新規事業のKPI|売上や件数を置かない。自分たちが来週動かせる数字を置く

新規事業のKPI|設定方法と例、売上ではなく来週動かせる数字を置く

訪問介護事業所向けに、ヘルパーがスマホで訪問実績を記録して月末の請求データを作るアプリを、新規事業として立ち上げました。そのKPIに売上へいちばん近い「請求まで届いた率」を1本置いたところ、数字は上がるのに紙は減らず、主力の送迎が0件として数えられていました。測るものを1つだけ入れ替えた記録です。
「新規事業のKPI|設定方法と例、売上ではなく来週動かせる数字を置く」の全体像をまとめた図解|去年、体重計を買いました

去年、体重計を買いました。

朝いちばんに乗るのが習慣になり、体重を紙に書き留めるようにもなりました。そして書き留める数字を軽くしたくなると、いちばん手っ取り早いやり方がすぐ見つかります。前の晩に水を飲まないことです。

翌朝の数字は、たしかに軽くなります。夕方には戻っています。

半年やって分かったのは、僕が毎朝測っていたのが体の中身ではなく、前の日の水分の量だったことでした。

新規事業でKPI(事業の進み具合を測る重要な指標)を決める場面は、ここ数年で明らかに増えました。社内で新しい事業に予算を出すかどうかを決めるたびに、事業の担当者は進み具合を示す数字を1本出すよう求められます。ところが、そこで置いた数字が半年後に事業を良くしているかというと、そうとは限りません。

僕も、新規事業のKPIにする指標を選び間違えました。売上にいちばん近い数字を1本だけ選び、それを6か月測り続けた記録を、最後にまるごと捨てています。

先に一行だけ置きます。新規事業のKPIに、売上や件数のような結果の数字を置くと、数字は上がるのに検証が止まります。 結果の数字は、僕の会社の開発担当者が翌週の改修で直接は動かせないからです。

この話に出てくる事業

「この話に出てくる事業」を図解したスライド|大企業と僕の会社の共創事業(複数の会社が共同で作る事業)として立ち上げたMVP(試しに世へ出す、最小…

大企業と僕の会社の共創事業(複数の会社が共同で作る事業)として立ち上げたMVP(試しに世へ出す、最小限の製品)のひとつに、訪問介護事業所向けのアプリがあります。僕の会社はこのアプリを開発する役割です。ヘルパーが利用者の家を回った記録を、その場でスマホに残します。それが月末に、そのまま介護保険で介護サービスの費用を請求するためのデータになります。

このアプリを入れた先は、ヘルパーが40名、利用者が200名ほどの事業所です。ヘルパー1人が1日に6件ほど回ります。掃除、食事の支度、入浴の介助。それに加えて、通院の日だけは事業所の車でヘルパーが送り迎えをします。近隣の事業所はこの送り迎えをやっていません。利用者がここを選ぶ理由が、そこにあります。

月末にその月分を確定する請求作業は、重いものでした。ヘルパーが紙の記録票を事業所に持ち帰り、事務の2名が表計算に打ち直します。月が変わってからの4日間は、その打ち直しだけで終わっていました。

だから、紙の記録票を使わずに済むよう、アプリを作りました。ヘルパーが訪問先で入力すれば、事務の打ち直しが消えます。

今日は、その新規事業に置いたKPIが、なぜ機能しなかったのか、という話をしていこうと思います。

前置きはさておき、本題に入ります。

① 教科書どおりに、売上にいちばん近い数字を1本だけ置いた

「教科書どおりに、売上にいちばん近い数字を1本だけ置いた」を図解したスライド|新規事業のKPIの置き方は、素直に教科書どおりにしました

KPI設定の基本をすでにご存じの方は、② 6か月後、数字は上がったのに紙の束は薄くならなかったから読み進められます。

KPIとは|KGI・KSF・OKRとの違い

KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)とは、目標に向かう進み具合を測るための、途中の指標です。周辺の言葉と並べると役割がはっきりします。

