企画書の書き方|構成8要素と記入例・1枚企画書の作り方

企画書の書き方|構成8要素と記入例・1枚企画書の作り方

「企画書の書き方|構成8要素と記入例・1枚企画書の作り方」の全体像をまとめた図解|企画書は8要素の基本構成で書きます

企画書は8要素の基本構成で書きます。ただし、順番は書式のとおりではありません。読み手が止まる箇所から先に埋めます。

止まりやすい箇所は「いくらで」「どれだけ変わり」「誰が責任を持つか」です。企画の背景から書き始めると、重要な答えが最後まで曖昧になりがちです。

本記事では、基本構成と記入例を示します。さらに、落ちた企画書の形と、決裁の場の運び方まで解説します。

企画書の定義・目的

「企画書の定義・目的」を図解したスライド|企画書とは、アイデアを実行可能な計画に変え、社内の決裁を取る文書です
企画書の基本をすでにご存じの方は、企画書の基本構成8要素から読み進められます。

企画書とは、アイデアを実行可能な計画に変え、社内の決裁を取る文書です。読み手に企画を理解してもらうだけでは足りません。「承認する」「予算を付ける」「人を出す」という行動につなげます。

企画書には、背景、目的、施策、効果、費用、体制などを記します。標準的な項目を揃えると、検討の抜け漏れを防げます。

一方、項目の多さは決裁のしやすさと同じではありません。各項目を「決裁者のどの問いに答えるか」でつなぐ必要があります。目的は形式を完成させることではなく、判断できる状態を作ることです。

企画書と提案書の違い

企画書は「社内の決裁を取る文書」、提案書は「社外の契約を取る文書」と整理できます。どちらも相手を動かす文書ですが、読み手と約束する内容が異なります。

比較項目企画書提案書
主な読み手上司、決裁者、関係部門顧客、取引先
主な目的承認、予算、人員の獲得契約、発注、採用の獲得
中心となる問い自社が実行する価値と責任は何か相手の課題をどう解決するか
重視する情報費用対効果、体制、リスク提供価値、条件、導入効果
読後の行動承認、差し戻し、否決契約、比較検討、見送り

実務では、社外向けの提案を始める前に、社内企画書で提供条件を固める場合もあります。読み手が変われば、同じ施策でも強調点を変えます。

企画書の3分類(事業・商品・マーケティング)と提出先

企画書は、扱う対象によって3つに分けられます。分類名よりも、誰が何を決める文書かを先に確認します。

分類主な決定事項主な提出先先に示す内容
事業企画継続的に資源を投じるか経営層、事業責任者市場性、収益性、撤退条件
商品・サービス企画開発や提供を進めるか開発、営業、事業責任者顧客課題、仕様、提供体制
マーケティング企画集客施策を実施するか営業、広報、部門責任者対象、施策、獲得目標

たとえば、部門内のサービス改善なら、運用責任者と情報管理部門も読み手になります。提出先を一人に限定せず、拒否権を持つ関係者まで洗い出します。

企画書を書く前の事前準備

「企画書を書く前の事前準備」を図解したスライド|事前準備は「方向性→ターゲット→概要→ツール」の順で進めるのが基本です

事前準備は「方向性→ターゲット→概要→ツール」の順で進めるのが基本です。まず何を変える企画かを決め、対象者を絞り、全体像を短くし、最後に表現手段を選びます。

ただし、下書きは企画の背景から始めません。「読み手が止まる箇所」から逆算します。費用、体制、責任者に仮の答えを置き、企画が成立するかを早めに確かめます。

準備では、次の順でメモを作ります。

1. 誰が決裁し、誰が運用を担うかを特定する

2. 費用、期待効果、責任者の仮説を置く

3. 対象者の困りごとと、変えたい状態を書く

4. 施策の範囲と、やらない範囲を決める

5. 読まれる場面に合う作成ツールを選ぶ

この順なら、説明を作り込んだ後に実施主体が不在だと判明する事態を減らせます。未確定事項は隠さず、「誰が・いつまでに決めるか」を添えます。

ツールの使い分け(PowerPoint・Word・Excel)

用途に合う作成ツールを選ぶことは有効です。一方で、見栄えだけでは読み方に合いません。PowerPointは口頭説明、Wordは回覧、Excelは数値検証に向きます。

