
Service 08
OUR APPROACH
生成AI研修でARCHECOが何を教えるか、という考え方は、ある輸出商社の翻訳業務で起きた出来事にいちばんはっきり表れています。その出来事は、ブログ記事「生成AIの注意点」に詳しく書きました。このページでは、記事を読まなくても分かるように、要点だけをまとめています。さらに詳しく知りたい方は、ページ末尾のリンクから記事をご覧いただけます。
研修で本当に必要なのは、ツールの操作手順ではなく、「AIに任せてよい仕事」と「人が決める仕事」の線引きです。
生成AIの研修というと、ツールの操作やプロンプト(AIへの指示文)の書き方を教えるものが多くあります。受講した直後は使えるようになります。ところが現場に戻ると、「この作業はAIにやらせてよいのか」というところで判断に迷い、結局使われなくなります。足りないのは操作の知識ではなく、AIに任せてよい仕事と、人が決めるべき仕事の線引きです。
線引きが決まっていないと何が起きるのか。それがいちばん分かりやすい形で表れた現場を1つ紹介します。ARCHECOが支援に入った、中古の建設機械を海外へ売る輸出商社の案件です。この商社では、海外の商談で使う書類の翻訳を生成AIに任せていました。社内システムに表示される日本語をまとめて英語に置き換える仕組みで、翻訳そのものは問題なく動きました。ところが表示を英語に切り替えた途端、同じ機械が2つの別の名前で表示され、在庫の一覧に同じ機械が2件並ぶようになりました。機械の名前が、読み物としての文章であると同時に、データを照らし合わせるための目印としても使われていたからです。「この言葉は訳さない」という例外の指定は際限なく増えていきましたが、ARCHECOが直したのは1点だけです。AIに任せる範囲(読み物としての文章)と、人が決める範囲(目印として使う言葉)の線引きを引き直したのです。線引きさえ決まれば、個々の訳し方は現場の担当者が自分で判断できました。
翻訳の作業を、議事録の要約や見積書の下書きに置き換えても同じです。つまり、研修で教えるべきなのは操作ではなく、部門ごとの実際の業務の中で「どこまでAIに任せ、どこから人が判断するか」という線引きと、その具体例です。禁止事項の一覧だけでは、現場はその場で判断できません。
だから、ARCHECOは
そのため、ARCHECOの生成AI研修では、部門ごとの実際の業務を題材に「現場がその場で判断できる具体例」を扱い、線引きを社内のルール(ガバナンス。社内で守る決まりの整備)として一緒に作ります。研修の内容が受講の翌週から現場で使われ、決めたルールが半年後にも守られている状態を目指します。
生成AIの活用が止まる理由は、技術ではなく組織側の3か所です。情報システム部やDX推進室の担当者は、全社禁止にするか野放しにするかの二択で板挟みになりがちです。ルールが「機密情報は禁止」のような列挙にとどまり、何が該当するか現場が判断できない。研修が一般論で終わり、自分の業務に翻訳されないまま終わる。推進者が異動すると効果を測る仕組みが残らず、元の手順に戻る。全社に禁止を敷けば安全に見えますが、禁止を強めるほど、個人アカウントでの利用のように見えない場所へ活用が逃げていくだけです。稟議で「なぜ禁止ではなくこの設計にするのか」を説明できる根拠が必要です。
全社禁止にすれば管理はしやすくなります。ただし禁止を強めるほど、利用は個人アカウントのような見えない場所に移るだけで、リスクは減らず可視性だけが失われます。ARCHECOは、判断できる具体例を先に作ります。「機密情報は禁止」ではなく、外に出たときに困る情報と困らない情報を、自社の業務に即した例で線引きします。研修も座学で終わらせず、営業・管理部門・開発など部門ごとの実務を題材にし、手を動かして翌日から使える状態にします。ルール・スキル・継続の3本柱を同時に立てることが定着の必要条件で、どれか1つが欠けても、他の2つがあっても定着しません。