何を指すか
KGI最終の目標(Goal)。事業が最後に到達したい数字年間売上、契約数
KSF成功の鍵(Key Success Factor)。KGIに効く要因請求作業が紙なしで終わること
KPIKSFがどれだけ進んだかを測る途中の指標記録1件あたりの操作回数
OKR目標(Objective)と成果指標(Key Results)を組で置く運用の型四半期ごとに設定・見直し

順番はKGI(どこへ)→ KSF(何が効くか)→ KPI(それをどう測るか)です。KPIから決め始めると、測りやすい数字が先に選ばれます。この順番の崩れが、この記事の後半で起きることの遠因になります。

新規事業でKPI設定が必要な理由

  • 取り組むことが絞れる — 数字が1本決まると、来週やることが決まる
  • 検証が速く回る — 施策の前後で同じ数字を比べられる
  • 撤退判断の材料になる — 基準を先に決めておけば、やめる判断が属人的にならない
  • 関係者の判断が揃う — 現場と経営が同じ数字を指差せる

KPIの設定方法と、KPIツリー

作り方の定石は、KGIを頂点に置き、それを要因へ分解して木の形にするKPIツリーです。売上なら「客数×単価」、客数なら「訪問数×成約率」——と分けていき、末端に来た「自分たちの手で動かせる数字」をKPIに選びます。指標の良し悪しはSMART(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)で点検します。

ただし新規事業では、このツリーがまだ仮説です。分解の線そのものが間違っていることが普通にあるので、ツリーは一度作ったら終わりではなく、検証のたびに引き直す前提で使います

フェーズ別のKPI|検証段階で測るものは違う

フェーズ確かめることKPIの例
CPF(課題があるか)顧客の課題が実在するかインタビュー数、課題への共感率
PSF(解決になるか)自分たちの案がその課題を解くか試作の利用率、継続希望率
PMF(市場に合うか)市場が受け入れるか継続率、紹介率、有料転換率
拡大期再現性を保ったまま伸ばせるか獲得単価、解約率、売上

売上が意味を持つのは最後のフェーズだけです。それより前の段階で売上をKPIに置くと、数字がほとんど動かないか、動いても偶然と区別がつきません。

新規事業のKPIの具体例

  • 顧客に関するもの — 利用率、継続率、紹介率、問い合わせ数
  • 業務プロセスに関するもの — 作業1件の所要時間、操作回数、エラー・差し戻しの件数
  • 財務に関するもの — 売上、粗利、獲得単価(後期フェーズ用)
  • チームに関するもの — 検証サイクルの回転数、リリース頻度

KPI設定で失敗する典型パターン

  • 初期から売上・件数を置く — この記事の後半で実物をお見せします
  • KGIと連動していない — 上げても目標に近づかない数字を磨いてしまう
  • 一度決めたら変えない — 仮説が変わったのに指標だけ残る
  • 定量に偏る — 数字の外で起きている異変を見落とす
  • 撤退基準とセットにしない — やめられない事業が残り続ける
  • 虚栄の指標(Vanity Metrics) — 登録数や表示回数のような、増えて嬉しいだけの数字を追う

新規事業のKPIの置き方は、素直に教科書どおりにしました。

指標についてよく言われるのは3つです。指標を1本に絞ること。売上に直結するものを選ぶこと。毎週見られる細かさにすること。この3つで絞ると、候補は1つしか残りませんでした。

置いたのは「訪問1件が、アプリの中だけで請求データまで届いた率」です。事業所の中では到達率と呼んでいました。記録が紙のままになれば事務の打ち直しが発生し、締めが遅れ、請求も遅れます。売上にいちばん近い数字でした。