ツール向く場面得意な情報注意点
PowerPoint会議で投影する要点、図、比較資料だけで回覧すると説明が欠けやすい
Word書面で精読・回覧する経緯、条件、文章要点が段落に埋もれやすい
Excel収支や工程を検証する計算、一覧、進捗結論を別紙に置かないと判断しにくい

一つに統一する必要はありません。本文はPowerPoint、収支根拠はExcelという組み合わせも有効です。最終的には、社内で承認済みの形式と閲覧環境を優先します。

1枚企画書の使い方

1枚企画書は、企画の全体像を短時間で共有する形式です。決裁前の相談や、関係者の認識合わせに向きます。

紙面は、上段に目的と要約、中段に施策と効果、下段に費用、体制、工程を置くと読みやすくなります。右下には「今回決めてほしいこと」を明記します。

ただし、1枚に収めるために根拠を削るのではありません。本文を1枚にし、収支表や調査結果を別紙にします。企画の論点が多い場合は、1枚を入口として使います。

デザイン・可読性(フォント・行間・配色)

読み手は忙しい前提で、装飾より視線の流れを整えます。書面は明朝体、スライドはゴシック体が基本です。長文を読む書面では明朝体、遠くから見る投影では線が明瞭なゴシック体が読みやすいためです。

書面の本文は、文字サイズの1.5〜1.8倍を行間の目安にします。スライドは1.2〜1.4倍を基準にし、段落間を行間より広く取ります。色は本文、補助、強調の役割を分けます。

白黒印刷では、色だけで分類しません。罫線、網掛け、記号も併用します。投影では細い線と淡い色を避けます。手元配布では、出典や注記を読める大きさにします。

実務では、白黒印刷、会議室投影、PDF回覧の3条件で確認します。「画面では読める」が、決裁の場でも読めるとは限りません。

企画書の基本構成8要素

「企画書の基本構成8要素」を図解したスライド|企画書の基本構成は、次の8要素です

企画書の基本構成は、次の8要素です。並びは読み順ですが、作成時は費用、効果、体制から先に仮置きします。

1. エグゼクティブサマリー

2. 背景・課題

3. 目的・数値目標

4. 施策・実施内容

5. KPI・KGIと測定方法

6. 運営体制・実施主体

7. 予算・収支

8. スケジュール・リスク

8要素は、それぞれ決裁の問いに答えます。「何を決めるか」「なぜ今か」「何が変わるか」「何をするか」「どう測るか」「誰が担うか」「見合うか」「いつ、何に備えるか」という順です。

表紙とタイトルの付け方

表紙には、企画名、提出先、提出日、作成部署、版番号を置きます。タイトルは「新サービス企画」のような分類名ではなく、「対象者のどの状態を変える企画か」が伝わる形にします。社内で版が分かれやすい場合は、ファイル名と表紙の版番号をそろえます。

1. エグゼクティブサマリー

エグゼクティブサマリーは、企画全体を冒頭で把握するための要約です。企画名、課題、施策、効果、費用、期間、承認事項を一つの枠に収めます。

「詳しくは後段」で済ませず、単独でも判断の入口になる情報を置きます。未確定の数字には、算出条件と確定日を添えます。

実務では、本文を書き終えた後に要約を更新します。古い前提が冒頭に残ると、後段との不一致が差し戻しを招きます。

2. 背景・課題

背景では、現在起きている事実と、その事実が生む問題を分けます。「問い合わせ対応が大変」は所感です。「同じ確認が複数部門で発生している」なら、観察できる状態です。

課題は、企画で変えられる範囲に絞ります。社会全体の変化から始めても、社内で動かせる対象につながらなければ判断材料になりません。

ここでは「なぜ今、何を変えるのか」に答えます。根拠が不足する場合は、確認方法と担当者を併記します。

3. 目的と数値目標の提示

目的は到達したい状態、数値目標は到達を判定する基準です。「業務を効率化する」だけでなく、「対象工程の処理時間を短縮する」のように、測る対象を示します。

数値には、基準値、目標値、期限、集計範囲を添えます。都合のよい期間だけを切り取らず、比較条件を揃えます。

数値化が難しい品質も、行動に置き換えられます。たとえば、使いやすさは、完了率、問い合わせ発生、継続利用などで観察できます。

SMART原則による目標の置き方

目標はSMART原則で点検します。具体的、測定可能、達成可能、企画との関連、期限の5条件です。

観点確認する問い修正例
Specific対象と変化が具体的か「改善」から「申請工程を短縮」へ
Measurable同じ方法で測れるか集計元と計算式を明記する
Achievable前提と資源が現実的か検証範囲を限定する
Relevant課題と施策につながるか部門目標との関係を示す
Time-bound判定日があるか確認日と終了日を置く