AI利用ガイドラインの策定から、部門別の実務研修、各部門への推進役(チャンピオン)の配置、定着状況のモニタリングまでを一貫して支援します。測るのは受講率ではなく、週に一度以上使っている人の割合と、業務手順書に載った数です。配った数ではなく、使われた事実だけを定着の証拠にします。ルールは一度作って終わりにせず、現場で実際にどう使われたかを観測し、判断に迷った実例を具体例として追記し続ける運用まで含めて設計します。禁止事項を並べる仕事ではなく、現場が自分で判断できる状態を作り、それを保ち続ける仕事として、生成AIの組織定着を設計します。

01
STEP 01
「機密情報は禁止」と書くだけでは現場は判断できません。情報が外に出たときに困るか困らないかを基準に、公開済みの資料や下書きは使ってよい情報として、顧客の個人情報や契約条件、未公開の計画は条件付き・禁止として、自社の業務に即した具体例で線引きします。判断を現場に丸投げしない設計をここで固めます。
Method
セキュリティポリシー分析
法規制・コンプライアンス調査
リスクアセスメント
Output
AI利用ガイドライン
データ取扱いポリシー
リスク管理フレームワーク
共通の座学は判断基準と相談窓口の伝達にとどめ、営業なら提案書の下書きや議事録要約、管理部門なら規程検索や個人情報の扱い、開発なら仕様整理やコードレビューといった、部門ごとの実際の仕事を題材に手を動かします。研修の成否は、翌日から自分の仕事で使えるかどうかで判定します。
Method
研修ニーズ分析
レイヤー別カリキュラム設計
ハンズオン教材開発
Output
研修カリキュラム
ハンズオン教材
研修実施レポート
受講率では定着は測れません。アカウントが行き渡っているか(到達)、週に一度以上使っているか(利用)、業務手順書に載っているか(定着)、判断に迷う相談が減っているか(安心)の4観点を定点で見ます。測るのは配った数ではなく、業務手順に載った数です。
Method
チャンピオン育成プログラム
成功事例テンプレート化
定着率モニタリング設計
Output
チャンピオン育成計画
成功事例集
定着率ダッシュボード
運用開始後は、承認済みツールでの利用だけでなく、個人アカウントや私物端末からの見えない利用も含めて逸脱を把握し、現場で出た判断をルールの具体例に足していきます。禁止を強めるほど利用は見えなくなるため、抜け道を塞ぐより、正規の環境を使いやすくすることを優先します。
Method
ガバナンス見直しサイクル設計
インシデント対応フロー策定
規制動向モニタリング
Output
ガバナンス運用マニュアル
インシデント対応手順書
規制対応アップデートレポート
PROOF
定着を止めるのは技術ではなく、判断できないルールと、自分の業務に翻訳されない研修です。支援の現場で見てきたことを並べます。
CASE STUDIES
CASE TYPES
生成AI研修の教材と判断基準は、借りてきた事例ではなく、自社で運用しているAIプロダクトと自社事業で得たものを使っています。守秘の範囲で、既公開のものと類型だけを並べています。
ABOUT GENAI TRAINING
生成AI研修とは何か、対象と形式、カリキュラムの組み方、費用の決まり方、研修会社の選び方を前半に、研修だけでは定着しない理由と、AIガバナンスの作り方・定着させる研修の設計を後半に整理しました。これから研修を発注する方と、社内ルールを作る方が、そのまま手順として使えるように書いています。
生成AI研修とは、ChatGPTなどの生成AIを社員が業務で安全に使えるようにするための企業研修です。仕組みの理解、プロンプトの書き方、業務での活用例、リスクと社内ルールの4つを扱うのが一般的な構成です。ただし実務で効くのは、操作の習得ではなく、自分の業務でどう使うかを判断できる状態を作ることです。
研修会社の一般的なカリキュラムは、生成AIの仕組みとできること・できないこと、プロンプトの基本、業務別の活用例、情報漏洩・著作権・ハルシネーションなどのリスクと社内ルール、の4部構成です。ARCHECOはこのうち「リスクと社内ルール」を、禁止事項の周知ではなく「このデータは入れていいか」「この出力はそのまま使っていいか」を判断する演習に置き換えます。判断基準は、ツールが変わっても持ち越せる唯一の中身だからです。
