行といった操作の直前・直後に、決めた検査を自動で走らせる仕組みです。フックは編集後に書式を整え、変更履歴に記録する前にリンターを実行します。危険なコマンドを実行前に止める用途にも使います。日本HPの記事は、フォルダごとの削除(rm -rf)やデータベースの表の削除(DROP TABLE)を停止例に挙げます。@ITが紹介したGoogleの動画では、許可していない送り先へ変更を送る git push を止めます。 気をつけるのはタイミングで、操作の直後に動くフックは起きたことを取り消せません。止めたいものは直前で止めます。Claude Worksの解説によれば、フックには実行の条件と時間切れがあり、処理が設定どおり成功したかの確認も要ります。フックを導入する担当者は、設定内のコマンドを読んでから適用します。他人が作った設定でも、コマンドは自分の環境で動くためです。 ARCHECOはフックで、取り消せない操作や危険な操作を止めます。品質の点数を上げる目的で一律に増やさず、警告で足りるものは警告にとどめます。フックを増やしすぎると操作のたびに検査が走って遅くなるため、必要な箇所に絞ります。

権限は「許可・確認・拒否」の3つで決める

操作は、許可・確認・拒否の3つに分けます。Claude Worksによれば、Claude Codeは拒否→確認→許可の順で評価します。拒否した操作は、許可にも書いたからといって通りません。道具の設定名だけで判断しないことも大切です。Claude Agent SDKの自動承認と道具の禁止は別設定で、対応は上のSDK表に示しています。また、編集拒否がプログラム内のファイル操作には効かない場合があります。これはClaude Worksが紹介する公式の説明にある仕様です。担当者は、指示文と道具の権限に、OS(基本ソフト)側の制限を重ねて動作を確かめます。操作ごとの最小権限と専用IDは、次の「安全な環境」で設計します。

承認の境界と、入力・出力・道具・費用の検査

前半で示した承認の境界を、御社の担当者と操作ごとの条件に落とし込みます。ARCHECOは御社と、AIに任せる対象の業務と責任者、操作の承認者を決めます。次に、実行してよい範囲と止める条件、戻せない影響を確認します。共有ファイルの削除や契約も、承認の対象を決める際に確認します。件数と金額、対象と時間帯に上限を置く方法があります。すべてを承認待ちにすると確認が詰まるため、承認された範囲の作業は進められるようにします。ARCHECOでは本番反映と支払いに人の言葉による許可が必要です。別のAIからの連絡は、人の許可として扱いません。 検査は入力・出力・道具の呼び出しに置きます。入力だけでは、外部資料や道具の説明に紛れた悪意ある指示を見落とします。これはプロンプトインジェクションと呼ばれる問題です。一創によれば、OpenAI Agents SDKの入力検査は既定で並行して動きます。拒否より先に道具が動かないよう、事前に止めたい検査は並行させない設定にします。renueが挙げる費用の上限も設けます。同じ失敗の繰り返しで利用料が増えるためです。事前確認→人の承認→事後検証を重ね、1つの検査に依存しない設計にします。 ARCHECOの別の日の記録では、確認画面への自動応答で意図と違う選択肢が選ばれました。外部サービスの設定が1件、無許可で変わったため、承認を自動応答で代替しない設計が必要です。

決まりを機械で強制し、エラー文に直し方を書く

構造の境界は、文章だけでなく機械で検査します。OpenAIは、データの型→設定→保存→処理→実行→画面の順に、コードの役割を分けました。各部分が前の層にしか依存しない決まりを、AIに作らせた専用リンターと構造のテストで検査しています。通常は数百人規模になるまで後回しにする設計の決まりを、AIを使う場合は最初の前提にした、と書いています。リンターのエラー文に直し方を書くと、AIがエラーを読んで自分で修正できます。命名やファイルの大きさ、記録の書式も検査できます。人には細かすぎる決まりでも、一度書けば全体に同時に効きます。実装の中身は細かく決めず、壊してはいけない境界と完了の条件だけを機械で確かめ、境界の内側はAIに任せます。決まりの確認を機械に任せた分、人のレビューは設計の判断に絞れます。守る境界を設定したら、その内側でAIが判断待ちにならず作業を続けられるかを確かめます。

4. 止まらない仕組み:分かれ道で判断し、作業を続ける

夜空の下で箱を運び続けるベルトコンベアと、朱色の置き時計の挿絵

操作の境界を決めたら、許可した範囲でAIが作業を続けられるようにします。ARCHECOの自社検証では、動画アプリを担当するAIが重い処理の順番を3回続けて待ちきれず、停止しました。利用枠やアプリの再起動でも止まりますが、この記録の停止の多くは次の選択を決められない場面でした。継続には、再起動だけでなく判断の基準が要ります。以下ではAIの判断基準を決め、試行回数などに上限を設けます。進捗と役割を次の作業へ引き継ぐ方法も示します。ARCHECOは見回りと再開の仕組みを作り、承認待ちでは止まり、許可の範囲では続けられるか確かめます。見回り役が依頼者を待たずに判断した件数は、音楽アプリで10件、動画アプリで19件です。判断の記録は、下の「自社検証での制限と判断の記録」に示します。

  1. 故障で止まるのは少数で、止まる理由のほとんどは分かれ道に立ったこと。見回りは組織の基準でどちらへ進むかを決める。
  2. 進捗と決めたことをファイルに残し、次の作業の最初に読ませる。止まっても続きから動ける。
  3. 同じ失敗を繰り返すと利用料が増える。繰り返しの上限と、人に戻す条件を先に決める。

出典:ARCHECOの運用の決まり

見回りの決まり(自社検証時の基準)
  • 1分時刻を確認するプログラムが1分ごとに動く
  • 15分15分ごとに各AIの状態を読み、処理中・待機中を除いた停止だけに介入する
  • 30分AIが重い処理を実行できる時間は1回30分まで。使用中の札(重い処理を使っている印)を返したAIは15分間、札を取り直さない
  • 禁止自社検証では「後回し」を認めず、その夜のうちにやり切る基準を置いた

この基準より、承認待ち・人からの停止の指示・試行回数や時間などの上限を優先します。検収していない残件は完成扱いにせず、未確認の内容と次の対応を記録します。

分かれ道で、組織の基準に沿って決める

見回り役が介入するのは、進捗がなく判断待ちのときだけです。ARCHECOの見回りは15分ごとです。決まった時刻に処理を起動するスケジューラーが、1分ごとに時刻を確かめます。15分たつごとに見回り役のAIが、動いているすべてのAIの画面を読みます。重い処理の同時実行は、使用中であることを示す「使用中の札」で防ぎます。見回り役は、処理の稼働・通信・待機の記録と札を確認します。重い処理の実行中や外部応答の待機中は介入しません。 見回り役が進める前に担当AIの実行状態を再確認し、同じ作業への同時介入を防ぎます。承認された範囲で、見回り役が次の作業を決めて進めます。承認が必要な操作や停止の指示は、人へ戻します。 見回り役による再開も、次項の試行回数・時間・費用の上限に含めます。上限に達したら再開せず、人へ判断を戻します。御社では、重い処理が重なる場合にARCHECOが同じ制御を設けます。

自社検証での制限と判断の記録

自社検証では、AIが重い処理を使う時間を1回30分までとし、終了後15分は再取得させませんでした。画面の手本は公式の端末から撮り、出どころの分からない資料は使わせませんでした。依頼した作業を「後回し」にせず、その夜に終える基準も渡しました。この検証では見回り役のAIが依頼者を待たず、音楽アプリで10件、動画アプリで19件を判断しました。理由も記録に残っています。その記録がまた、次の判断の材料になります。人の介入をまねる仕組みで開発を進めた例(Algomatic)はありますが、ARCHECOは判断の基準そのものを組織の発言から抜き出して、AIに持たせています。

繰り返しの上限と、道具のエラーからの再開

AIが自分で直してやり直す仕組みは、放っておくと同じ失敗を延々と繰り返します。設計者は、試行回数・時間・費用の上限を設定します。連続する失敗を数え、修正しても結果が改善しないときにAIを止める条件も設けます。回数だけでなく改善の幅を見ることが要点です。 一創の解説によれば、OpenAI Agents SDKは繰り返しの上限が既定で10回ですが、Claude Agent SDKでは上限も予算も既定では設定されていません。日本HPが紹介するLangChainの改善は3つです。LocalContextMiddlewareで作業環境の地図を渡しました。次に同じ失敗の繰り返しを検出し、時間の予算も厳しく管理しました。@ITが紹介したGoogleの動画では、テスト失敗の記録と、エラーが起きるまでの流れをAIに返します。AIに修正を繰り返させ、最大5回で停止する実演でした。ASPICのレポートが紹介するStripeの例では、自動で直したあとの再実行は1回だけで、2回目も失敗したら人に返す決まりにしています。止める条件は、止まらない仕組みと必ず対で作ります。 外部サービスの時間切れ、存在しないファイル、渡し方の誤りといった道具のエラーは避けられません。モデル単体ではエラーのあと作業に戻れず、止まればそれまでの作業が無駄になります。設計者は、修正できるエラーをAIへ返し、作業を続けさせる仕組みを作ります。人の承認待ちや中断の指示など、再開してはいけない場合は停止させます。ARCHECOの記録でも、利用枠が切れたときは別のモデルに切り替えて続けました。@ITが紹介するGoogleの動画で、ビリー・ジェイコブソン氏は3つの型を実演しています。繰り返さない型、テストが通るまで回す型、記憶管理と危険操作の停止を備えた型です。設計の判断はループ・ツール・メモリの3つで、分類表にも対応を示しています。