達成可能性を上げるために、低い目標を置くわけではありません。前提と検証範囲を明示し、達成できなかった場合も学びが残る形にします。

4. 施策・実施内容

施策では、誰に何を提供し、現行の流れをどう変えるかを書きます。機能一覧だけではなく、利用前、利用中、利用後の動きを示します。

対象範囲と対象外も明記します。初回検証で扱わない要望を決めると、費用と日程の膨張を抑えられます。

実務では、施策を一つの動詞で表します。「入力を一本化する」「確認を自動通知する」など、現場の変化が伝わる表現を使います。

5. KPI・KGIと測定方法

KGIは最終的な成果、KPIは成果に至る途中の変化を測る指標です。両者を分けると、結果が出る前にも施策を修正できます。

各指標には、定義、取得元、確認頻度、報告先、担当者を付けます。同じ「利用数」でも、登録、起動、完了では意味が違います。

承認後は、定例報告で実績、差分、原因、次の対応を共有します。未達時には、改善を続ける条件、縮小条件、終了条件を先に決めます。「いつ畳むか」まであれば、決裁者は損失の上限を判断できます。

6. 運営体制・実施主体

体制表には、責任者、実務担当、協力部門、承認者を置きます。担当部署だけではなく、役割ごとに最終責任を一つにします。

役割担う内容企画書に書くこと
責任者成果と継続判断判断範囲、報告先
実務担当設計、実施、集計工数、必要な権限
協力部門情報や運用の提供依頼内容、時期
承認者予算や方針の承認承認する事項

異動や不在も想定し、作業の引き継ぎ先を決めます。兼務者を置く場合は、既存業務との優先順位まで合意します。

7. 予算・収支

予算は、初期と継続に分けます。支出だけでなく、社内工数、保守、教育、移行、終了時の対応も含めます。

収支は、一つの予測値ではなく、前提を確認できる形にします。効果の算出式、対象人数、利用率、計測期間を記します。

直接売上を生まない改善企画では、削減時間、ミスの減少、応答速度などを効果として扱えます。ただし、削減時間をそのまま利益とみなしません。空いた時間を何に振り向けるかまで示します。

8. スケジュール(ガントチャート)

スケジュールは、準備、実施、評価、継続判断に分けます。作業期間だけでなく、承認待ち、確認、修正の時間も置きます。

簡易ガントチャートでは、作業、担当、開始、終了、前提作業を一覧にします。

作業担当前半中盤後半完了条件
現状確認実務担当対象工程の合意
試作開発担当動作確認の完了
現場検証運用担当利用結果の回収
評価・判断責任者継続可否の決定

遅延時に影響する作業を見分けるため、依存関係も示します。日付が未確定なら、承認日からの相対期間で置きます。

リスクヘッジ・デメリットの明記

リスクを書く目的は、不安を増やすことではありません。発生条件、影響、予防策、発生時の対応を示し、損失を管理できる状態にします。

デメリットも明記します。新しい入力負担、移行期間の二重運用、教育の手間など、施策によって増える負担を扱います。

「問題が起きたら対応する」では不十分です。責任者、判断日、停止方法を決めます。リスクの存在より、制御方法がないことが決裁を止めます。

会社概要と問い合わせ先をどこに置くか

社外向けの企画書だけ、末尾または裏表紙に会社概要と問い合わせ先を置きます。社内企画書には不要です。社外向けでも沿革を長く載せず、企画の責任主体、担当部署、連絡方法、回答可能な時間帯を短く示します。