生成AIは、会社が導入したシステムを社員が使うのではなく、社員が自分で無料ツールを持ち込めます。リテラシーのばらつきがそのまま情報の扱いのばらつきになり、使える人と使えない人の差が部門の生産性の差になります。研修が求められるのは、スキルを底上げするためだけではなく、判断基準を組織で揃えるためです。ARCHECOは後者を主目的に置き、スキルは部門の実務題材の演習で同時に身につく設計にします。
操作方法の研修は、ツールが変わると無価値になります。持続するのは、受講者が自分の仕事のどの工程で、何を入れて、出力をどう検証するかを決められる研修です。ARCHECOは共通の座学を判断基準と相談窓口の伝達に絞り、残りの時間を部門の実務を題材にした演習に使います。判断に迷ったケースを持ち寄らせると、そのままガイドライン改訂の材料になります。
研修会社のラインアップは、対象者別(経営層・推進担当・全社員・実務者)と形式別(集合・オンライン・eラーニング・ワークショップ)で組まれています。どれが正解かは、いま組織のどこで活用が止まっているかで決まります。
一般的には、経営層には投資判断とリスクの全体像、推進担当にはルール策定と展開の方法、全社員には基礎とリテラシー、実務者には業務別の活用、と階層で分けます。ARCHECOはこの階層分けを2層に圧縮します。全社共通は判断基準と相談窓口だけを短く伝え、それ以外はすべて部門別の実務演習に回します。全社員向けの長い基礎講座は、受講率は上がっても翌日の行動を変えないためです。
営業なら提案書の下書きや議事録要約、管理部門なら規程検索や個人情報の扱い、開発なら仕様整理やコードレビュー。部門ごとに、実際の仕事を題材に手を動かします。題材が自分の業務でないと、研修中は分かった気になっても翌日に手が動きません。ARCHECOの生成AI研修は、事前の研修ニーズ分析で部門ごとの題材を決めてから教材を作ります。
講師が来る集合研修は密度が高く、オンラインは拠点をまたげ、eラーニングは人数と時間の制約が小さい、というのが一般的な使い分けです。ARCHECOは、判断基準の周知はeラーニングや短い共通座学で済ませ、部門別の演習は手を動かすワークショップ形式にします。形式は目的で選ぶもので、全員に同じ形式を当てる必要はありません。
カリキュラムは、教える内容の一覧ではなく、研修の翌日に受講者が自分の業務で何をするかから逆算して組みます。手順は、ニーズ分析、2層の設計、実業務の題材化、翌日から使えるかの判定、の4段階です。
最初にやるのは教材選びではなく、部門ごとに、誰がどの業務で時間を使っていて、生成AIで何が変わりそうかの聞き取りです。ここで出てくる「すでに個人で使っている便利な使い方」は、取り締まる対象ではなく、公式化して演習の題材にする候補です。ニーズ分析を省くと、研修会社の既製カリキュラムをそのまま流すことになり、自分の業務に翻訳されないまま終わります。
全社共通の層には、判断基準(入れてよい情報の線引き)と相談窓口だけを置きます。部門別の層には、その部門の実業務を題材にした演習を置きます。共通の層を厚くすると、どの部門にも当てはまらない一般論が増え、部門別の層を省くと、判断基準だけ知っていて手が動かない状態になります。2層の配分が、カリキュラム設計の要点です。
ハンズオン教材は、サンプルの文章ではなく、受講者が実際に扱う提案書・議事録・規程・仕様書を題材に作ります。機密の扱いは、この教材づくりの段階で線引きの具体例として使えるため、ガイドラインの具体例と研修教材は同じ材料から作れます。ARCHECOが研修とガバナンスを同じチームで持つ理由はここにあります。
研修の成否は、満足度アンケートではなく、翌日から自分の仕事で使えたかで判定します。研修実施レポートには受講率ではなく、演習で出た判断に迷ったケースと、部門ごとに翌日から使う業務を記録し、次の回とガイドライン改訂の材料にします。フォローの設計を研修の前に決めておかないと、後からは測れません。
生成AI研修の費用は、まず形式で桁が決まり、次に人数・階層・カスタマイズの深さ・研修後のフォローで動きます。金額そのものより、金額を動かしている変数を先に押さえたほうが見積もりを比べられます。ここでは実額ではなく、決まり方を書きます。
eラーニング・動画視聴型は1人あたりの単価、講師が来る集合研修は1回あたりの単価、自社の業務に合わせて教材を作る業務特化型は設計込みの一式、という値付けが一般的です。既製の教材を流す形式ほど安く、自社の業務に翻訳する工程が入るほど高くなります。安い形式が悪いのではなく、翻訳の工程を自社で持てるかどうかで選ぶものです。