記憶を引き継ぎ、計画・実行・検証を小さく分ける

AIが次の会話でも作業を再開できるよう、進捗と決定事項を会話の外のファイルへ残します。担当者は、次の作業の最初にAIが引き継ぎ文書を読む手順を設定します。 Qiitaが紹介するAnthropicの手順では、初期化役が最初に一度だけ動きます。機能一覧のfeature_list.jsonと、起動用のinit.shを用意します。進捗ファイルと最初の変更履歴も作ります。作業役は毎回、pwdで場所を確かめ、進捗と機能一覧を読みます。次にgit log --oneline -20で履歴を見て、init.shで起動します。その後、1回の作業で1つの機能だけを進めます。作業役のAIは、画面を通しで操作するテストに通ったときだけ、機能一覧を「合格」に変えます。進捗ファイルと変更履歴を残し、そのまま本流(チームの正式なコード)に取り込める「クリーン状態」で終えます。機能の一覧は、AIが勝手に書き換えにくいように、文章ではなく決まった形式のデータで持ちます。進捗ファイルには、何を採用したかだけでなく、なぜそれを選んだかまで残します。理由がないと、次の回のAIが同じ検討をやり直すからです(AIsmileyの解説)。 WEELによれば、Claude Codeでは決まりをCLAUDE.mdへ置きます。作業で分かった組み立ての手順や不具合の調べ方は、自動メモリ(Claude Codeが作業中に分かったことを書き残す機能)に残します。 長い作業の途中で指示を忘れていく現象への対策として、定期的に会話をまっさらにして、引き継ぎの文書から再開させる方法もあります。 大きな目標をいきなり任せず、設計・実装・レビュー・テストの小さな単位に分けます。AIの日々の作業は「調べる→計画する→作る→確かめる→記録する」の順に進めます。1回の作業には1つの目的、1つのタスクには1つのゴールを置くという分け方です。 OpenAIは、小さな変更には軽い計画を、複雑な作業には進捗と判断の記録を付けた実行計画を作らせ、計画そのものを成果物として残しました。Algomaticが挙げる起動の条件も設計します。決まった時刻や出来事をきっかけに動かす方法があります。順番待ちの列から取り出す場合や、承認後に動かす場合もあります。ARCHECOの見回りは時刻をきっかけにした例です。 下は、Claude Works・サーバーワークス・Qiitaの解説が載せている見本をまとめた進捗ファイルの雛形です。

進捗ファイル(progress.md)の雛形
見出し書く中身の例
対象今回の作業の範囲。例:9月分の経費一覧の一次チェック
終わったこと済んだ機能や件数と、通したテスト
判断に迷った点規程や仕様に書かれていない論点。勝手に決めずにここへ残す
採用したことと理由選んだ案と、なぜそれを選んだか
判明した制約作業の中で分かった制限。例:この環境ではネットワークに出られない
次にやること次の回の最初の1つ

複数のAIを並べるときの分担とぶつかり防止

調査・実装・テスト・レビューを別々のAIに分けると、それぞれに渡す文脈と権限を絞れます。そのぶん、受け渡しの形式を決め、作業場所を分け、同じものを取り合わないようにする必要があります。Qiitaの解説は、人の組織のように役職を作る必要はなく、要るのは連絡の決まりと権限だと書いています。ARCHECOの記録では、同時実行を防ぐ制御で、2体のAIが重い処理を順番に使いました。各AIは自分の作業フォルダの外へ書き込めない設定です。別のAIへ引き継ぎメモを書けない場合は、まとめ役のAIが届けました。まとめ役は、各AIの報告を受けて差し戻しや受け渡しを担う役です。作業を分担する場合も、各AIの作業場所とデータへのアクセスを個別に制限します。

5. 安全な環境:権限を絞り、作業場所を隔離する

柵で囲った砂場の中だけでショベルカーが動き、金庫と書類棚は柵の外にある挿絵

AIの作業を続ける間も、データと作業場所を保護する必要があります。ARCHECOの自社検証では、試聴ページを合言葉で保護しました。無料枠を使い切った場合も、保護を残したまま配信を止める設定にしました。以下では作業場所を隔離し、AI専用の権限と秘密の置き場所を決めます。ARCHECOは承認された範囲に環境を絞り、範囲外への書き込みや秘密の混入を検査します。

  1. 実行できるコマンドを許可リストで絞り、通信先と読み書きの範囲を決める。隔離が既定で無効の道具もあるので確かめる。
  2. ARCHECOの記録では、試聴ページの合言葉は手元の1つのファイルにだけ置き、変更の記録にも日誌にも残していない。
  3. AIには人の権限を借りさせず、専用のIDと期限の短い資格情報を与える。外への反映は権限を付けた別の道具に分ける。

出典:NTTデータ・AIsmileyの解説、ARCHECOの開発記録

隔離した場所で動かす(サンドボックス)

サンドボックスとは、外に影響が出ないよう隔離した作業場所です。AIの作業は、本番と切り離した場所で動かすのが基本です。NTTデータとAIsmileyは、まずコマンドを許可リストで絞る方法を挙げます。ネットワークは遮断するか、接続先を限ります。ファイルの読み書きの範囲と、認証情報の渡し方も決めます。手元のパソコンから分離した開発環境(Dev Container など)を使う方法もあります。隔離した作業場所は、壊しても作り直せるため、AIが試行を進めやすくなります。並行する作業同士の干渉も防げます。OpenAIは変更ごとに別の作業場所でアプリを起動していました。担当者は、隔離が初期設定で有効かを確かめます。一創によれば、Strands Agentsは隔離を指定しないと手元の環境で直接動きます。社内のデータベースへの書き込みや本番のコマンドは隔離の外で直接触らせず、外への反映は権限を付けた別の道具に分けます。

権限を操作の単位で絞り、AI専用のIDを持たせる

担当者は、作業ごとにAIが読む対象と、作成・更新する対象を決めます。削除・外部送信・実行についても個別に判断し、必要な権限だけを渡します。本番の環境と試す環境も分けます。AIには、人ではない利用者として登録した専用IDを与えます。担当者は、人の権限の貸与を避け、期限の短い認証用の情報と操作記録を組み合わせます。権限や認証が要る場面を、プロンプトの「〜しないで」で済ませてはいけません。ARCHECOでは、それぞれのAIが自分の作業フォルダの外には書き込めないようにしています。

秘密の置き場所を1か所に決める

パスワードや鍵へのアクセスを制限します。クラウドの認証情報と個人情報にも、無制限に触れさせません。秘密は1か所に置き、変更の記録や作業の日誌に残さないこと、AIに入力させないことを決めておきます。ARCHECOのAIが守っている決まりにも「機密のデータは変更の記録に入れない」があります。WEELは、変更に秘密の情報が紛れ込んでいないかを自動検査する方法を勧めています。担当者は検査を変更ごとに実行し、秘密を書いてしまっても外部へ送る前に止めます。一創によれば、OpenAI Agents SDKは一連の処理の記録(トレース)を、初期設定でOpenAIへ送ります。送信を止めなければ、顧客データを含む会話が社外へ出るため、導入時に設定を確認します。自社検証の合言葉は手元の1ファイルだけに置き、変更履歴にも日誌にも残していません。AIもパスワードを一度も入力していません。データの保護を設定した上で、AIが作った成果物を受け入れる検査を組み込みます。

6. 検収:成果物を別の目で確かめる

検品表の1行だけに朱色のバツ印があり、横に検印と虫めがねがある挿絵

安全な作業場所で作った成果物も、「完成」という報告だけでは受け入れません。ARCHECOの自社検証では、AIの報告書に4つの作業が「後回し」と書かれており、まとめ役のAIが差し戻しました。自己申告と、合意した完了条件を確かめる検査は別だからです。以下では自動検証と点検役を分け、完了の基準と定期的な手入れを決めます。ARCHECOは検収の手順を作り、残件を含む報告と実物を照合します。機械で判定できない品質は、人の確認として残します。

  1. 何をもって完了とするかを、着手の前に確かめられる文で決める。
  2. 速い検査ほど手前に置く。1行の変更なら最初の層で、部品をまたぐ作り直しなら最後の層まで通す。
  3. ARCHECOの記録では、『完成しました』の報告の裏に後回し4つ、機械の点検で60曲中54曲が『要確認』だった。自己申告ではなく事実と数字で差し戻す。

出典:Qiitaの解説、ARCHECOの開発記録

夜9時、音楽アプリの担当からの報告21:00
報告書まで完成しました。
  • 後回し曲を60曲までそろえる
  • 後回し8時間の連続再生
  • 後回しWebの点検の残り
  • 後回し店で流すための権利の確認

まとめ役のAIが差し戻して作業を進めさせた。作業の実施と検収の完了は別であり、権利の確認は完了扱いにしていない。機械の点検では60曲中54曲が「要確認」だった。

成果物を自動検証し、ハーネス自体も試す

検収の仕組みは、AIの完了報告を受けてテスト・リンター・型検査を実行します。失敗したらエラーの記録をAIへ返し、修正させます。検査には速さの段階があり、Qiitaの解説は4つの層に分けています(下の表)。速い検査から始め、担当者は変更の対象と影響の範囲に応じて必要な検査を選びます。部品間の連携に影響する変更は、全体を通す検査まで実行します。権限・承認の設定を変えたときは、下表の「禁止・承認で止まるか」の検査を必ず通します。 画面の動きは、ブラウザを自動操作する道具で確かめます。担当者は必要に応じて、セキュリティと性能、アクセシビリティ(誰でも使えるか)の検査を加えます。Qiitaの解説は、型の厳しい言語はそれ自体が品質の関門になると書いています。先にテストを書いておけば、AIはテストが通るまで自分で直し続けます(テスト駆動開発)。renueの解説のように、精度が下がった変更は取り込みを止める関門を置く方法もあります。 完了前の関門を一律に足すより、AIの報告を人が信じてよいかを確かめる検査を優先すると、無駄が減ります。 ハーネスの部品は、AIを呼ばずに試せます。一創は、決まった答えを返す模擬モデル(ScriptedModel)を使うテストを載せています。模擬モデルは上限や拒否などの制御を試すものです。実際のモデルの判断や応答の揺れ、悪意ある入力への耐性は、実モデル用の評価問題で別に確かめます。一創が挙げる返金を扱うAIの例では、外部機能を呼び出すAPIの認証情報なしで試します。上限を超える返金を拒否するかを確かめます。3回で止まる設定も、コードと実行結果で示しています。変更のたびの自動検査でこのテストを回せば、誰かが設定を変えたときにすぐ気づけます。評価には、情報の不足や矛盾を含む問題も入れます。次に権限不足と道具の故障を試します。悪意ある入力にも崩れないか確かめます。ハーネスを変えたら、同じ評価の問題で前と比べてから入れ替えます。下表には、成果物の検査に続けてハーネス自体の確認項目も載せています。