説得力を高める5つのフレームワーク

「説得力を高める5つのフレームワーク」を図解したスライド|6W2H・3C・SWOTは、抜け漏れの確認に有効です

6W2H・3C・SWOTは、抜け漏れの確認に有効です。ただ、項目を揃えるだけでは説得力になりません。数値で示し、分析の下書きとして使います。

分析表をそのまま本文に貼ると、読み手に解釈を委ねてしまいます。企画書には、分析から得た事実、判断、施策への影響だけを記します。

6W2H

6W2Hは、実施条件を具体化する枠組みです。企画の骨格を一度に点検できます。

要素確認内容
Whyなぜ実施するか
What何を実施するか
Who誰が担うか
Whom誰を対象にするか
Whenいつ実施するか
Whereどこで実施するか
Howどう実施するか
How muchいくらかかり、どれだけ得るか

下書きでは空欄を残して構いません。空欄ごとに確認担当と期限を置きます。本文では表を転載せず、8要素の該当欄へ答えを移します。

3C分析

3C分析は、顧客、競合、自社の3方向から企画の成立条件を見ます。

観点下書きで確認すること本文への反映先
Customer対象者の課題と行動背景・課題、目的
Competitor代替手段と選ばれる理由施策、効果
Company資源、制約、実行能力体制、予算、リスク

社内改善では、競合を他社に限定しません。現行手順、手作業、既存ツールも代替手段です。比較結果から、採用する理由を一文に絞ります。

SWOT分析

SWOT分析は、強み、弱み、機会、脅威を整理します。内部要因と外部要因を混同しないことが重要です。

区分プラス要因マイナス要因
内部Strength:使える資源や能力Weakness:不足する資源や能力
外部Opportunity:追い風となる変化Threat:妨げとなる変化

項目を並べた後は、組み合わせて行動に変えます。強みで機会を生かす施策、弱みと脅威を抑える対策を作ります。本文には、採用した行動だけを載せます。

4C分析

4C分析は、顧客側から価値、負担、利便性、対話を確認します。

観点確認する問い
Customer Value利用者にどんな価値があるか
Cost金銭以外も含め、負担は何か
Convenience使い始めやすく、続けやすいか
Communication不明点や要望をどう受け取るか

社内施策でも、利用者の学習時間や入力負担はコストです。企画本文には、価値と負担の差が分かる施策を記します。分析表自体は下書きに留めます。

CTPT

CTPTは、コンセプト、ターゲット、プロセス、ツールの順で施策を具体化します。

要素決める内容
Concept何を実現する企画か
Target誰の行動を変えるか
Processどんな順序で届けるか
Tool何を使って実行するか

ツールから考えると、手段が目的になりやすくなります。先にコンセプトと対象を決め、必要な工程を描いてから道具を選びます。本文には選択結果と理由だけを載せます。

企画書を短くして、判断を前に進める

「企画書を短くして、判断を前に進める」を図解したスライド|企画書は8要素で構成し、6W2H・3C・SWOTなどで抜け漏れを確認します

実施後の振り返りを次の企画へ回す

実施後は、目標との差だけでなく、当初の前提、実際に起きたこと、次回変えることを一枚に残します。企画書の版番号と振り返りを対応させると、どの仮説が外れたかを追えます。次の企画では、この記録を事前準備の材料にし、同じ調査や承認待ちを繰り返さないようにします。

企画書は8要素で構成し、6W2H・3C・SWOTなどで抜け漏れを確認します。説得力は、分析の量ではなく、判断に必要な答えと数値で生まれます。

書く順番は、費用、効果、責任者からです。次に、背景、施策、測定方法をつなぎます。最後に、決裁の場で聞かれる順へ並べ替えます。

読み手が最初に開く1枚に「いくらで、どれだけ、誰が責任を持つか」が入っているか。ここだけ確かめれば、残りの枚数は削れます。

ARCHECOは、動くものを添えて企画を短くする設計から支援します。

1スライド1メッセージ

スライドでは、1枚に主張を一つだけ置きます。言いたいことが二つあるなら、スライドを分けます。見出しを結論の一文にし、本文、図、表はその結論を支える情報だけに絞ると、説明者がいなくても要点を追えます。

読み手のタイプで重視する項目を変える

同じ企画でも、経営層は投資と事業への影響、実務責任者は工程と体制、専門部門は法務・情報管理などの条件を重く見ます。提出前に読み手ごとの「承認する事項」と「止める理由」を一行ずつ書き、該当項目を前へ移します。

配色は4色以内に絞る

配色は、基調色、補助色、強調色、文字色を含めて4色以内に絞ります。面積の目安は基調70、補助25、強調5とし、強調色は結論や注意など同じ役割にだけ使います。色コードに固定せず、白黒でも区別できるか確認します。