同じ形式の中では、対象人数と階層の数、教材をどこまで自社の業務題材で作るか、研修後の定着支援やルール整備まで含むか、で動きます。ARCHECOは部門別の実務題材で教材を作るため、費用は受講者数より部門数と題材の数で決まります。見積もりを依頼するときは、対象部門と、翌日から使ってほしい業務を先に書いて渡すと、比較できる見積もりが返ってきます。
企業の人材育成に対する公的な助成金の対象になる場合があり、研修会社の多くが申請サポートを案内しています。ただし要件(計画の事前提出、訓練時間、対象者の雇用形態など)は年度で変わり、申請の順序を誤ると対象外になります。ARCHECOは、助成金ありきで研修の中身を曲げることはせず、要件の確認を計画の最初に置きます。
研修のROIを削減時間×人数で試算する方法が一般的ですが、その前提になる「使われているか」が測れていないと数字は空転します。ARCHECOが見るのは、アカウントが行き渡っているか、週に一度以上使っているか、業務手順書に載っているか、判断に迷う相談が減っているか、の4観点です。配った数ではなく、使われた事実だけを定着の証拠にします。
選ぶ基準として一般に挙がるのは、カリキュラムの実務性、講師の専門性、形式の柔軟性、研修後のフォロー体制の4つです。これに、研修とガバナンスを同じ会社が持てるか、を足すのがARCHECOの立場です。
既製のカリキュラムを流す会社と、自社の業務を題材に教材を作る会社は別物です。見分け方は、提案の前に研修ニーズの聞き取りがあるか、演習の題材が自社の文書になっているかです。一般論の活用例が並ぶ研修は、受講率は上がっても翌日の行動を変えません。ARCHECOは聞き取りを省いた研修は引き受けません。
講師の専門性は、資格や講師歴より、いま実務で生成AIを使って仕事をしているか、AIを組み込んだプロダクトを作って運用しているかで見ます。判断基準の演習は、実際に迷った経験がある人でないと具体例が出せません。ARCHECOの生成AI研修は、自社でAIプロダクトを開発・運用しているチームが設計し、教材の題材も自社の運用で得た判断基準から作っています。
研修会社の多くはフォローとして受講後の質問対応や追加講座を用意していますが、ルールの策定は別会社という分業が普通です。すると研修で教えた判断基準と、ガイドラインの文言がずれます。ARCHECOはガイドラインの策定から部門別研修、推進役の育成、定着のモニタリングまでを同じチームで持ち、研修で出た迷いをルールの具体例に足していきます。
一般論の座学だけの研修は安く済みますが、翌日に手が動かず、半年後に「やったが定着しなかった」という結論だけが残ります。次の研修の稟議はその分だけ通りにくくなります。ARCHECOは、初回を小さく部門を絞って始め、定着が測れたところから広げる進め方を勧めています。全社一斉より、1部門で使われた事実を作るほうが、次の予算が通ります。
研修は定着の3本柱(ルール・スキル・継続)の1本です。研修で身につけたスキルは、入れてよい情報のルールが無いと使えず、使われたかを測る仕組みが無いと元の手順に戻ります。研修を単発の行事で終わらせないために、残りの2本を同時に立てます。
定着の必要条件は、判断できるルールがあること、部門の実務で使えるスキルがあること、使われているかを測って改訂し続けること、の3つです。どれか1つが欠けると、他の2つがあっても定着しません。研修だけを発注すると、スキルの柱だけが立ち、翌週にはルールが無いことが理由で使われなくなります。
研修で使い方を覚えた社員が、翌週に「この資料は入れていいのか」で止まります。判断できるルールが無いと、安全側に倒して使わないか、個人アカウントで見えない場所で使うかのどちらかになります。ARCHECOは、研修の前にガイドラインの具体例を用意し、研修で出た迷いをその具体例に足す順番で進めます。
推進者が異動すると効果を測る仕組みが残らず、元の手順に戻る。これが研修の後で一番多い失敗です。ARCHECOは、到達・利用・定着・安心の4観点を研修の前から定点で見て、使われていない部門と迷っている業務を特定してから次の研修を組みます。研修は年次の行事ではなく、計測の結果から設計する工程です。
