チャット画面の長い往復ラリーにスマートフォンを手に当惑する人と、反対側に浮かぶ友好的なロボットのフラットイラスト

チャットボットのUX設計|会話設計の3局面とよくある失敗4つ、行き止まりの台詞から作る理由

契約内容をちょっと変えたいだけなのに、たどり着く先はAIチャットばかり。質問と回答を何往復もして、ため息が出た夜。賢いはずのボットが役に立たないのは、AIの性能ではなく「会話の設計」の問題でした。あなたの会社のボットも、静かにユーザーを取りこぼしているかもしれません。

「恐れ入りますが、ご用件をもう少し詳しく教えていただけますか」

「いま契約している自動車保険に、車をもう1台追加したいんです」

「自動車保険の新規ご契約をご検討のお客さまは、こちらのページをご覧ください」

「いや、新規じゃなくて、いまの契約に追加を、、、」

夜、スマホの小さなチャット画面に向かって、筆者は誰にも聞こえないため息をつきました。

長野に移住してから、生活の足として車をもう1台買い足すことになりまして。(都会と違って、こちらでは大人1人に1台が基本装備なのです。移住のいきさつは、自己紹介で白状しております。)で、保険会社のサイトを開いて、既存の契約に車を追加する手続きをしようとした訳です。

用件としては、かなり簡単な部類のはずです。契約者は筆者。契約はすでにある。そこに車を1台足したい。必要な情報を並べるフォームが1枚あれば、たぶん5分で終わる。

ところが、サイトのどこを探しても、その入口が見つからない。案内されるのは「AIチャットで質問する」と、ごく限られた電話窓口だけ。かくして筆者は、5分で終わるはずの用件のために、チャットボットとの質問と回答のラリーを、延々と続けることになったのでした。

このラリー、経験のある方なら分かっていただけると思うのですが、地味に消耗するんです。言い方を変えれば伝わるかと思って、「車両の追加」「2台目の契約」「既存契約の変更」と、こちらの語彙を総動員して言い換えてみる。そのたびに、微妙に的を外したFAQページへのリンクが返ってくる。じゃあ電話だ、と番号を探せば、受付は平日の日中だけ。こちとら仕事が終わってから手続きしたいのに、、、と、画面の前で行き場をなくす訳です。

入口を、チャットに絞ってはいけなかった

このとき筆者が消耗した理由は、ボットの頭の悪さではありません。むしろ逆で、応答そのものは丁寧だし、日本語も流暢なんです。

問題は、もっと手前にありました。この用件は、そもそも会話に向いていなかった。

契約変更のような手続きは、必要な項目が最初から決まっています。車検証の情報、使用目的、運転する人の範囲。こういう「項目が決まっている用件」は、一覧できるフォームで上から埋めていくのがいちばん速い。私たちが長年、紙の申込書でやってきたやり方です。

一方で、会話が本領を発揮するのは「何を聞けばいいか、自分でもまだ整理できていない用件」のときです。「こういう場合って保険おりるんでしたっけ?」みたいな、輪郭のぼんやりした相談。これはフォームでは受け止めようがなくて、対話で少しずつ形にしていくしかない。

つまり、用件には「会話が向くもの」と「一覧が向くもの」がある。 当たり前の話に聞こえますよね。でも、AIチャットが賢くなったいま、この当たり前が静かに無視され始めています。「賢い会話AIがあるなら、入口はそれ一本でいいじゃないか」と、フォームや電話の入口を畳んでしまう。窓口の省力化としては、気持ちは分かります。分かりますが、、、ユーザー側から見ると、5分の用件が30分の尋問に化けるのです。

記入欄が並ぶフォーム画面と、吹き出しが往復する会話画面を並べた対比図|用件が違えば向く入口も違い、すべてをチャットに流すと5分の用件が30分になる

5分の用件を5分で終わらせる地図 ― チャットボットのUX設計とは・会話設計の3局面

ここで一度、種明かしを挟ませてください。筆者があの夜に味わった消耗には、実はもう名前と設計の型が付いています。地図を先に広げておくと、このあとの話が、ただの愚痴ではなくなるはずです。