スライドに着手する前に構成を固める

PowerPointを開く前に、各スライドの見出しだけを文章で並べます。見出しだけ読んで背景、結論、根拠、実行条件、承認事項がつながれば、構成の骨格はできています。順序が決まってから図表と本文を割り当てます。

共有はPDFで出す

完成版の共有はPDFで出すと、意図しない改変を防ぎ、フォントやアプリの違いに左右されにくくなります。変換後に改ページ、図表、リンク、注記を確認し、編集用の元データとは版番号を揃えます。

レイアウトの4原則

レイアウトは、整列、近接、反復、対比の4原則で点検します。端を揃え、関係する情報を近づけ、同じ役割の表現を繰り返し、重要度の差を大きさや太さで示します。最後に一枚を縮小表示し、どこから読むかが一目で分かるか確認します。

結論から書く(PREP)

本文や説明は、結論、理由、具体例、結論の順で組み立てるPREPを使えます。冒頭で「何を承認してほしいか」を示し、理由と事実を続け、最後に次の行動を再提示します。結論が条件付きなら、その条件も最初の一文へ含めます。

収支は3パターンで出す

収支は一つの予測に固定せず、控えめ、基準、強気の3パターン、いわゆる松竹梅で示します。実額ではなく、販売数、利用率、原価など何の前提を変えたかを明記し、各パターンで継続・修正・中止の判断がどう変わるかを添えます。

効果を金額に換算する

業務改善の効果は「削減工数×時給」の式で金額へ換算できます。単価の実額は置かず、対象人数、発生頻度、削減できる時間の根拠を記します。削減工数がそのまま利益になるとは限らないため、空いた時間の使い道も示します。

実施フェーズで書き分ける

構想段階では課題、対象、仮説、検証方法を中心にします。実行段階では体制、工程、予算、リスクを詳しくし、振り返り段階では実績、差分、原因、次の判断を中心にします。更新時は、前段階の説明を残すだけでなく、現在の判断に不要な詳細を別紙へ移します。

枚数の目安

枚数は多さではなく、読み手が一度に判断する論点数で決めます。会議用なら、承認事項と主要な根拠が説明時間内に収まる最小枚数にし、調査や収支の詳細は別紙へ置きます。見出し一覧を読み、同じ主張が続くページは統合し、1枚に主張が二つあるページは分けます。

学生の企画書はどこが違うか

大学のゼミ、サークル、高校の探究・コンテストでは、社内決裁より学習目的、調査過程、役割分担、安全性、学校の規則を詳しく示します。予算の承認者も企業の決裁者ではなく、教員、学校、参加団体などへ変わります。

変わらないのは、誰の何を変える企画か、根拠は何か、誰がいつ実行するか、リスクへどう備えるかです。提出先の評価基準を最初に一行で書き、8要素のうち強調する欄を調整してください。

完成形の記入例:社内問い合わせ対応の改善

「完成形の記入例:社内問い合わせ対応の改善」を図解したスライド|ここでは、社内業務・サービス改善を題材に、8要素を通した記入例を示します

ここでは、社内業務・サービス改善を題材に、8要素を通した記入例を示します。題材は「社内問い合わせの受付と回答状況を一元化する企画」です。

8要素記入例
エグゼクティブサマリー問い合わせ窓口を一元化し、受付から回答までの状況を共有します。検証後に継続可否を決めます
背景・課題複数の連絡手段に問い合わせが分散し、重複確認と対応漏れが起きています
目的・数値目標対象工程の処理時間と、未回答件数を同じ方法で計測し、検証前後で比較します
施策・実施内容受付フォームと回答一覧を設け、担当割り当てと完了連絡を一本化します
KPI・KGIと測定受付件数、回答完了率、処理時間を定例で確認し、責任者へ報告します
運営体制部門責任者が継続判断を担い、運用担当が受付管理、各担当が回答を担います
予算・収支初期設定、運用、教育の工数を分け、削減できる確認作業と比較します
スケジュール・リスク現状確認、試作、現場検証、評価の順で進めます。利用停滞時は導線を見直します