AIガバナンスとは、組織がAIを使う・作るときのリスクを管理し、安心して活用を広げるためのルールと体制のことです。ただし実務では「何を禁止するか」より「誰がどう判断できるようにするか」の設計が本体になります。
通常のコーポレートガバナンスは、確立した業務に対するルールです。AIガバナンスが違うのは、対象の技術と規制が動き続けることです。一度作って終わりではなく、見直しの周期と担当を最初から組み込む必要があります。ここが「規程を1本作れば済む」と考えて失敗する最初の分かれ目です。
生成AIで、AIを使う人が一部の専門部署から全社員に広がったためです。従来のシステム利用規程は「会社が入れたシステムを社員が使う」前提で書かれていますが、生成AIは社員が自分で無料ツールを持ち込めます。管理の前提が崩れた場所にルールが無いままだと、リスクは使用禁止令では止まりません。
検索上位の解説は策定手順を書いていますが、ルールの性格には踏み込んでいません。実務で効くのは、社員が現場で「これは入れていいデータか」を自分で判断できる基準になっているかです。判断できないルールは、問い合わせの列を作るか、無視されるかのどちらかになります。禁止事項の列挙ではなく、判断の物差しを配ることがガバナンスの目的です。
リスクの棚卸しをせずにルールを書くと、怖いものを全部禁止する文書ができます。まず何が起こりうるかを分けます。
機密情報や個人情報をプロンプトに入れると、サービスによっては学習に使われたり、履歴として残ったりします。対策はツールの契約形態(学習に使わない設定・法人契約)と、入力してよいデータの区分を決めることの2段です。「機密情報を入れるな」だけでは、何が機密かの判断が現場に丸投げされます。
生成物が既存の著作物に酷似する、学習データの権利関係が争われる、といったリスクです。社外に出す成果物への利用は、人間の確認と修正を必須にする運用が現実的です。法解釈は国と時期で動くので、ルールに判例や条文を書き込むより「社外公開物は必ず人が確認する」という手順で受け止めるほうが持ちます。
AIは事実でないことを、事実の顔で出力します。これはツールの欠陥ではなく仕組み上の性質なので、無くなる前提で待つのではなく、用途で線を引きます。発想・下書き・要約のような「人が後で直す前提の用途」は自由に、数値や事実を最終判断に使う用途は検証を必須に、と分けるのが実務の落とし所です。
シャドーAIとは、会社が把握していないAI利用のことです。ここに逆説があります。禁止を厳しくするほど、社員は個人のスマホと個人アカウントに逃げ、会社からは何も見えなくなります。リスクは禁止では減らず、見えない場所に移動するだけです。対策は取り締まりではなく、公式に使える環境を先に用意して、そちらのほうが便利な状態を作ることです。
自社ルールをゼロから発明する必要はありません。公的なガイドラインを骨格にして、自社の事情を足すのが早くて堅い作り方です。
経済産業省・総務省による日本の実務指針で、AIを開発する側・提供する側・利用する側それぞれの責務を整理しています。日本企業の社内規程はまずこれを骨格にするのが標準です。改訂が続く文書なので、参照するときは版を明記しておくと、後の見直しが楽になります。
EUの包括的なAI規制で、AIの用途をリスク段階に分けて義務を課します。EU域内にサービスを出す企業は直接の対象ですが、国内企業にも取引先経由で要求が届き始めています。自社が直接対象かに関わらず、「用途をリスクで段階分けする」という発想自体が社内ルールの設計に流用できます。
ガバナンスを体系化する枠組みとしては、信頼性・リスク・セキュリティ管理をまとめた AI TRiSM などがあります。枠組みは網羅の確認に使うもので、そのまま導入するものではありません。自社のルールを書き終えたあと、枠組みと突き合わせて抜けを探す、という使い方が実務では機能します。
手順は5段階です。順番が重要で、ポリシーの執筆から始めると、実態と合わない文書ができます。