チャットボットのUX設計とは

チャットボットのUX設計とは、ユーザーが迷わず用件を果たせるように、ボットとの接点全体——画面の形、会話の流れ、言葉づかい、答えられないときの引き継ぎ——を設計することです。ボタンの色や吹き出しの見た目を整えるUIデザインより、範囲はずっと広い。そしてAIモデルの応答精度とは別のレイヤーの仕事です。精度がどれだけ高くても、UX設計が抜けたボットは使われません。

なぜ「作り方」だけでは使われないのか

チャットボットの構築手順やツール選定は、情報も道具も整ってきました(技術面の全体像はチャットボットの作り方が詳しいです)。ただ、作れることと使われることは別の問題です。UX設計を置き去りにしたボットは、解決率が上がらず、ユーザーは早々に電話や有人チャットに流れ、やがてボットは「本題の前に立ちはだかる壁」として認識されるようになります。

チャットボットのUIは3類型

類型主な形向いている場面弱点
自由入力型白紙の入力欄に平文で質問輪郭の曖昧な相談・多様な用件何を頼めるか伝わらない
選択肢型(シナリオ型)ボタンで分岐をたどる用件が定型で数が限られる場合想定外の用件を受け止められない
ハイブリッド型選択肢で絞り込み+最後に自由入力実務の大半分岐設計の手間がかかる

実務で選ばれるのは多くの場合ハイブリッド型です。AIプロダクト全般のUI類型と設計原則は、AIのUI/UXデザインで扱っています。

会話設計とは|台本づくりとの違い

会話設計(カンバセーションデザイン)とは、ボットとユーザーのやりとりの流れ・言葉・分岐・例外処理をあらかじめ設計する仕事です。想定問答の台本を一字一句書き上げることではありません。局面ごとに「ここでは何を優先するか」の方針を決めることが本体です。

会話設計の3つの局面

局面設計すること失敗すると起きること
入口できること・できないことを会話の前に見せるユーザーが白紙の欄の前で固まる
本筋聞き返しで用件を絞り込む曖昧な質問に一般論が返り、堂々巡りになる
行き止まり答えられないことを正直に伝え、人につなぐごまかしの応答が続き、信頼が壊れる

局面1|入口 ― できることを先に見せる

よくある用件のボタン、入力例、そして「私は◯◯のご案内ができます」という自己紹介。海外のユーザビリティ調査でも、人間のふりをせず、ボットであることと得意分野を最初に明かすボットのほうがユーザーに好まれると報告されています。入口の設計は、期待値の設計です。

局面2|本筋 ― 聞き返して絞り込む

ユーザーは一発で用件を言い当ててはくれません。調査でも、AIとの対話ではユーザーが何度も言い直しを重ねるのが常態だと観察されています。だから曖昧な質問には、答える前に一往復の聞き返しを挟む。あわせて、ユーザーの言葉と運営側の用語のズレ(「車をもう1台足したい」と「車両追加」)を、選択肢の提示で先回りして翻訳しておくことが効きます。

局面3|行き止まり ― 正直に言って、人につなぐ

どれだけ設計しても、答えられない質問は必ず来ます。AIがそれらしく答えてしまう危うさはハルシネーションの対策で扱われているとおりです。良い行き止まりの台詞には3つの部品が入ります。①何に答えられないかの明示、②代わりの窓口(電話・フォーム・有人チャット)の具体的な案内、③その窓口がいま使えるかどうか(営業時間・混雑)。

よくある失敗4パターン

失敗現場で起きること
1. 入口の絞り込み(チャネル強制)フォームが速い用件まで会話に流し込まれ、手続きが尋問に化ける
2. 一般論の返答「ここでは」の答えを求める質問に、一般知識の正解が返る
3. 聞き返しの欠如曖昧な質問へ推測で長文回答し、外す
4. 出口の欠如「別の言葉でお試しください」の無限ループで、ユーザーが去る

発注・リニューアル前のチェック項目

これからボットを発注する・作り直す立場なら、仕様書に最低限この4点を落とし込んでおくと、上の失敗をだいたい防げます。①受け持たせる用件の一覧と「会話向き/フォーム向き」の仕分け、②行き止まりのときの引き継ぎ先と台詞、③聞き返しの方針(何往復まで・どの粒度で確認するか)、④会話ログをあとから読める形にすること。