この例では、目標値を無理に確定していません。まず同じ定義で現状を測り、検証開始前に基準値と目標値を合意する設計です。

また、施策を「システム導入」と表現していません。受付から回答までの行動変化で書くため、既存ツールを使う場合も比較できます。

記入例2:新商品の販売企画

題材は、既存顧客の利用場面から着想した新商品の試験販売です。販売開始を結論にせず、小さな検証から継続可否を判断する企画にします。

8要素記入例
エグゼクティブサマリー既存顧客向けに新商品を限定販売し、購入と継続意向を確かめたうえで本販売を判断します
背景・課題顧客から既存商品の利用前後に生じる手間が挙がっていますが、支払いを伴う需要は未確認です
目的・数値目標予約、購入、利用後の再購入意向を同じ条件で測り、継続判断に必要な証拠を集めます
施策・実施内容対象顧客と販売期間を限定し、商品説明、注文、受け渡し、問い合わせ対応を一巡させます
KPI・KGIと測定説明閲覧、予約、購入、返品理由、再購入意向を記録し、対象別に比較します
運営体制商品責任者が継続判断を担い、営業が対象顧客、開発が仕様、管理部門が表示確認を担います
予算・収支初期は◯十万円台の幅で試算し、試作、販売準備、配送、問い合わせ対応を分けます
スケジュール・リスク仕様確認、試作、限定販売、評価の順で進めます。表示や供給に未確認があれば公開を止めます

改善点は、売上予測だけでなく、購入しなかった理由と返品理由も測定欄へ入れたことです。企画の成否だけでなく、次に直す仮説を残せます。

記入例3:展示会出展の企画

題材は、新規顧客との接点を作る展示会出展です。来場者数ではなく、出展後に営業判断へ進める接点を成果に置きます。

8要素記入例
エグゼクティブサマリー対象業界の展示会へ出展し、課題を持つ見込み顧客との商談仮説を検証します
背景・課題紹介中心で新規接点が限られ、どの訴求が対象顧客に伝わるか確認できていません
目的・数値目標対象者との会話、商談化、次回連絡への同意を定義し、出展後の進捗まで追います
施策・実施内容課題別の説明物とデモを用意し、会話記録から有効な訴求と反対理由を集めます
KPI・KGIと測定対象者との会話数、商談設定、追客後の状態、失注理由を共通様式で記録します
運営体制責任者が出展判断、現場担当が説明、営業が追客、管理担当が個人情報の取扱いを担います
予算・収支小規模案は初期◯十万円台からの幅で、出展、造作、移動、制作、追客工数を分けます
スケジュール・リスク事前告知、説明練習、当日運営、翌営業日からの追客、振り返りを設定します

改善点は、展示会当日ではなく翌営業日からの追客を工程へ含めたことです。名刺の枚数で終わらず、商談へ移ったかを評価できます。

記事内で使える企画書テンプレート

次の表は、企画書の下書きを始めるのに有効です。ここで、空欄を埋めること自体を目的にしません。決裁の問いに答えるために使います。

項目決裁の問い記入欄
要約今回、何を承認するか
背景・課題なぜ今、何を変えるか
目的・数値目標何が、いつまでに変わるか
施策誰に何を行うか
KPI・KGI何を、どう測るか
体制誰が実行し、責任を持つか
予算・収支費用に見合うか
工程・リスクいつ進め、何に備えるか

最初は空欄があっても構いません。「未定」だけで終えず、確認する人と期限を書きます。企画の弱点が、次に行う調査へ変わります。

現場の事例:問い合わせ窓口の改善企画を決裁へ置き換える

複数の連絡手段に社内問い合わせが分散している現場では、担当者が同じ内容を確認し、回答漏れも発生していました。企画書では、施策を「新しいシステムの導入」とせず、「受付から回答完了までの状態を一つの窓口で共有する」と置きます。

最初の対象は一部門に絞り、受付件数、回答完了率、処理時間を同じ定義で測ります。決裁者には、必要な運用担当、試行期間、中止条件を先に示します。企画書の役割は完成形を約束することではなく、小さな実行から継続可否を判断できる状態を作ることです。