最初にやるのはルールを書くことではなく、いま社内でAIが実際にどう使われているかの調査です。匿名で聞くのがコツです。正直に答えても罰されないと明示しないと、シャドーAIは調査に出てきません。ここで出てくる「隠れた便利な使い方」は、取り締まる対象ではなく、公式化する候補です。
洗い出した利用実態を、起きたときの影響と起きやすさで並べます。全リスクに同じ厚さの対策を書くと、誰も読まない文書になります。上位の少数に厚く、残りは共通の原則で受ける。この濃淡がルールの読みやすさを決めます。
文書は2層に分けます。変わりにくい原則(何を大事にするか)と、変わりやすい具体(ツール名・設定・手順)です。1枚に混ぜて書くと、ツールが変わるたびに全文改訂になり、改訂が止まった時点で文書が死にます。具体の層は現場に近い部署が更新できる置き場にしておきます。
監査的な監視より先に、相談できる窓口を作るほうが効きます。「これはやっていいか」を気軽に聞ける場所があると、違反は未然に減り、ルールの穴も現場から報告されてきます。窓口への質問ログは、次の改訂で何を書き足すべきかの一次情報になります。
策定時に、次の見直し日と担当を決めて文書に書き込みます。AIの規制とツールは数か月単位で動くため、見直しの仕組みが無いガバナンスは1年で実態と乖離します。「必要に応じて見直す」という書き方は、誰の仕事でもないという意味になります。
作ったのに機能していない状態には、共通の形があります。
リスクを列挙して禁止で受けると、文書としては完成しますが、利用は個人環境に潜るだけです。禁止した数ではなく、公式ルートの利用が増えたかで成否を測ってください。禁止項目より「こう使えばよい」の記述が多いガイドラインは、それだけで機能しやすくなります。
規程集に格納された時点で読了率はほぼゼロです。文書の存在ではなく、現場の判断が変わったかが成果です。これを埋める手段が研修で、次のセクションで扱います。
ガバナンスは利用部門とIT部門の間の調整が本体なので、決裁権を持つ層が関与しないと、部門間の綱引きで止まります。委員会を作るなら、名前を貸す会議体ではなく、判断に迷う案件を持ち込んだら決めてくれる場として機能させることです。
先行部門が個別にルールを作ると、後から全社で統合するときに二重基準が生まれます。先行を止める必要はありませんが、原則の層だけは最初から全社で1つにしておき、部門は具体の層だけを持つ構造にすると、統合の痛みが小さくなります。
検索上位のAIガバナンス解説で、研修を独立した見出しで扱っているページはほぼありません。しかし実務では、ルールを定着させる装置が研修です。
ガイドラインの配布と定着の間には距離があります。読んで理解して行動が変わる社員は少数で、大多数は「自分の業務でどう使えばいいか」の具体例を見て初めて動きます。研修はルールの周知の場ではなく、ルールを自分の業務に翻訳する場として設計します。
ツールの操作方法の研修は、ツールが変わると無価値になります。持続するのは判断基準の研修です。「このデータは入れていいか」「この出力はそのまま使っていいか」を、受講者の実業務の題材で判断させる演習が中心になります。判断に迷ったケースを持ち寄らせると、そのままガイドライン改訂の材料になります。
受講率や満足度は定着の指標になりません。見るべきは、公式ツールの利用が増えたか、相談窓口への質問の質が変わったか(「使っていいか」から「こう使いたいが注意点は」へ)、そして業務での利用事例が現場から出てくるようになったか。この3つは研修の前に計測の仕込みをしておかないと、後からは測れません。
外部の研修を受け続ける形は、費用が続く割に文化になりません。目標は、各部門に「あの人に聞けば分かる」という推進役が育ち、研修の改訂と社内展開が内側で回る状態です。外部が担うべきは最初の設計と推進役の育成までで、そこから先を外部に依存し続ける設計は、ガバナンスの持続性としては失敗です。
NEWS & BLOG
SOLUTIONS
このサービスで使う開発手法・契約モデル・技術方式です。
FAQ
ご相談の前によくいただく質問です。解決しない点はお気軽にお問い合わせください。
01