成果物の4層の検査と、ハーネス自体の検査(Qiita・一創・CodeZineの解説をもとに整理)
検査の段階/対象見つかるもの/確認の方法時間の目安道具の例
1. コンパイル・型の検査書き間違い・型の誤り数秒Go・TypeScriptの型の検査
2. 単体テスト処理の誤り・以前直した不具合の再発数分pytest・Jest
3. 画面を通しで操作するテスト部品どうしのつながり・画面のずれ数分〜数十分Playwright
4. 変更のたびの全体の検査環境ごとの違い・全体の整合数十分CIを実行するGitHub Actions
上限で止まるか繰り返しを3回までにして、模擬モデルに道具を呼び続けさせ、3回で止まるかを見る—模擬モデルで制御を検査/実モデルで判断を評価
禁止が効くか定めた上限を超える返金を頼ませ、ガードレールが拒否するかを見る(一創の例)—模擬モデルで制御を検査/実モデルで判断を評価
承認で止まるか本番への反映や送金を頼ませ、人の承認を待つ状態になるかを見る—模擬モデルで制御を検査/実モデルで判断を評価
要約の後も覚えているか最初に伝えた事実を、要約が走った後に聞いて答えられるかを見る(CodeZineの解説)—模擬モデルで制御を検査/実モデルで判断を評価
困った入力で崩れないか情報の不足・矛盾、権限の不足、道具の故障、悪意ある指示を混ぜる—模擬モデルで制御を検査/実モデルで判断を評価
判断の質模擬モデルでは測れないので、本物のモデルで評価の問題を解かせて前後を比べる—模擬モデルで制御を検査/実モデルで判断を評価

点検役を分ける:作った本人に採点させない

作ったAIに自分の出来を採点させると甘くなります。そこで、計画する役・作る役・点検する役を別のAIに分けます。日本HPが紹介したAnthropicの実験では、点検役のAIがブラウザでアプリを実際に操作しました。採点基準は、デザインの質・独自性・作りの丁寧さ・動作の4つです。約6時間の作業でも、人が見落としやすい細かな不具合をAIが指摘しました。Algomaticの登壇資料は、自社の品質の基準で、作る機能の種類に応じてレビューの観点を変えています。ただし、点検役もAIだけだと同じ誤りを共有します。事実と数値は、テストのように決まった答えと照合できる検査か、人の確認で確かめます。セキュリティ・法令・外部送信についても、AI同士の点検だけで受け入れない基準を置きます。ASPICのレポートは、速く結果が確定する機械の検査(テスト・リンター)と、意味を判断できるが遅いAIの検査を分けて使うよう整理しています。 点検役は、モデルの強さと作業の重さに合わせて入れるかどうかを決めます。

完了の定義と、変更を取り込む基準

検収で揉める原因の多くは、何をもって完成とするかが決まっていないことです。Anthropicは、作業の前に作る役と点検する役が完了の定義を合意する手順を紹介しています。OpenAIは、人の好みだけで合否を決めませんでした。正しく動き、保守でき、将来のAIが読めれば合格としています。人が確認しやすいよう、変更の理由・走らせたテスト・残っている懸念・影響の範囲を決まった形で報告させる方法もあります。ARCHECOは、完了報告に「後回し」と書かれた項目を見つけたら差し戻す、を決まりにしています。 OpenAIは当初3人のチームで、約5か月に約1,500件の変更提案を取り込みました。そこでは「直すのは安く、待つのは高い」として、取り込みの関門を最小限にしています。不安定なテストは再実行で済ませたと報告しています。同時に、処理量の少ない環境ではこのやり方は不適切だとも断っています。人のレビューを必須にするかどうかは、検査の自動化の厚みと、間違えたときに戻せる速さで決めるのが筋です。

コードの劣化と、定期的な掃除

AIは既存のコードの書き方を、良いものも悪いものもまねて広げます。OpenAIは当初、毎週金曜日(週の20%)をAIが作った粗いコードの修正に充てていました。その後は守るべき原則をリポジトリに書き、原則からのずれをAIが定期的に検出・修正する形に変えました。原則の例は、同じ処理は自前で書かずに共有の部品に集める、データの形を推測で扱わず受け取る境界で確かめる、といったものです。エンジニアは修正の多くを1分以内にレビューでき、自動で取り込める変更もあります。修正を放置すると後の改修負担が増えるため、小さな単位で継続的に直す考え方です。逆に言えば、良い書き方も同じ速さで広がります。ASPICのレポートは、誤りがテストごと定着しないよう、わざと誤りを入れてテストが気づくかを確かめる変異テストを挙げています。NTTデータの解説やOpenAIの報告のように、文書の古さとリンク切れをAIに定期的に点検させる方法もあります。検査で誤りが見つかったときに備え、次に変更の記録と戻す手順を整えます。

7. 事故への備え:記録を残し、戻し方を確かめる

朱色の消火器と救急箱、開いた記録ノートと三角コーンの挿絵

検収で見つけた誤りや運用中の事故に備え、ARCHECOは変更前の状態と復旧手順を残します。ARCHECOの運用記録では、誤って変更した外部サービスの設定を、変更前の記録から戻せました。事故の影響を抑えるには、小さいうちに気づき、戻せる状態を保存する必要があります。以下では操作の記録、復旧の手順、ハーネス自体の変更管理を整えます。ARCHECOは対象ごとに戻し方を作って復旧を試し、戻せない影響と責任者も明確にします。すべての事故が同じ時間で戻るとは約束しません。

  1. ARCHECOの記録では、開発の途中で保存が52回、AIへの指示書が22本、日誌が547行残った。
  2. 外部サービスの設定が誤って書き換わったときも、変更前の状態が記録に残っていたので同じ状態に戻せた。戻す手順には、戻ったことの確かめ方まで含める。
  3. 戻せるのは、記録と戻し方を用意した範囲だけ。送信済みの情報のように戻せない操作は、人の承認で手前で止める。

出典:ARCHECOの開発記録

観測と記録:何を見て何をしたかを追えるようにする

AIが読んだ情報と判断を記録します。道具の呼び出しと変更も、後から追えるようにします。出来事のログと、一連の処理を結ぶトレースを使います。記録の形式には、業界で使われるOpenTelemetryという規約があります。生成AI向けの規約も開発中のため、担当者は採用する版と形式を確認します。記録はAI自身にも読ませると、自分で原因を調べて直す力が上がります。ARCHECOのiPhone版の8時間再生テスト(切替196回・停止0回)では、エラーと曲の重複がそれぞれ1回記録されました。AIが原因を調べた結果、どちらも記録する側の誤検知で、アプリの問題ではありませんでした。記録は、誰が何を承認したかを後から説明する根拠にもなります。自社検証では、AIが変更のたびに保存し、戻し方を書き残し、1時間ごとに状況を報告していました。

戻し方:変更ごとに保存し、戻す手順を書く

変更ごとに履歴を保存し、戻す手順と確認方法を1組にします。長い作業は区切りで保存し、そこから再開できるようにします。コードを戻せても、送信済みの情報や外部サービスへの影響まで消せるとは限りません。対象がコードか設定か外部サービスかを分け、戻せる範囲を試します。ARCHECOの記録では変更前の状態を残したことで設定を復元できました。検証していない影響を、戻せるものとして扱わないことが要点です。

ハーネス自体の変更管理と、古いルールの削除

モデルやプロンプト、参照資料の変更は、AIの振る舞いを変えます。道具や権限、テストを替えたときも同じです。ハーネスもプロダクトと同じく、変更の履歴を付け、変更の理由を残し、同じ評価の問題で確かめてから入れ替えます。ハーネスは放っておくと形だけになります。Software Design誌の特集は典型を4つ挙げています。実行を飛ばす設定のテストや、実態とずれたAGENTS.mdが残る場合です。通知が多くて無効にされたリンターのルール、実物と異なる古い模擬データも挙げています。古くなったルールは、ない場合より厄介で、AIを誤った方向へ導きます。AIsmileyの解説が勧めるように、ルールを1つ足すときは、それを誰がどうやって確かめるかまで決めます。そうしないと、ルールを増やすほど確認の負担が増え、入れる前より手間がかかることもあります。定期的な見直しの場を決め、書き足すだけでなく消す作業も運用に入れます。ルールの更新を続けるためには、仕組みとともに、御社内で運用を引き受ける人の体制が必要です。

ハーネスエンジニアリングを支える組織の5つの備え

7つの仕組みを運用するには、人の担当と承認の手続きも必要です。ARCHECOは、AIに残せない判断・操作を誰が担うかを御社と決めます。実行の場と担当者を定め、指示の練習やルール・道具の更新を続ける体制を作ります。

1. 出島:変革を担う組織・場を、本体の外に設ける

陸地と小さな人工島(出島)を1本の橋がつなぎ、島の小屋にパソコンの机がある挿絵

社内の決まりが道具の更新に追いつかないと、使えるAIや処理の場所で作業が詰まります。生成AIサービスのClaudeを使う会社も、CopilotやGeminiに限る会社もあります。ARCHECOの自社検証では利用枠に応じてAIを替えましたが、企業では同じ変更にも承認が要ります。

出島で試す場合も、情シスや法務の承認を前提にします。ARCHECOは御社と対象データ・責任者を先に決めます。操作記録の残し方も合意します。外に出さないデータ、処理の場所、記録に残さない情報を定めます。通信方式と接続先も、会社の決まりと同じ水準で守ります。御社の決まりに沿って試せる範囲を先に確定するためです。

出島の置き場所は、御社の承認のもとで決めます。組織を本体の外に切り出すことと、データを社外に置くことは別に判断します。ARCHECOは御社と、管理担当者と責任範囲を着手前に決めます。データを外に出せない場合は、外へ送信しないモデルや閉じた環境を選びます。社内へ成果を取り込む際は、承認を得たファイルを受け渡す手順を設けます。

自社検証では、曲を生成するモデルを手元のMacで動かしました。公開記事の記録では、曲の生成の指示と生成データは手元の外へ出していません。これは曲の生成工程についての記録です。配信は別の工程で、外部の配信先の無料枠を確認して選んでいます。