効果測定の指標

見るべき数字は派手なものではありません。自己解決率(ボット内で用件が済んだ割合)、離脱ポイント(どの発話でユーザーが去ったか)、有人への引き継ぎ率、同じ質問の再問い合わせ。絶対的な合格ラインは事業によって違うため、改善の傾向で見ます。数字の裏の「なぜ」を確かめる聞き方は、ユーザーインタビューの考え方が参考になります。

導入・改善の進め方5ステップ

①用件の棚卸しと仕分け(会話向き/フォーム向き)→②3局面の方針決定(入口・本筋・行き止まり)→③プロトタイプを実ユーザーに触ってもらう→④公開してログを観察する→⑤行き止まりのログから直す、の順です。画面全般の設計フローはアプリのUI/UXデザインに詳しくまとまっています。

つまずきどころ ― 「運用すれば良くなる」の落とし穴

「まず公開して、運用しながら育てます」という計画をよく見かけますが、ログから学べるのは、行き止まりが設計されているボットだけです。ごまかしの応答はログ上「回答済み」に見えるため、失敗が数字に出ません。道具を配るだけでは定着しないという構図は、生成AIで業務効率化する方法で書いた話と同じです。

——地図はここまでです。ここからは、筆者があの夜のあとに出会った、もう2つの実話にお付き合いください。

賢いのに、役に立たない ― 炭捨て場事件

もう一つ、筆者にはチャットボット絡みで忘れられない事件がありまして。

家族でキャンプに行ったときの話です。バーベキューを終えて、使い終わった炭をどう始末しようかと、キャンプ場の案内ページにあった問い合わせチャットに聞いてみました。「炭はどこに捨てられますか?」

返ってきた答えは、そのキャンプ場がある自治体の、家庭ごみとしての炭の出し方でした。燃えるごみか埋め立てか、収集日がどうか。丁寧に、行政区のごみ分別ルールを教えてくれる訳です。

いや、知りたいのはそれじゃない……。知りたいのは「このキャンプ場に炭捨て場はあるか。あるなら、どこか」です。 結局、答えは分からずじまいでした。

笑い話みたいですが、これ、チャットボットの失敗としてはかなり本質的だと思っています。おそらくボットは、キャンプ場の所在地を読み取って、その自治体の正しい処理方法を調べ、案内した。AIの動作としては、むしろ上出来です。間違ったことは何ひとつ言っていない。でも、このキャンプ場のチャットボットの挙動としては、間違っている。ユーザーの質問には、ほとんどの場合「ここでは」という見えない枕詞が付いている。このキャンプ場では。この契約では。うちの会社では。その「ここでは」に答えられないボットは、どれだけ物知りでも、その場所に置いておく意味がないのです。

一般知識の正解と、この場所の正解は、別物である。そして、手元の資料に炭捨て場の情報が無かったのなら、正解は一般論で埋めることではなく、「こちらでは分かりかねます。よくある質問か、お問い合わせフォームをご覧ください」と出口へ案内することだったはずです。答えられないと白状する設計のほうが、物知りに振る舞う設計より、その場所のボットとしては正しい。ボットを置く側は、自分たちのボットがどちらの挙動をしているのか、一度確かめてみる価値があります。

「炭はどこに捨てられますか?」の質問を受けたボットが、世間の知識の分厚い本で埋める×の道と、よくある質問・問い合わせの案内板へつなぐ✓の道の分かれ道に立つ図|資料に無い質問は一般論で埋めず、出口へ案内するのがその場所のボットの正解

うまくいっていたボットの、地味な工夫

悪口ばかりというのもフェアではないので、逆に「お、これは楽だ」と感じたボットの話もさせてください。

どこかのサービスの問い合わせチャットでした。開くと、いきなり自由入力欄が出てくるのではなく、まず「よくあるご用件」がボタンで並んでいる。料金について、手続きについて、不具合について。ぽちっと押すと、また一段細かい選択肢が出る。2〜3回押すころには、用件はかなり絞り込まれていて、最後の最後に「詳しい状況をご記入ください」と平文の入力欄が現れる。

このスタイル、地味ですが、よくできていると思うのです。

まず、ボタンの並びを見た瞬間に「このボットに何を頼めるか」が分かる。次に、選択肢を押していくだけなので、こちらが保険用語や社内用語を知らなくても、向こうの語彙に乗っかって進める。そして、自由に書く場面は「最後のひと言」だけに絞られているから、白紙の欄を前に固まることもない。