金額は形式で桁が変わります。eラーニング・動画視聴型は1人あたりの単価、講師が来る集合研修は1回あたりの単価、自社の業務に合わせて教材を作る業務特化型は設計込みの一式、という値付けです。同じ形式の中では、対象人数と階層、カスタマイズの深さ(自社の業務題材で教材を作るか)、研修後のフォロー(定着支援やルール整備まで含むか)で動きます。ARCHECOは部門別の実務題材で教材を作るため、費用は受講者数より部門数と題材の数で決まります。見積もりを比べる前に、対象部門と、翌日から使ってほしい業務を書いて渡すのが一番早い方法です。
02
一般的な生成AI研修の中身は、仕組みとできること・できないこと、プロンプトの書き方、業務での活用例、情報漏洩や著作権などのリスクと社内ルール、の4つです。ARCHECOは、ツールの操作方法より「このデータは入れていいか」「この出力はそのまま使っていいか」の判断基準に時間を使い、営業・管理部門・開発など部門ごとの実際の仕事を題材に手を動かします。研修の成否は、翌日から自分の仕事で使えるかどうかで判定します。
03
個人のスキルとしては、独学で十分に身につきます。無料で使えるツールと解説は豊富で、操作方法だけなら研修は要りません。組織で足りないのは「何を入れてよいか」の共通の判断基準と、自分の部門の業務への翻訳で、この2つは各自の独学では揃いません。ARCHECOの生成AI研修は、個人の操作習得ではなく、組織で判断基準を揃えて業務手順に載せることを目的にしています。
04
3つです。①何が対象かを判断できる具体例(「機密情報は禁止」ではなく、外に出て困る情報とそうでない情報を業務に即して例示する)、②判断に迷ったときの相談窓口、③運用と見直しの担当者。禁止事項を羅列するだけのガイドラインは、該当するかどうかの判断を現場に丸投げしてしまうため機能しません。
05
禁止事項は「してはいけないこと」を列挙するもので、目の前の状況がそれに当てはまるかどうかの判断は現場に残ります。ルールは判断基準そのものを示すもので、具体例とセットになって初めて機能します。「機密情報は禁止」は禁止事項、「顧客の個人情報や未公開の契約条件は条件付き、公開済みの資料は使ってよい」がルールです。
06
禁止を強めるほど見えなくなります。正規の環境を使いやすくし、業務の中で自然に選ばれる状態を作るほうが実効的です。そのうえで、入力してよい情報の線引きを技術的にも担保します。
07
対象人数や部門数、既存ルールの整備状況によって変わるため、定額では提示していません。まずは無料のAIガバナンス診断で、いまのルールと研修が現場で判断できる形になっているかを見たうえで、概算をお出しします。診断の段階で、どこを直せば定着するかが分かる状態にしてお返しします。
Plans
受託開発(1年以内のカスタム開発)、代理出産型プロフィットシェア(ARCHECOが事業運営を主導、無償保証・サービス譲渡確約付き、2〜3年計画)、ジョイントベンチャー(双方が資本出資し事業体を共同設立、2〜3年計画)、スウェットエクイティ(労働力を株式として投下)。事業フェーズとリスク許容度に合わせて、最適な契約形態を設計します。どの契約を選んでも、事業を当てることへのこだわりは変わりません。
Plan 01
ARCHECOのソリューションライブラリと自律型AI開発エージェントを活用し、1年以内でカスタムシステムを構築・納品します。AI戦略策定からAgentic RAG構築、業務特化型プライベートSaaS開発、UX/UIデザインまで、事業に必要な全工程を一気通貫で実行します。

Plan 02
ARCHECOが事業の企画・開発・運営を主導し、2〜3年計画で事業を立ち上げます。無償保証、サービス譲渡確約、採用代行を含むリスク軽減策をセットで提示。事業が黒字化して初めてARCHECOの収益が発生するプロフィットシェア構造により、全員が事業の成功だけに集中します。

Plan 03
クライアント様とARCHECOが資本を出し合い、新たな事業体を共同設立します。双方からの人材出向・採用により、独立した組織として事業を推進。既存事業のルールや予算制度に縛られない「出島」として機能し、スタートアップと同等のスピードと柔軟性で意思決定を行います。

いまのルールと研修が、現場で判断できる形になっているかを無料で診断します。整備状況の点検ではなく、「どこを直せば使われるか」をお返しします。
※弊社のリソース状況によってはお受け出来ないことがございます。