御社の出島では、ARCHECOが御社と、どのデータを使うかを先に決め、送信先を限ります。生成・開発・配信の工程ごとに、処理場所と接続先を確認します。

社内への取り込みには、ARCHECOが次の手順を設計します。まずARCHECOが、生成コードと受け渡すファイルに秘密情報が含まれないか検査します。外部の部品(依存パッケージ)は、配布元と用途を確認して妥当性を判断します。既知の脆弱性と危ない書き方も自動検査し、結果を記録します。次に御社の情シス・法務が、安全性とデータの扱い、ライセンスなどの権利を確認します。承認を得たファイルをARCHECOが検証環境へ取り込み、既存の検査と受け入れ条件で確かめます。既存のデータ構造や連携を壊さないことも、取り込みの条件として検査します。本番への反映は、その結果に対する御社の承認後に進めます。社内の決まりを更新する判断材料まで整える支援です。実行の場を用意しても、人にしかできない操作は残るため、担当者を決めます。

2. 人の担当:AIにできない操作と承認を引き受ける

ケーブルでつないだスマートフォン、印鑑、鍵束、承認ボタンが並ぶ机の挿絵

人に残す操作は、担当が決まっていないと全体の待ち時間になります。ARCHECOの記録でも、作業フォルダを信頼してよいかを尋ねる確認画面は、人が操作しました。既定の選択肢が「いいえ、終了」だったため、自動応答ではAIが終わってしまいます。iPhone実機にはケーブル接続が要り、管理者パスワードを必要とする点検は、人の操作を2日以上待ちました。

承認と作業の役割を分け、待たせず引き受ける担当を置きます。ARCHECOは、本人確認と物理操作を人の担当にします。支払いと最後の承認も、人が引き受ける操作として残します。業務担当者が正解と承認の条件を決め、エンジニアが仕組みに落とします。OpenAIの報告でも、人の役割は優先順位を決め、利用者の声を受け入れ基準にし、成果を確かめることへ移りました。

ARCHECOは、人に残す操作の担当表と承認の境界を整えます。開発と検証が速くてもリリースが増えなければ、詰まりを移しただけです。人の待ち時間を測り、どの担当で止まるかを見直します。担当を置くことに加え、AIへの指示と結果の判断を実務で練習する必要があります。

3. コーチング:使う人の判断と伝え方を磨く

ホワイトボードの流れ図の矢印が1本だけ朱色で引き直されている会議室の挿絵

指示の方向とタイミングがずれると、AIは速く作っても意図を外します。ARCHECOの記録では、依頼者が方向を直し、音を出してよいと決まりを変えたことが結果に影響しました。コーチングでは、御社の担当者が何をいつAIに伝え、どの判断を任せるかを、実際の仕事で練習します。

ARCHECOは、社員が実務で使えるまで伴走して教えます。人の仕事は、AIが動く環境を整え、目的を明確にし、結果を返して改善する手順を設計することへ変わります。実務で合意した判断基準は、個人の経験にとどめず、組織のルールとして残します。

身につける力は、目的から検証までをつなぐ力です。renueは出力を見る目と作業の分割に加え、フィードバックの設計と限界の見極めを挙げます。ブレクサは目的の明確化から情報の構造化へ進み、権限と境界を決める力を挙げています。さらに成果を機械で確かめ、失敗から環境を直す力を重視します。知識だけでなく、型と慣れが必要です。

参考:判断基準を合意する研修の例です。研修では、結果を比較して判断基準を合意する練習ができます。VOIXが紹介するジェネラティブエージェンツの講座は「AIコーディング実践講座・アドバンス」です。開発の責任者向けに1日で講義と実習を行います。3〜4人の班がブラウザの「ハーネスラボ」で指示を直し、結果から改善点を合意します。

参考:@ITが紹介したGoogleの解説動画では、ロポポロ氏(同記事では現Google Cloud所属)が2025年5月以降、編集画面を開いていないと語っています。同氏が見ているのは、変更や文書が組織の基準を満たすかです。出典は、2026年9月25日のGoogleによる動画の紹介を要約した@ITの記事です。実務で確認する対象が、作業そのものから組織の基準へ移った例です。

4. 組織のルール:社内の決まりをAIが読める形で育てる

掲示板に新しいルールの紙が1枚、朱色のピンで足されたところの挿絵

決まりが人の頭や古い文書に残ったままでは、AIは従えません。ARCHECOのAIたちが守っているルールは、ほとんどが事故から生まれたものです。パソコンのデスクトップやディスプレイの切り替えは人に任せ、AIには機密データを変更履歴へ入れさせません。本番への反映と支払いには、人の言葉による許可を求めます。別のAIからの連絡は、人の許可として扱いません。どれも一度ひやりとしたあとに書き足しました。ルールは最初から完璧には作れず、AIが読める場所に書かれていなければ働きません。

企業ではここに統制が加わります。NTTデータの解説が「運用」として整理しているとおり、AIが書いたものでも説明する責任は会社に残ります。要件と判断の担当を記録し、検証した内容と承認者を残します。その記録を既存のセキュリティ審査や監査へつなぎます。変更管理とリリース判定も同じ手続きに合わせます。AIに入力してよい情報の範囲、個人情報の扱い、依存する外部の部品の危険の確認も決めます。

組織の運用担当は、AIエージェントの所有者・目的・IDを台帳に記録します。権限と接続先も管理し、使わなくなったAIを廃止する手順を設けます。境界は中央で決め、境界の内側の自由は現場に任せるのが、多くの解説とARCHECOに共通する考え方です。ARCHECOは、御社の承認手続きとAIの記録をつなぎ、書き足す担当と見直しの場を整えます。ルールの更新時には、使うモデルや道具の条件も確かめ直します。

5. 選定:モデル・道具・置き場所を選び続ける

天秤の左右に形の違う道具箱を載せて比べている挿絵

道具を選んだまま放置すると、利用枠や権利の条件が作業を止めます。ARCHECOの記録も、選び直す場面の連続でした。AIは曲を作るモデルの権利条件を比べ、3つの候補から選びました。実装を任せるAIは、処理できる文章量であるトークンの残りを見てClaudeからCodexへ切り替えました。配信先は、無料枠が1ファイル25MiB、1日10万リクエストであることを確認して選びました。MiBはファイル容量の単位、リクエストは配信先への要求の回数です。選ぶモデルや道具によって、費用・権利・速さの条件が変わります。担当者は、更新に合わせて選定を見直します。ARCHECOは毎朝6時にAIの道具の更新を調べる仕組みを動かしており、自社検証を行った10月24日の朝も、使っている道具の1つが新しい版に上がっていました。

ハーネスを自分で作るか、既製の部品やSDKに任せるかも選定の一部です。一創は、監査で振る舞いを確定させる必要があれば自作を勧めています。契約上、特定の会社に依存できない場合も同様です。それ以外は既製の部品から始めるとしています。自作する場合も、業務に固有の道具と承認・検査の部分に絞り、異常終了や承認の拒否まで試すテストを用意します。部品集の向き不向きは下の表のとおりです(AIsmileyの解説をもとに整理)。

モデルは、任せる作業で品質と負担を比較して選びます。電通総研は小さなモデルのHaikuでも、差がつく課題を作るのに苦労したと報告しています。その結果から、小さな修正は軽いモデルに任せてみることを勧めています。@ITが要約したGoogleの解説動画でも、スミタ・コラン氏が、コーディングのエージェントに重い推論モデルが必ず要るわけではないと述べています。半年前にできなかった作業が今のモデルならできることもあるので、できなかった作業は定期的に試し直します。

ARCHECOは比較表を作り、導入と更新を支援します。道具を替えるだけで解決とせず、御社の作業で判断と検証が成立するかを試します。必要な仕組みと担当を選んだ後は、小さく試して効果を測ります。

エージェントの部品集の向き不向き(AIsmileyの解説をもとに整理)
部品集向く場面ハーネスとして使える機能
LangChain・LangGraph途中経過を保存しながら長く動かす状態の保存、中断と再開、人の承認、道具の連携
CrewAI複数のエージェントに役割を分ける役割の分担、流れの定義、ガードレール
OpenAI Agents SDK少ない部品で素早く組むエージェント間の引き継ぎ、ガードレール、記録
Microsoft Agent FrameworkAzureや社内の業務システムとつなぐ永続化、ワークフロー、人の承認
Google ADKGoogleの環境で組む(Googleの解説動画で安全対策付きの型の実演に使用)フック、記憶

ハーネスエンジニアリングの進め方と効果の測り方

仕組みと組織の担当が見えたら、最初に試す業務と、効果を測る指標を決めます。ARCHECOは御社と停止・失敗の記録を整理し、小さな対象で着手前後を比較します。各段階で御社とARCHECOが担うことを示します。

ハーネスエンジニアリングの進め方(導入の手順)

ARCHECOは最初に失敗の原因を整理し、御社と役割を分けて進めます。一般的な「ルールを書く→検査を入れる→記録で直す」の前に、棚卸しを置きます。過去の失敗と毎回伝える注意を集め、知識の置き場所と入力してよい情報も確かめます。7つの仕組みと組織の5つの備えに振り分け、下表の段階ごとに作るものを決めます。

ARCHECOは、前半と同じ4段階で、棚卸し→設計と実装→人と組織の整備→運用へ進めます。段階2では、守る境界と完了条件の合意→検査・権限などの実装→検収・復旧の確認の順に進めます。実装する部品の順番は、既存の検査と権限の状態で変えます。すでにルールや検査がある会社は、文章の指示をフック・権限・テストへ移す段階から始められます。参考として、Software Design誌は検査→権限→ルールファイルを勧めています。ARCHECOも、守る境界を確認してからAIに作業を任せます。

導入後も、事故と停止のたびに仕組みを1つずつ直します。毎月「今月の失敗と、それをどう防ぐか」を見直します。同じ失敗を繰り返さないよう、運用担当者が改善をルールや検査として残す方法です。足すたびに確認する担当と方法を決め、負荷が増えすぎていないかも見ます。

設計の点検では、完了条件から緊急停止まで、AIの作業全体を確認します。ブレクサの7つの問いも、確認項目として使えます。まず完了条件と必要な道具を確かめ、権限が操作単位で最小かを見ます。次に状態が会話の外に残り、外の基準で検証できるかを確かめます。最後に記録、人へ戻す条件と緊急停止を確認します。人が全部を読む状態から、機械と点検役が先に確かめる状態へ移します。付きっきりの指示は引き継ぎと見回りへ、口頭の注意は再発を防ぐ設定へ移します。知識もチャットから履歴付きの置き場所へ移します。手順を試す対象は、失敗の影響を限定できる業務から選びます。下表では、御社とARCHECOの担当を導入全体の段階に沿って確認できます。