とくに二つ目は、地味に見えて大きいと思っています。というのも、問い合わせで詰まる原因の多くは、ユーザー側と運営側で使っている言葉が違うことだからです。ユーザーは「車をもう1台足したい」と言い、運営側はそれを「車両追加(既契約の車両入替・増車)」と呼んでいる。この翻訳を、自由入力のボットはユーザーに押し付けます。「正しい用語で聞き直してくれたら分かるんですけど」という顔をしてくる。選択肢のボタンは、この翻訳を運営側が先回りして済ませておく仕組みなんです。

会話の自由さと、選択肢の道しるべ。二つのいいとこ取りです。全部を会話にする必要も、全部をボタンにする必要もなかった訳です。

会話設計という仕事 ― 台本ではなく、3つの局面

ここまでの3つの体験、実は同じ一つの話をしています。チャットボットの出来を分けるのは、AIモデルの賢さである前に、会話設計の出来だという話です。

会話設計というのは、ボットとユーザーのやりとりの流れ・言葉・分岐をあらかじめ設計する仕事のことです。台本を一字一句書くことではありません。筆者は、大きく3つの局面を設計することだと理解しています。

一つ目は、入口。何ができて、何ができないかを、会話が始まる前に見せておく局面です。さきほどの「よくあるご用件」ボタンがまさにこれです。海外のユーザビリティ調査でも、自分がボットであることと、できることの範囲を最初に明かすボットのほうがユーザーに好まれる、という報告があります。正体を隠して人間のふりをするより、「私はこれが得意な案内係です」と名乗ってしまうほうが、信頼されるのです。

二つ目は、本筋。用件を絞り込んでいく局面です。ここで大事なのは、ユーザーは一発で用件を言い当ててはくれない、という前提に立つことです。ユーザビリティの調査でも、AIとの対話ではユーザーが何度も言い直しを重ねるのが普通で、想定した一本道の流れから外れた途端にボットが立ち往生する、という観察が繰り返し報告されています。人間同士の会話なら「えっと、つまりこういうことですか?」と聞き返しながら進めますよね。ボットも同じで、曖昧な質問には曖昧なまま答えず、一往復の聞き返しを挟む。炭捨て場事件で欲しかったのは、まさにこの一往復でした。「場内の炭捨て場のご案内ですか? それとも一般的な炭の処分方法ですか?」——この確認が1行あるだけで、あのボットは満点だったのです。

三つ目は、行き止まり。答えられないときの局面です。そして白状しますと、筆者はここが会話設計でいちばん大事な場所だと思っています。ボットには必ず答えられない質問が来ます。そのときに、それらしい一般論でごまかすのか、「その内容はこのチャットではお答えできません。平日9時〜17時のこの窓口へどうぞ」と正直に言って人につなぐのか。保険のチャットで筆者が本当に欲しかったのは、賢い応答ではなく、この一言でした。

ちなみに、良い「行き止まりの台詞」には、だいたい3つの部品が入っています。①何にお答えできないかを正直に言う。②代わりの窓口(電話・フォーム・有人チャット)を具体的に示す。③その窓口が「いま」使えるかどうか(営業時間・混雑)まで添える。逆に悪い台詞は、「申し訳ありません。もう一度別の言葉でお試しください」だけを無限に繰り返すやつです。あれはユーザーに「出口はないぞ」と告げているのと同じでして、そっ閉じ一直線です。

会話がうまいボットより、引き際がきれいなボットのほうが、信頼される。 人間の窓口業務と、まったく同じなんだと思います。

チャット画面でボットが「こちらではお答えできません」と正直に伝え、「担当者につなぐ」ボタンからヘッドセットを着けた人へ矢印が伸びる図|行き止まりは隠さず、正直に言って人につなぐ

明日、自社のボットを5分だけ診てみる

ここまで読んでくださったあなたの会社にも、問い合わせボットの一つや二つ、あるかもしれません。あるいはこれから、発注しようとしているところかもしれません。そこで、筆者がユーザーとしての恨みを込めて編み出した、5分でできる健康診断をお納めください。用意するものは、スマホ1台だけです。