決裁者視点で企画書を並べ替える

「決裁者視点で企画書を並べ替える」を図解したスライド|決裁者にとってのメリットは、企画の魅力だけではありません

決裁者にとってのメリットは、企画の魅力だけではありません。限られた資源を投じる理由と、失敗時の損失を管理できることも含みます。

標準的な構成を保ちつつ、決裁者が最初に見る欄から整えます。実務の順序は「承認事項→費用対効果→責任者→リスク→根拠」です。

冒頭には「今回決めてほしいこと」を一文で置きます。次に、期待する変化と必要な資源を対にします。その後で、実施主体と中止条件を示します。

部門ごとのメリットも分けます。経営には資源配分、現場には負担と改善、管理部門には安全性と運用責任を示します。同じ効果を言い換えるのではなく、各部門が負う判断に答えます。

書類より、通す場の設計

「書類より、通す場の設計」を図解したスライド|読み手は忙しいため、企画書はシンプルに整えます

読み手は忙しいため、企画書はシンプルに整えます。さらに、誰に、何分で、どの順に説明するかを事前に設計すると、書類が判断に使われます。

まず、決裁者、実務責任者、拒否権を持つ部門を特定します。会議前には1枚企画書を共有し、「承認事項」「費用」「体制」への懸念を集めます。

当日は、冒頭で承認事項を伝えます。次に効果と費用、体制、リスクの順で説明します。残りを質疑に充て、背景の読み上げに時間を使いません。

想定質疑は、金額、効果、責任、既存業務への影響、未達時の対応に分けます。回答できない問いには、確認担当と回答期限をその場で置きます。

会議後は、決定、条件付き承認、保留、否決を区別して記録します。「検討する」を承認と解釈せず、次の決裁条件を明文化します。

決裁文書の名称や社内での位置付けを整理したい場合は、稟議書の名称とレビューに関する解説も参照できます。

落ちる企画書に共通する3つの形

「落ちる企画書に共通する3つの形」を図解したスライド|基本項目を揃え、数値とフレームワークで説明することは重要です

基本項目を揃え、数値とフレームワークで説明することは重要です。そのうえで、否決や差し戻しには、情報量だけでは解けない共通の形があります。

ARCHECOは10年間、大企業と組んで新規事業を作ってきました。要素がすべて揃った分厚い企画書ほど、現場を動かさない場面も見てきました。

1. 答えが後ろにある

背景説明は詳しい一方、費用、効果、責任者が後段に置かれた形です。差し戻しのコメントは「結局、いくらで誰が持つのか」に集約されます。

実装は3日で動くのに、導入の決裁まで18か月かかった経験があります(上申日が4回動いた経緯)。止めていたのは情報の不足ではありません。決裁者の問いである「いくらで・どれだけ・誰が責任を持つか」への答えが、最後まで残っていました。

対策は、3つの答えを冒頭に仮置きすることです。精度が低くても、前提、確定方法、確定日があれば議論を始められます。

2. 成功時の話しかない

効果は詳しい一方、未達時の対応がない形です。差し戻しのコメントは「成果が出なかったら、いつまで続けるのか」になります。

対策は、継続、修正、終了の条件をKPIに結び付けることです。終了方法とデータの扱いまで書けば、損失の範囲を示せます。

3. 書類だけで実現性を証明する

図や文章は整っていても、利用者の反応がない形です。差し戻しのコメントは「本当に現場が使うのか」になります。

自社の事業では、受注が0件で動かない時期がありました。技術の問題ではなく、刷った印刷物が現場に置かれていないことが原因でした。A4チラシとA3プラカードを作って現場へ持ち込むと、ある1日はスタッフの声かけ経由21件に対し、掲示物経由が46件になりました。動くものを添えると、企画書は短くできます。

小さく動くものを作る考え方は、MVP・PoCを起点にした新規事業支援でも扱っています。完成品ではなく、決裁上の最大の疑問を確かめる試作を選びます。

この先:生成AIが企画書を会議前の対話に変える

生成AIは、同じ企画から経営、現場、管理部門が必要とする論点を切り分け、想定質問を先に作れるようにします。これにより、企画書は会議で初めて読まれる完成文書から、会議前に懸念と不足条件を集める対話の土台へ移ります。ただし、読み手ごとに文章を整えるだけでは、費用、責任、未達時の対応という判断材料は増えません。AIには論点の抽出と再構成を任せ、承認事項と根拠の確定は関係者が担う構造が重要です。

  • 稟議書:権限者の承認を得るため、判断事項と条件を回覧する文書。
  • 6W2H:企画の対象、方法、費用までを問いで整理するフレーム。
  • KPI・KGI:途中経過と最終成果を分けて測る指標。
  • MVP(実用最小限の試作)・PoC(概念実証):最大の不確実性を、小さな試作や実証で確かめる方法。

よくある質問

企画書とは何ですか?