導入の各段階と双方の役割(Solution Flowの4段階に対応)
段階御社がすることARCHECOがすること・渡すもの
1. 棚卸し停止・取り違え・事故の記録、権限、社内の決まりを共有。承認者を決める7つの仕組みと5つの備えに原因を振り分け、着手順と測る指標を整理
2. ハーネスの設計と実装目的、正解の基準、変更禁止の範囲を合意。許可・確認・拒否の境界を承認。人に戻す条件と判断の基準を決める。責任者と戻せない影響を確認確かめられる文でルールと受け入れ基準を作る。フック・権限・テストへ移し、通す操作と止める操作を検証。進捗の保存、見回り、再開の仕組みを作る。操作と承認の記録、復旧手順を作り、戻せる範囲を試す
3. 人と組織の備え人の担当と出島の要否を決める出島の設計、コーチング、組織のルールづくりを支援
4. 運用と育成更新の担当を決めるルール更新を支援し、効果測定と運用を引き継ぐ
  1. 過去の失敗、AIに毎回伝えている注意、社内の知識の置き場所、AIに入力してよい情報の範囲を書き出す。
  2. すでにテストや検査がある会社は、ここから始める。何を守らせたいかが決まらないと検査の中身も決まらないので、ARCHECOはルールを先に置く。
  3. 毎月「今月の失敗と、それをハーネスでどう防ぐか」を見直す。歯止めを1段ずつ締め、逆戻りさせない。

出典:ARCHECOの進め方、gihyo.jp(Software Design 転載)

何から始めるか:小さく試す対象と条件

小さな鉢の苗木と朱色のじょうろの挿絵

ARCHECOは御社と、失敗の影響が小さく、完了条件が明確な作業を選びます。人が結果を確かめられることも条件です。テストの追加や文書更新から始められます。繰り返す修正や軽い作り直し、既存の型に沿う機能追加、コードレビューも候補です。既存の開発環境のまま、規約とテスト、権限と記録をAIが使える形にします。

ARCHECOの導入順は前節のとおりです。試す対象は、失敗の記録と重視する指標から決めます。以下は対象と施策を選ぶ際の参考です。日本HPは、過去1か月の失敗を10個書き出す一歩を勧めています。Algomaticは、まず保守性や速さ、要件を満たすことの優先順位を決めます。人の費用とシステムの費用も含めて考えます。Algomaticはその上で、原則→フック→スキル→検証の順に、AIの自由度を制限する施策から始めます。難しさと影響範囲を抑えるためです。ARCHECOも1つの業務と少数の失敗の型に絞ります。

小さく動かすと、不足する仕組みを観察できます。AI駆動開発協会は、AIを動かす周囲の仕組みを備えたOpenClawのような既製ハーネスを触り、記録を見ることを勧めています。@ITが紹介するGoogleの動画で、ジェイコブソン氏は小さなハーネスを自作して原因を知る方法を勧めます。最初から全部の仕組みを入れず、今の構成で足りない部分を確かめます。

小さな失敗を、再発しない形へ変えるところまで試します。WEELの例では、0で割るときに決めたエラーを返すルールに、最初の実装が違反しました。テストで食い違いを見つけて直し、lessons.mdに教訓を残しています。やり直すと3件のテストが通りました。Googleの動画も、小さな変更から始めて長く安定すると確認してから範囲を広げます。言語の移行のような大きな仕事はその後です。

小さいチームでも、資料を整える担当は必要です。ファインディは人数より、資料整備に工数を割けるかを重視しています。使う範囲が限られ、整備の工数もない場合は向きません。一方、決まりをその場で直せる小さなチームなら、改善を早く反映できます。全社へ広げる前に、更新と評価を続けられるかを試します。続けられるかは、作成量だけでなく品質と人の負担も測って判断します。

ハーネスエンジニアリングの効果の測り方

ARCHECOは、AIの成果物の量と品質、人が確認・修正する負担を並べて測ります。量だけでは後始末の負担が見えないためです。AIsmileyもこの見方を勧めています。AI駆動開発協会は処理量・品質・人の負荷に、安全とハーネスの健全さを加えて整理しています。下表では、その指標と自社記録の例を分けました。

開発チーム全体の働き方も確かめます。AlgomaticはFour KeysとSPACEを併用しています。Four Keysはリリース頻度と変更から反映までの時間、変更の失敗率と復旧時間です。SPACEは、開発者の働き方を5つの観点で測る考え方です。満足と健康、成果、活動量に加え、やり取りと協力、効率と集中を見ます。開発だけが速くてもリリースが速くならず、人が疲れていれば続きません。

着手前に今の数字を取り、同じ業務と条件で比べます。ARCHECOが最初に見るのは、AIの停止回数と再開までの時間です。人の一押しを待った時間と、完了報告の差し戻し回数も測ります。導入そのものを目的にせず、どの待ち時間と手直しが減ったかを確かめます。

下表の記録は、それぞれ何を確認した数字かを区別して読みます。測定で分かった改善の効果と運用の負担を、次の費用の判断に使います。

ハーネスエンジニアリングの効果を測る指標の例
見るもの指標の例ARCHECOの記録での例
処理量完了した作業数、変更を出すまで・取り込むまでの時間112機能中103が動作。導入前後の比較値ではない
開発AIの作業継続開発AIの停止回数、開発AIが停止してから作業を再開するまでの時間未計測(着手前に測る)
成果物の動作確認完成アプリの連続再生中の停止回数完成アプリの一晩かけた8時間の連続再生テストで、再生の途切れ0回
正直さ・品質完了報告の差し戻し回数、自動検査の通過率、本番での不具合の率、元に戻した回数「完成」の自己申告を検証し、未実施の作業を差し戻して未検証の範囲を報告させた
人の負荷人の一押しを待った時間、レビューの時間、人が割り込んだ回数管理者パスワードの要る点検は2日以上待ち
安全止めた危険な操作の数、秘密の混入の検出数、許可のない設定変更外部サービスの設定変更1件を記録から復元
ハーネスの健全さ文書と実装のずれ、ルール違反の増減、使われないルールの数事故のたびにルールを書き足した
判断の記録分かれ道で下した判断の件数と理由音楽10件・動画19件を理由つきで記録
  1. どの会社でも最初に測るのは、AIが止まった回数、止まってから再開までの時間、人の一押しを待った時間、完了報告を差し戻した回数の4つ。
  2. 指標は処理量・品質・人の負荷・安全・ハーネスの健全さを並べて見る。開発が速くなってもリリースが速くならなければ、価値は届かない。
  3. ハーネスそのものも傷む。使われないルール、文書と実装のずれ、ルール違反の増減を数えて、書き足しすぎを防ぐ。

出典:AI駆動開発協会の解説、Algomaticの登壇資料(Four Keys・SPACE)、ARCHECOの運用の決まり

ハーネスエンジニアリングの費用は何で決まるか

試す業務と測定方法が決まると、見積もりに必要な範囲を整理できます。費用は、対象のAI・業務と、既存の検査・権限の整備状況で変わります。組織の備えを含めるかも確認し、実装の工数と運用支援、道具の利用料を分けます。

費用を左右する対象・既存環境・承認・支援範囲

御社とARCHECOは、仕組みを作る作業量(工数)、運用支援、AI・道具の利用料を分けて見積もります。対象のAIと業務が増えるほど、接続と検証の範囲も広がります。既存のテスト・権限・記録が整っているかによって、最初に作る量が変わります。使えるAIやデータの置き場所、承認の重さも見積もりの条件です。

初期整備と維持のどちらに負担がかかるかは、現状によります。AIsmileyは維持の負担を重視し、ファインディは資料整理とAGENTS.md設計の初期工数を挙げています。出島の立ち上げ、人の配置、コーチングまで含める場合は、その範囲を別に合わせます。期間も同じ条件で変わります。部門をまたぐ承認と更新を含めれば、完成後も運用が続きます。

実行費用は、やり直しと検収の設計を含めて見ます。ARCHECOの見方では、やり直しが増えるほど利用料も増えます。検収を厳しくするとAIの実行費用が増え、人の手直しが減る可能性があります。

費用と品質、人の負荷を同じ作業で測り、釣り合いを決めます。

自社検証の実費は、御社の費用の目安ではありません。ARCHECOは、手元のMacで動くモデルと無料枠を使い、追加の支払いを抑えました。曲を28回作り直した分を含め、手元の電力の費用はかかっています。既存の環境を使った条件であり、支援の工数や御社の利用料の目安にはなりません。

  1. 電通総研の比較では、点検役を足すと強いモデルで費用が約2倍になり、品質は変わらなかった。足した仕組みが効いているかを測ってから残す。
  2. すでにある資料と検査が多いほど、最初の整備は軽く、維持に重心が移る。自社検証は手元の環境と無料枠を選んだ条件であり、御社の費用の目安ではない。

出典:電通総研 テックブログ、AIsmiley・ファインディの解説、ARCHECOの見方

相談の前に確かめておくとよい項目
  • 対象どのAIを、どの業務で使っているか。
  • 既存環境テスト・権限・操作記録があり、誰が管理しているか。
  • 承認使えるデータと置き場所に制約があるか。誰の承認が必要か。
  • 支援範囲仕組みの実装に加え、出島・人の配置・コーチング・運用支援を含めたいか。

分かる範囲の概要から相談できます。ARCHECOは診断で欠けた仕組みと着手順を整理し、支援範囲に応じた概算をお伝えします。

依頼の型ごとのハーネスエンジニアリング費用

無料診断は依頼の入口で、後続の支援は「ハーネスを作る」「組織を整える」の2つです。無料診断では、概要から疑う原因と着手順を短く整理します。実装と検証、組織の整備や運用への伴走は、依頼する範囲に応じて費用を確認します。モデルと道具の利用料は支援の工数と別に確認します。範囲をそろえると、依頼先ごとの担当と成果物を比較できます。

無料診断の入口と、依頼する支援の費用
入口・支援の型・利用料作業と成果契約・費用の見方
無料診断(依頼の入口)概要から疑う原因・最初に調べる仕組み・着手順・効果指標を短く整理無料。記録を集める棚卸しや、実装・運用の支援とは範囲を分ける
ハーネスを作るルールと道具、権限の設計。継続・検収・復旧の実装と検証受託・準委任。作る工数と引き継ぎ、運用の伴走範囲で変わる
組織を整える承認された出島、人の担当、コーチング、ルール更新と選定月額顧問など。運用への伴走と対象部門の範囲で変わる
モデルと道具の利用料AIの実行、接続先や実行環境の利用上記の支援費用とは別。契約と無料枠、実行量を確認