まず、ボットを開いた最初の画面を見ます。何ができるか、見えますか。白紙の入力欄がぽつんとあるだけなら、初対面のユーザーはそこで固まっています。

次に、わざと曖昧に聞いてみます。「料金って変えられますか?」くらいの雑さで。聞き返してくれるか、それとも一般論を長々と返してくるか。ここで長文の一般論が来るボットは、炭捨て場事件を日常的に起こしています。

三つ目に、わざと答えられない質問をぶつけます。見たいのは正答率ではなく、行き止まりの台詞です。ごまかすのか、正直に言うのか。人間への出口(電話番号・窓口・営業時間)は提示されるのか。

最後に、そのボットが受けている用件を眺めて、こう問いかけてみてください。この中に、そもそもフォームのほうが速い用件を、無理やり会話に背負わせているものはないか——と。

4つ確かめるだけで、あなたの会社のボットが「賢いのに役に立たない」側にいるかどうかは、だいたい分かるはずです。直す順番も、たぶんこの逆順です。AIモデルを入れ替える前に、行き止まりの台詞を書き、聞き返しを一往復足し、入口にボタンを並べる。地味な順に、効きます。

作る側に回った自分への、宿題

ところで筆者は最近、AIと一緒にアプリを作る側の人間でもあります。つまり、いつ自分が「炭捨て場事件」の加害者になっても、おかしくない訳です。笑

なので、これは読者のみなさまへの提言であると同時に、自分への宿題でもあります。次に何かの問い合わせ機能を作るときは、賢い応答からではなく、行き止まりの台詞から書き始める。 「できません」を、いちばん丁寧に設計する。

会話できることと、頼れることは、違う。あの夜、スマホの前でため息をついていた筆者に言わせれば——ユーザーが覚えているのは、ボットが何に答えてくれたかではなく、答えられなかったときに、どうしてくれたかなのです。

チャットボットのUX設計のよくある質問

チャットボットのUX設計とは何ですか?

ユーザーが迷わず用件を果たせるように、ボットとの接点全体(画面・会話の流れ・言葉・答えられないときの引き継ぎ)を設計することです。AIモデルの応答精度とは別のレイヤーの仕事で、本文の保険チャットのように、精度が高くても設計が抜けていれば使われません。

チャットボットが使われない・嫌われる主な理由は何ですか?

大きく4つあります。何を頼めるか分からない(入口の失敗)、曖昧な質問に一般論が返る(本筋の失敗)、答えられないときにごまかす・出口がない(行き止まりの失敗)、そしてフォームのほうが速い用件まで会話に流し込まれていること(入口の絞り込み)です。多くはAIの性能ではなく会話設計で改善できます。

自由入力とボタン(選択肢)は、どちらが良いですか?

二択ではなく、組み合わせが実務的です。選択肢で用件を絞り込み、最後に自由入力で詳細を受け取るハイブリッド型が、初めてのユーザーの迷いと、運営側の用語とのズレの両方を減らします。本文で紹介した「よくあるご用件」ボタン→平文入力の順序が典型です。

チャットボットが答えられない質問には、どう対応させればよいですか?

ごまかさずに「答えられない」と明示し、代わりの窓口(電話・フォーム・有人チャット)と、その窓口がいま使えるか(営業時間)まで案内するのが基本です。筆者はこの「行き止まりの台詞」が会話設計でいちばん重要だと考えています。それらしい一般論で埋める設計は、信頼を静かに削ります。

ユーザーにプロンプトの書き方を覚えてもらうべきですか?

問い合わせボットでは、覚えてもらう前提にしないのが安全です。聞き方の工夫は本来運営側が選択肢や入力例で肩代わりできます。一方、社内の業務利用など習熟を前提にできる場面では、プロンプトエンジニアリングの手法を整備する価値があります。

既存のチャットボットを改善するには、何から始めればよいですか?

本文の「5分の健康診断」(入口の見え方・曖昧な質問への反応・行き止まりの台詞・用件の仕分け)で現状を確かめ、直す順番は行き止まり→聞き返し→入口が目安です。AIモデルの入れ替えは、その後で検討しても遅くありません。


この記事は、ARCHECOが運営するメディア「AI・新規事業戦略大学」でお届けしました。ARCHECOは、UI/UXデザインとプロダクト開発を強みに、お客さまと並走しながら「使われるもの」をつくっているチームです。ご相談・お問い合わせはこちらからどうぞ。

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