アイデアを実行可能な計画に変え、社内の決裁を取る文書です。読み手に理解してもらうだけでなく、承認する、予算を付ける、人を出す、という行動につなげます。項目の多さは決裁のしやすさと同じではなく、各項目を「決裁者のどの問いに答えるか」でつなぐ必要があります。

企画書の基本構成8要素は何ですか?

エグゼクティブサマリー、背景・課題、目的・数値目標、施策・実施内容、KPI・KGIと測定方法、運営体制・実施主体、予算・収支、スケジュール・リスクの8つです。それぞれ「何を決めるか」「なぜ今か」「何が変わるか」「何をするか」「どう測るか」「誰が担うか」「見合うか」「いつ、何に備えるか」という決裁の問いに答えます。

企画書と提案書の違いは何ですか?

企画書は社内の決裁を取る文書、提案書は社外の契約を取る文書です。企画書は上司や決裁者へ向けて承認・予算・人員を求め、費用対効果、体制、リスクを重視します。提案書は顧客へ向けて契約や発注を求め、提供価値、条件、導入効果を重視します。

企画書はどの順番で書けばいいですか?

並び順は読み順ですが、作成時は費用、効果、責任者から仮置きします。背景から書き始めると、重要な答えが最後まで曖昧になりがちだからです。誰が決裁し誰が運用を担うかを特定し、費用・期待効果・責任者の仮説を置いてから、対象者の困りごとと施策範囲を書きます。

1枚企画書はどう使いますか?

企画の全体像を短時間で共有する形式で、決裁前の相談や関係者の認識合わせに向きます。上段に目的と要約、中段に施策と効果、下段に費用・体制・工程を置き、右下に「今回決めてほしいこと」を明記します。根拠を削るのではなく、収支表や調査結果を別紙にします。

企画書はPowerPoint・Word・Excelのどれで作りますか?

PowerPointは会議で投影する場面、Wordは書面で精読・回覧する場面、Excelは収支や工程を検証する場面に向きます。一つに統一する必要はなく、本文はPowerPoint、収支根拠はExcelという組み合わせも有効です。最終的には社内で承認済みの形式と閲覧環境を優先します。

企画書の数値目標はどう置きますか?

目的は到達したい状態、数値目標は到達を判定する基準です。数値には基準値、目標値、期限、集計範囲を添え、比較条件を揃えます。SMART原則(具体的、測定可能、達成可能、企画との関連、期限)で点検します。低い目標を置くのではなく、前提と検証範囲を明示し、未達でも学びが残る形にします。

企画書にはどんなフレームワークを使いますか?

6W2H、3C、SWOT、4C、CTPTが代表的です。ただし分析表をそのまま本文に貼ると、読み手に解釈を委ねてしまいます。フレームワークは下書きで抜け漏れを確認するために使い、企画書には分析から得た事実、判断、施策への影響だけを記します。

企画書のリスクはどこまで書きますか?

発生条件、影響、予防策、発生時の対応を示し、損失を管理できる状態にします。新しい入力負担、移行期間の二重運用、教育の手間など、施策によって増えるデメリットも明記します。「問題が起きたら対応する」では不十分で、責任者、判断日、停止方法まで決めます。リスクの存在より、制御方法がないことが決裁を止めます。

企画書が落ちるのはなぜですか?

否決や差し戻しには3つの共通した形があります。答えが後ろにある(費用・効果・責任者が後段)、成功時の話しかない(未達時の対応がない)、書類だけで実現性を証明する(利用者の反応がない)です。ARCHECOでは実装は3日で動くのに導入の決裁まで18か月かかった経験があり、止めていたのは情報の不足ではありませんでした。

企画書のフォントや行間はどうすればいいですか?

書面は明朝体、スライドはゴシック体が基本です。書面の本文は文字サイズの1.5〜1.8倍、スライドは1.2〜1.4倍を行間の目安にします。白黒印刷では色だけで分類せず、罫線や網掛けも併用します。白黒印刷、会議室投影、PDF回覧の3条件で確認します。

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