ハーネスエンジニアリングの依頼先の選び方とよくある失敗

支援の範囲と費用の条件がそろったら、依頼先が何を作り、どう検証するかを比べます。学習や道具の設定だけで足りるか、実装・運用まで必要かで相手は変わります。御社が依頼前に確かめる質問と、仕組みで解けない問題を示します。

ハーネスエンジニアリングを頼める相手の型

依頼先は、今の詰まりに合う支援の範囲で選びます。支援の型は、①研修、②道具の導入支援、③相談と実装支援、④設計・実装・運用の伴走です。御社が学びたいのか、作業を依頼したいのかで選びます。1社が複数の型を持つこともあります。相談の案内だけでは実装や運用まで含むかは分からないので、契約の前に作るものを確かめます。ARCHECOは、止まった場面の記録から欠けた仕組みを整理し、設計・実装した仕組みと運用の手順を引き継ぎます。契約前には、次の質問で、説明と実際の作業範囲が一致するかを確かめてください。

支援の型と向いている状態(2026年10月時点の各社の公開ページ)
型各社の公開ページの案内向いている状態・確認する範囲
研修ジェネラティブエージェンツの1日研修。AI駆動開発協会の法人研修構成や改善の考え方を学び、社内の判断基準をそろえたい
道具の導入支援Findy Team+は開発組織の分析ツールの資料を案内使う道具や測定を整えたい。案内だけではハーネス一式の実装範囲は判断しない
相談と実装支援WEELは設計と導入の進め方の無料相談、renueは実装支援と相談を案内課題を整理して支援範囲を相談したい。契約後に作るものを確認する
設計・実装・運用の伴走ARCHECO:止まった場面の記録をもとにした設計・実装、運用の引き継ぎ実際の停止や事故を直し、社内で更新する体制まで整えたい
  1. 研修は、講義と実習で考え方を学ぶ形が多い。自社の環境に作り込むのは別の仕事になる。
  2. 依頼先には、止まった場面から始めるか、お願いと強制をどう分けるか、効果を何で測るか、作ったあと誰が書き足すかを確かめる。

出典:各社の公開ページ(2026年10月)、ARCHECOの見方

ハーネスエンジニアリングの依頼先に確かめる質問

御社の担当者は、依頼先へ作るものと検証方法を質問します。下の問いに、御社の業務を使って答えられるかを見てください。誰が承認し、誰が運用を引き受けるかまで合意してから着手します。回答を評価するときは、次の失敗を防ぐ運用まで含むかを見ます。

依頼前に確かめる6つの質問
質問答えで確かめたいこと
止まった場面や事故の記録から始めるか道具を決める前に原因を切り分けるか
文章のお願いと、必ず守る仕組みをどう分けるかルールごとの権限・フック・テストが対応するか
使う側の外部ハーネスを扱うか製品の内部と、御社が整える範囲を区別できるか
効果を何で測り、着手前に何を記録するか量だけでなく品質・人の負荷・安全を比べられるか
対象と責任者、止める条件と戻せない影響をどう決めるか承認の境界と復旧試験が具体的か
作った後は誰が書き足し、不要なルールを消すか更新と評価を社内で続けられるか

ハーネスエンジニアリングでよくある失敗

倒れていくドミノを朱色のストッパーが途中で止めている挿絵

失敗を避けるには、仕組みを増やす量より、実際の詰まりに効いているかを見ます。作り込みすぎると、読む量が増えて重要な指示が埋もれ、反応も遅くなります。モデルの進化で不要な仕組みも出てきます。

ルールと既存コードは、放置せず点検します。古いルールはAIを誤った方向へ導き、悪い書き方は速く複製されます。検証を作らずに人のレビューへ任せれば、作る速さに確認が追いつきません。文章のお願いだけで済ませることや、承認をなくすことも失敗につながります。暗黙知を読む場所へ移す作業も必要です。

ARCHECOは、方針を書いたことと実行できることを分けて確かめます。ファインディも、AIの賢さを過大評価し、組織の未整備を小さく見る点を問題にしています。「待つな」「自分ごととして考えろ」と書くだけでは、判断は進みません。止まった場面で組織の基準に沿って選ぶ仕組みを作ります。「完成」を差し戻す検収と、事故からルールを直す運用も確かめます。ただし、仕組みを整えても、人が決めるべき事業上の判断や品質の基準は残ります。

ハーネスエンジニアリングの限界:仕組みでは決められないこと

机に広げた地図の上に朱色の針の方位磁針がある挿絵

ハーネスを作っても、AIの誤りはゼロになりません。誤りの確率と影響を抑え、早く見つけるための仕組みです。記録と戻し方を用意して検証した範囲で、すぐ戻せるようにします。何を作るか、どこまでの危険を許すかは人が決めます。譲れない品質や、割引率を30%にするか40%にするかという事業判断も残ります。人が明文化していない基準は判定できず、テストや型へ落とす必要があります。

個別に設計すべき問題も残ります。ファインディは、プロンプトインジェクションと複数AIの衝突を扱いきれていないと断っています。監査の厳しい業界や、古いコードの多い環境も同様です。Algomaticも、今の仕組みは開発とテストに集中し、要件定義・設計・運用への拡張は今後の課題としています。

運用を担う人の注意力にも限りがあります。Qiitaが紹介するRedditの個人投稿では、並行して見られる作業は3本程度とされています。一律の上限ではありませんが、確認できる量を計画に含めます。ハーネス自体を保守する担当がいなければ、導入しても形だけになります。

組織の基準は、AIに毎回読ませ、毎回確かめる必要があります。AIが会話を越えて組織の基準を使うには、基準を保存し、次の作業で読ませる仕組みが必要です。ARCHECOは、作った後に基準と仕組みを更新し続ける体制まで支援します。支援の説明が実際の運用に基づくかは、次の記録で、検証済みの範囲と残件を分けて確かめられます。

ハーネスエンジニアリングの実際:ARCHECOの記録と公開事例

依頼先の実績は、完成した範囲と未検証の範囲を分けて確かめます。ここではARCHECOの自社検証に続き、他社の公開事例を示します。完成アプリの動作と開発中の問題、音源の品質を混同せず、御社へ適用する条件を考えます。

ハーネスエンジニアリングの自社検証:約10時間の開発と「完成」の裏側

ここに示すのは、ARCHECO自身の環境で行った自社検証です。2026年10月24日13時12分、代表がAIに一文を送りました。AIが作った曲だけを扱う音楽配信アプリを作り、店のBGMの有料配信を置き換えられるか、という依頼です。余力があれば短い動画アプリも作るよう添えました。画面設計も仕様書も技術選定も、人は行っていません。

人の指示は、判断を任せることと、方向や制約の修正が中心でした。「その都度あなたの判断で完全に決定して」と伝えています。途中で代表が、AIの作業を音楽配信アプリの構成を作るという意図へ戻させ、会議中に音が鳴った際には「止めて」と伝えました。夕方の「音を出さない」という決まりは、2時間後に「出してよい」へ変わりました。

約10時間後、AIは大手の音楽配信と同じ構成の主要画面・機能を実装していました。ホーム・検索・ライブラリの画面を備え、全画面プレイヤーで次の曲を並べ替えられます。プレイリストとオフライン再生もあり、店舗モードは時間帯でチャンネルを切り替えます。AIが作った曲は60曲・146分でした。保存52回、指示書22本、日誌547行の記録が残っています。

ARCHECOは、並行してAIに作らせた動画アプリの動作も確かめました。大手の短い動画アプリと同じ操作のアプリで、約14時間半で112機能中103が動きました。機能は本家の公式ヘルプから確認したものです。ライブ配信もブラウザ同士で数人まで動きました。残る9機能には、本当のお金のやり取りと外部の身元確認が必要でした。

一晩かけた8時間の連続再生テストでは、曲が205回切り替わり、停止もエラーも0でした。朝の時間帯へのチャンネル切り替えも挟んでいます。iPhone版の8時間の試験では196回切り替わり、停止0回でした。エラーと曲の重複が1回ずつ記録されましたが、AIの調査で、どちらも記録する側の誤検知と分かりました。

開発中の「完成」報告には、未実施の作業がありました。夜9時には曲を60曲そろえる作業と8時間の再生試験が後回しでした。Web点検の残りと、店で流す権利の確認も合わせて4つです。まとめ役のAIが報告を差し戻し、その夜に作業を進めさせています。「指示書7本とも1回で完了」という日誌の後にも、不具合は繰り返し出ました。

音源の品質には、未検証の範囲が残っています。機械の点検では60曲中54曲が要確認で、記事の記録時点では人の耳で1曲も聴いていません。基準に届かず生成し直した回数は28回でした。報告書にこの状態を明記させるにも、やり直しが要りました。ARCHECOは、権利の確認や人の試聴を、再生が止まらないことだけでは合格にしません。実費の条件は費用の節に分けて示しています。他社の実績も、同じように条件と未確認の範囲を分けて読みます。

AIへの最初の一文10/24 13:12
AI生成のみの音楽を扱う〔大手の音楽配信アプリ〕はつくれるのか(〔店のBGM配信〕の無償化)?(中略)実際にアプリを作りながら、その過程で躓いたり、上手くいかない過程があっても、それが完全に上手くいって完成して、全てトレースできたるところを目指して。余力があれば、〔大手の短い動画アプリ〕も開発して。

冒頭の依頼文と同じ一文です。ここではアプリ名を一般表記にしています。

約10時間後に残っていた記録
保存
52回
AIへの指示書
22本
日誌
547行
AIが作った曲
60曲
一晩かけた8時間の連続再生テスト完成アプリの動作試験
曲の切り替え
205回
再生の途切れ
0回
エラー
0回

iPhone版の8時間試験は切替196回・停止0回。エラーと曲の重複を1回ずつ記録しましたが、どちらも記録側の誤検知でした。

公開されている他社の事例

公開事例は、条件と検証の範囲を合わせて読みます。OpenAIは2025年8月下旬に空のリポジトリから始め、約5か月で約100万行の製品を作りました。人が手で書いたコードはなく、社内の数百人と社外の試用者が使っています。当初3人で約1,500件を取り込み、1人1日平均3.5件でした。所要時間は手作業の約10分の1と推定されています。

OpenAIがAIに任せた範囲は、不具合の修正から変更の取り込みまでです。AIは1つの指示から不具合を再現し、修正後にアプリの動作を確かめます。変更の提出後はレビューに対応し、取り込みまで進めます。人の判断が必要な場合は、AIが人へ確認を戻します。OpenAI自身、この自律性は特定の構造と道具に依存すると断っています。ARCHECOも、同じ準備なしに数字を一般化しません。

異なる進め方や、効かなかった例も比較材料にします。Algomaticは複数案を並行開発し、テストの動画を課題管理の道具に添付しています。

電通総研の比較条件と数値は、前半の「同じモデルでも、ハーネスエンジニアリングで成績が変わる」の表にまとめています。点検役も一律に足さず、任せる作業で効果を確かめます。

個人の報告は、企業の検証と分けて読みます。Qiitaが紹介するRedditの投稿には、52日で約36万行を作った記録があります。第三者を介した個別例で、御社の効果を保証する数字ではありません。主な企業の報告は下表にまとめます。開発以外の業務に適用する場合も、正解をどう確かめるかが基準になります。

公開されている主な事例(出典の会社名つき)
出典内容主な数字
OpenAI人が手で書いたコードなしで社内向け製品を開発約5か月・約100万行・3人で約1,500件の変更・1人1日3.5件
OpenAI(Symphony)課題管理のボードを司令塔にし、チケットごとに作業場所とAIを割り当て一部のチームで最初の3週間に取り込んだ変更が500%増(日本HPの記事による)
Stripe(ASPICのレポートによる)専用のハーネス「Minions」。隔離した環境で作り、手元のリンター(5秒以下)、300万を超えるテストの自動検査、別のAIの点検を経た変更だけを人が見るAIが出した変更が週1,300件・処理量10倍以上(AI駆動開発協会の記事は週1,000件以上と紹介)
Anthropic計画・作成・点検の3つのAIで長い作業を実行約6時間の連続実行
LangChainモデル固定でハーネスだけを改善成績表の点が52.8%→66.5%
電通総研6種類の仕組みを足す・足さないで比較効いたのは状態の引き継ぎと資料の手がかりの2つ
ARCHECOハーネスの上でAIだけにアプリを開発音楽アプリの主要画面・再生機能を約10時間で実装(54曲が要確認、人の試聴0曲、権利確認は完了扱いにしない)。動画アプリは112機能中103を約14時間半で実装(決済・身元確認は未実装)

コーディング以外の業務への応用

御社の業務規程と正解の基準があれば、開発以外にもルール・検証・承認の仕組みを使えます。AIsmileyは下表の対応を示し、業務では結果を確かめて直す仕組みが手薄になりやすいと述べています。テストで正しさを確かめやすい開発に比べ、判定基準が書けない業務は難しくなります。経費精算や回答案の作成、社内文書や申請の確認が候補です。障害の検知と原因調査にも応用できます。

経費精算を例に、御社へ支援する方法を示します(支援の説明例)。

御社が用意する規程と正解の例:御社の業務担当者に、経費規程と小さな経費一覧をご用意いただきます。各支出を承認できるか、要確認とするかの正解と、根拠となる条文も決めていただきます。規程だけでは判断できない支出は、人に確認する対象として分けます。

ARCHECOが設定する制御:ARCHECOは規程をAIが読めるルールにし、参照する原本と判定結果の出力先を分けます。原本の書き換えを制限し、送信や重要データの更新は人の承認前に止めます。規程にない判断や実在しない条文を加えず、迷った点を残すように設定します。

合否の確認:御社の検収担当者が、AIの判定と根拠を用意した正解に照合します。「高すぎる気がする」といった理由を加えていないか、規程の空白を勝手に埋めていないかも確認します。ARCHECOは原本の保護と承認前の停止を検査します。原本は更新日時だけで判断せず、内容から計算する照合用の値(SHA256)を作業前後で比べます。

引き継ぐもの:ARCHECOは、規程を反映したルールファイルと権限・承認の設定を御社へ渡します。合否を確かめる基準・手順と検証記録も残します。規程が変わったときに更新する担当と再検査の手順を決め、御社で運用できる形にします。

参考として、Claude Worksは、架空の経費規程4条と経費一覧8件を使う練習問題を載せています。会議費には1人あたりの上限があり、タクシーには理由が必要です。領収書のない支出は不可で、電車とバスには経路を書きます。CLAUDE.mdの5行で始め、正解は、8件のうち4件を「要確認」と判定することです。高額な書籍は規程に上限がないため、問題なしとする点も確かめます。

向くかどうかは、手順と禁止事項が文書になっているかで判断します。結果を機械で判定でき、失敗の影響を戻せることも条件です。顧客への提案や文面の調子など、判定を書けない部分には承認を残します。その前後の作業からAIに任せます。ARCHECOの音源でも、権利や人の耳での品質確認が残ったことは同じです。御社の業務で判断できない部分があれば、無料診断で、必要な仕組みと人に残す確認を整理します。実務の説明はここまでです。続く参考では、関連用語・経緯・分類の違いを確認できます。

業務での読み替え(AIsmileyの解説をもとに整理)
ハーネスの要素開発での例業務での例
ルールAGENTS.md・CLAUDE.md業務マニュアル・社内規程・FAQ、承認の範囲
スキルレビューやリリースの手順見積書や一次対応の型
フック危ないコマンドの停止送信・重要データ更新前の承認、社外への持ち出しの停止
メモリ進捗ファイル顧客ごとのこれまでの経緯
フィードバックテストの結果を返す正解データ・必須項目・禁止表現の検査。結果を記録して次へ返す

参考:3つの設計の範囲と関連用語

ここまでの実務説明を、他の解説と照合するための参考です。3つは入れ子として説明されますが、包含の向きには異説があります。一般的な説明では、ハーネスの設計に情報の渡し方が含まれ、その中に指示文の設計が含まれます。注目された時期は、指示文が2022〜2024年ごろ、情報の渡し方が2025年ごろです。周囲の仕組みの設計は2026年以降と整理されています。Qiitaは2025年にShopifyのTobi Lütke氏がコンテキストという言葉を勧め、Karpathy氏が賛同したと紹介しています。

既存の解説には、3つの範囲を対応づけた説明もあります。舞台では台詞・舞台装置・劇場全体、仕事では依頼メール・添付資料・オフィスの順です。Qiitaは、報告書の書き方・会議資料の準備・プロジェクト全体の運営体制という対応も示します。狭い定義ではハーネスを事前に進め方を示す指針と、実行結果を検査する仕組みに限り、コンテキストの内側に置きます。手順書やスキルも、ビジネス+ITはコンテキスト側、WEELとAIsmileyはハーネス側に置きます。社内で使う範囲を先に合わせてください。

関連する用語も、何をする仕組みかで区別します。ガードレールは、入力・出力・道具の操作を検査し、危険な処理を止めるハーネスの一部です。kinopee氏は「ハーネスは主観、ガードレールは客観」と対比しています。主観は事前に進め方を示す設計、客観は実行結果を外から判定する検査という対比です。機械で判定できる範囲が広がれば、任せる範囲も広がります。評価ハーネスはモデルの採点用です。ループエンジニアリングは、AIが試し、結果を確かめて直す繰り返しを設計することです。安定して繰り返すには、情報の保存や操作を制御するハーネスが必要です。Geoffrey Huntley氏が広めたRalph Wiggum Loopも、AIに同じ指示を渡して再実行させる手法です。

フレームワークは組み立てる部品集、ランタイムは実行基盤、SDKは開発用の部品一式です。一創はハーネスを、それらが組み上がり既定値も決まった実行体と区別します。Human-in-the-Loopは、決めた場面で人が確認や承認する仕組みです。Software Design誌は、Karpathy氏が2025年2月にVibe Codingを提唱したと紹介しています。Vibe Codingは、人がコードを読まずにAIの成果物を受け入れる進め方です。Agentic CodingはAIに自律的に作業させ、機械の検査と最後の受け入れで品質を確かめる開発です。仕様駆動開発は、先に仕様書を書き、ルールと完了の定義を厚くする進め方です。

3つのエンジニアリングの比較
プロンプトエンジニアリングコンテキストエンジニアリングハーネスエンジニアリング
中心の問いどう頼むか何を見せるかどう動かし、確かめ、戻し、引き継ぐか
範囲1回のやり取りの文面1回の判断に入れる情報全体複数回の判断と道具の使用を含む作業全体
手段役割・形式・手順・例題資料の選択・要約・順番・検索ルールファイル・道具・権限・フック・検証・記録・人の承認
成果物プロンプトの雛形資料検索の仕組み(RAG)・例題の設計進捗ファイル・機能一覧・自動検査(CI)の設計
強制力なし(依頼)なし(材料)あり(仕組みで止める・確かめる)
典型的な失敗意図が伝わらない情報の不足・過多・矛盾・古さ誤操作・検証漏れ・途中経過の喪失・無限の繰り返し

参考:ハーネスエンジニアリングという言葉の経緯

ハーネスエンジニアリングという言葉は、以前からあった実装を説明する名前として広がりました。起点や定義は媒体によって異なるため、唯一の発明者は決めません。この名前が広まる前から、AIへのルールを書く .cursorrules などを使う現場があり、kinopee氏は「実装が先、命名は後」と整理しています。半年ほどで設計の分野として語られるようになった経緯は下の年表に示します。

定義の違いは、依頼する範囲を決めるときに確かめます。kinopee氏が整理した5つの流派では、Harrison Chase氏はモデル以外の全部、Mitchell Hashimoto氏は失敗ごとの環境改善を重視します。Martin Fowler氏のサイトのBirgitta Böckeler氏(Thoughtworks)は事前に進め方を示す指針と、実行結果を検査する仕組みに限ります。Avi Chawla氏は入れ子で説明し、OpenAIのCodexチームは大規模開発の実践から語ります。ハーネスをOSにたとえ、モデルや道具を動かす環境として説明する見方もあります。

足場(scaffold)も用法が揺れます。電通総研は、実行前の設定を足場、実行中の仕組みを狭い意味のハーネスと呼び分けます。ファインディとAIsmileyによれば、Anthropicは両者を同義で使います。このページでは7つの仕組みをハーネスとし、組織の5つの備えを分けます。次の対応表では、各解説の分類を、このページの7つの仕組みと照合できます。

ハーネスエンジニアリングという言葉の主な出来事(出典の媒体つき)
時期出来事出典
2024年Bidermanは評価の基盤、XuはAIに行動手段を与える実行環境として扱うAlgomaticの文献整理
2025年Zhangは追加できる部品群として扱うAlgomaticの文献整理
2025年10月LangChainのHarrison Chase氏が「フレームワーク・ランタイム・ハーネス」を区別kinopee氏の登壇資料
2025年11月26日Anthropicが長時間動くエージェントのためのハーネスを解説Claude Works・電通総研
2026年Buiは実行の調整役、Anthropicは自律的に機能させる設計、LangChainはモデル以外の全部へと範囲が広がるAlgomaticの文献整理
2026年2月5日Mitchell Hashimoto氏が個人ブログで「ハーネスエンジニアリング」という言葉を使う(本人は定着した呼び名かは分からないと断っている)。日本HPは早期に使った一人と紹介AIsmiley・ASPIC
2026年2月11日OpenAIが実践報告「ハーネスエンジニアリング」を公開(筆者はライアン・ロポポロ(Ryan Lopopolo)氏)OpenAI(一次資料)
2026年3月10日LangChainのVivek Trivedy氏が「Agent = Model + Harness」を提示Claude Works・AIsmiley
2026年4月国内で専門の勉強会(Harness Engineering Meetup)が始まるkinopee氏の登壇資料
2026年6月17日AWSがエージェントのハーネスを預かるサービスを一般提供一創
2026年9月25日Googleの解説動画が、ロポポロ氏を「エージェントハーネス」という用語を生み出した人として紹介@IT

参考:他の分類と7つの仕組みの対応

分類の数は統一されておらず、同じ部品を違う粒度でまとめています。CodeZineの解説でも、部品は独立して追加・削除でき、実行する順番も変えられます。NTTデータの「運用」は統制・説明責任・監査・変更管理で、組織の備えとして扱います。下表の番号は、前半の7つの仕組みに対応します。人の担当や承認手続きは、前半の「組織の5つの備え」にまとめています。関連する背景は続く記事、導入前の疑問はFAQで確認できます。

各分類とARCHECOの7つの仕組みとの対応
出典分け方対応する仕組みの番号
ブレクサ制約する/情報を渡す/検証する/修正する3・5/1・2/6/4・7
NTTデータ知識/実行/制約/検証/運用1/2・4・5/3/6・7/組織の備え
Mengら・電通総研Agent Harness for LLM Agents: A Survey の6成分 H=(E,T,C,S,L,V):実行ループ/道具/文脈管理/状態/フック/評価4/2/1・2/4・7/3/6(隔離は別に設計)
ASPIC6成分に事前のガイドを足した7つ上の6成分+1・2・3・5
Birgitta Böckeler氏(Martin Fowler氏のサイト)事前のガイド/事後のセンサー1・2・3・5/3・6・7
日本HP3つ(永続ストレージと文脈管理/自己検証とガードレール/役割の調整と記憶)1・4/3・6/4
サーバーワークス3つ(ルールファイル/フィードバックループ/文脈管理)1/6/2
CodeZine(西見氏)3つの役割(文脈の管理/道具の実行の管理/作業の計画)2/2・3/4
Google(@ITの要約)3つの判断(ループ/ツール/メモリ)4/2/4
WEEL4つ(ルール/スキル/フック/メモリとフィードバック)1/1/3/4・6
Claude Works4つ(指示/道具と権限/作業の記録/確認)1/2・5/4/6
AI駆動開発協会4領域(文脈/行動/フィードバック/運用)1・2/3・5/6/4・7
renue5つ(ステアリングファイル/フック/リンター/テスト/サンドボックス)1/3/3/6/5
AIsmiley5つ(ルール/スキル/フック/メモリ/フィードバックループ)1/1/3/4/6
一創6部品(ループと停止条件/道具の実行と権限/実行環境/文脈と状態/ガードレールとフック/トレース)4/2・3/5/2・4/3/7
Algomaticどこで(作業場所・隔離・実行環境・接続先・データ・権限)/いつ(きっかけ・出来事・定時・順番待ち・承認点)/どう(原則・検証・道具・スキル・役割の調整)5/4/1・2・6
Wangら(電通総研の紹介)人物像/記憶/計画/行動の4部品1/4/4/2・3
Inside the Scaffold(電通総研の紹介、査読前)13のコーディングエージェントを3層12観点で整理制御・道具と環境・資源管理を横断して確認

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FAQ

ハーネスエンジニアリングのよくある質問

ご相談の前によくいただく質問です。解決しない点はお気軽にお問い合わせください。

01

QUESTION

ハーネスエンジニアリングとは何ですか?

AIモデルの外側にある仕組みを設計し、作り、直し続けることです。設計者がAIへの指示・情報の渡し方を整え、使える道具と操作の範囲を決めます。進捗の保存や検収、事故への備えも対象です。AIモデル自体の再訓練とは異なります。AIハーネスやエージェントハーネスは作られた仕組みを指し、評価ハーネスはモデルの成績を測る別の仕組みです。ARCHECOは使う側の仕組みと、人・組織の備えを扱います。

02

QUESTION

ハーネスエンジニアリングの具体例は何ですか?

AIがルールファイルを読み、許可された操作だけを行い、テストで結果を確かめる仕組みが一例です。AIの進捗をファイルへ保存し、次の作業で読ませる仕組みも含みます。業務では、AIが社内規程を参照して経費を点検し、担当者が用意した正解と照合する使い方があります。ARCHECOは、御社で起きた停止や失敗から、必要な仕組みを選びます。

03

QUESTION

コンテキストエンジニアリングとの違いは何ですか?

コンテキストエンジニアリングは、AIの判断に必要な資料や履歴、道具の説明をどう渡すかを設計します。ハーネスエンジニアリングは、情報の渡し方に加え、AIが動く範囲と結果の検証、作業の継続・復旧までを扱います。用語の包含関係には異なる説明もあるため、名前だけで依頼範囲は決まりません。ARCHECOは、指示の伝え方・情報・周囲の仕組みのどこに原因があるかを切り分け、御社と支援範囲を決めます。

04

QUESTION

フレームワークとの違いは何ですか?

フレームワークはAIエージェントを組み立てる部品集です。ハーネスは、その部品を組み合わせ、道具や権限、検証や記録、実行時の設定まで整えた仕組みを指します。ハーネスエンジニアリングは、それを設計・実装し、運用で直し続ける活動です。

05

QUESTION

社内の承認を通すには、何を用意すればよいですか?

御社で、使ってよいAI・道具と対象データの置き場所、社内の決まりを整理してください。責任者と承認者を決め、AIに任せる範囲と止める条件、戻せない影響も確認します。ARCHECOは権限の設定や操作の記録、検収と復旧の手順を整え、安全の根拠を示します。出島で試す場合も社内の承認が前提です。社内への取り込みは、本文「出島」の節に示す検査・承認の手順に従います。

06

QUESTION

既存の履歴管理(Git)や自動検査(CI)を使って導入できますか?

ARCHECOは既存の履歴管理と自動検査を確認し、不足する部分から整えます。AIにも既存のテストと変更の取り込み基準を使わせ、小さな対象で試します。変更ごとの履歴と復旧手順を残し、実際に戻せるかも検証します。外部サービスへの影響は戻せない場合があるため、本番反映などの承認条件を御社と決めてから導入します。

07

QUESTION

作ったあと、誰がルールや仕組みを書き足しますか?

御社とARCHECOが、社内でルールを更新する担当と見直し方を、引き継ぎまでに決めます。ARCHECOは導入時の設定に加え、記録から停止や事故の原因を調べ、ルールと仕組みに反映する運用を整えます。道具やモデルの更新に合わせた見直しも対象です。ルールは増やすだけでなく、不要になったものを削り、変更後に検証します。社内で回す体制と、ARCHECOが運用に伴走する範囲を分けて確認します。

08

QUESTION

ハーネスエンジニアリングの費用は何で決まりますか?

費用は対象のAIと使い方、既存の検査や権限の整い具合で変わります。使えるAIやデータの置き場所の制約、組織の備えを含めるかも条件です。ARCHECOの見方では、やり直しが増えるほど実行費用も増えます。検収を厳しくすると実行費用が増え、人の手直しが減る可能性があるため、ARCHECOはAIの実行費用と人の作業量を両方測ります。無料診断で欠けた仕組みと着手順を整理した後、範囲に応じた概算をお伝えします。

09

QUESTION

ハーネスを作れば、AIの誤りはなくなりますか?

AIの誤りはなくなりません。ARCHECOは誤りを早く見つけ、記録と復旧手順を用意した範囲で速やかに戻せるようにします。同じ誤りを防ぐ設定も加えます。何を作るか、どの品質で受け入れるかは人が決めます。AIに許す作業と人の承認が要る操作は、御社の決まりと影響範囲に応じて設定します。効果は誤りゼロを前提にせず、発見・復旧の時間と人の手直しを着手前後で比べます。

10

QUESTION

社内で使えるAIがCopilotだけ、Geminiだけでも導入できますか?

考え方は特定の製品に依存しません。ただしルールファイルやフック、権限の設定方法は道具ごとに異なります。ARCHECOが御社で許可されたAI・道具の機能を確認し、使える範囲から仕組みを整えます。データの置き場所や外部との接続に制約がある場合も、社内の決まりを前提に設計します。出島で試す方法を選ぶなら、社内の承認を得て対象データと責任者を決め、本文「出島」の取り込み手順を使います。

無料のハーネスエンジニアリング診断

ARCHECOは、自社で運用する見回り・判断の型・差し戻しを物差しにして、御社の記録から欠けた仕組みを示します。無料診断では、御社の現状から、疑う原因・最初に調べる仕組み・着手順・効果指標を短く整理してお返しします。着手前の数字の取り方も示します。初回は機密を含まない症状の概要と、使っているAIの名前だけで構いません。記録や社内の決まりは、秘密保持の取り決めのあとに伺います。依頼として行う段階1の棚卸しでは、実際の記録から原因・影響と仕組みの欠けを確認します。

※弊社のリソース状況によってはお受け出来ないことがございます。