到達したかどうかの判定は、2本立てにしています。1本目は、その訪問についてアプリの中で請求データの確定操作が起きたこと。2本目は、月末に事務の担当者が「今月は紙を1枚も使わなかった」と答えたこと。1本目が立てばその訪問を、2本目が立てばその月の訪問をまとめて、到達として数えます。

最初の3か月で、到達率は31%から58%まで上がりました。週に一度の会議で、訪問介護事業所の担当者も僕の会社の開発担当者も同じ数字を指差せるようになっています。事業所の所長からも「はじめて前の月と比べられるようになった」と言われました。

この時点では、外した感覚はまったくありませんでした。

ここまでが、新規事業のKPI設定の教科書どおりの整理です。1本に絞る、売上に直結させる、毎週見られる細かさにする——冒頭の3条件も、この整理の中にあります。

後半は、この教科書に沿って選んだ1本の数字を6か月測り続け、その記録をまるごと捨てた話です。どこで外したかは、上の失敗パターンの1行目に既に書いてあります。当時の僕は、それを知識として知っていました。

② 6か月後、数字は上がったのに紙の束は薄くならなかった

「6か月後、数字は上がったのに紙の束は薄くならなかった」を図解したスライド|ところが、紙の記録票をアプリでの入力に置き換える作業を続けているうちに、到達率が上がっても紙の記録票…

ところが、紙の記録票をアプリでの入力に置き換える作業を続けているうちに、到達率が上がっても紙の記録票が減らないことが分かってきました。

到達率は6か月後に64%まで来ています。それなのに、事務の2名が打ち直しに使う日数は、相変わらず4日のままでした。

事業所に持ち込まれる紙の記録票を数えてみると、束はまったく薄くなっていません。ヘルパーに聞くと、答えは揃っていました。「アプリには入れてます。でも送迎の分は紙で出してます」。

つまり、到達率が上がった月ほど紙が減る、という関係が成り立っていませんでした。事務の打ち直しは、1日も短くなっていません。

③ 気づいたのは、到達かどうかを決めている表を開いたときでした

「気づいたのは、到達かどうかを決めている表を開いたときでした」を図解したスライド|はじめは、現場の慣れの問題だと思っていました

はじめは、現場の慣れの問題だと思っていました。使い方の説明会をもう一度開けば済む、という程度に考えていました。

ただ、説明会のあとの月も、到達率だけが上がって紙は減りませんでした。ここで、数え方そのものを疑いました。

請求の確定操作が起きたかどうかを、アプリは開かれた画面の名前で判定しています。到達と見なす画面の名前を並べた表があって、そこに載っている画面が開かれたら到達、という作りです。

その表を開いて、数えました。アプリがヘルパーに出す画面は44種類あります。表に載っていたのは、そのうち10種類だけでした。

そして、いちばん多く開かれる画面が載っていません。「次の訪問先と、その日の持ち物を出す画面」です。どの作業の途中からでも開けるようになっていて、1日に何度も使われます。それでも、到達率には1回も数えられません。表の中身は、6か月前に手で並べたきりです。

到達の判定漏れが決定的になったのは、次に送迎にかかわる画面を数えたときでした。送迎にかかわる画面は7種類あって、1つも表に載っていませんでした。 通院の送迎は、この事業所が利用者に選ばれている理由そのものです。主力の商材(顧客に提供する中心の商品やサービス)が、指標の上では一度も起きていないことになっていました。

到達判定の2本目である「事務の申告」も、生きていませんでした。事務の担当者に「今月は紙を1枚も使わなかった」と聞く画面は、優先度を下げたまま作っておらず、判定の片翼は6か月のあいだ空のままでした。「到達 = 確定操作 または 事務の申告」のうち、事務の申告は毎月、空のまま集計に乗り続けていました。

④ 原因を1件に絞る

「原因を1件に絞る」を図解したスライド|外した理由として思い当たることは、いくつもあります

外した理由として思い当たることは、いくつもあります。到達の判定を2本立てにしたこと。到達と見なす画面を名前で並べたこと。送迎の画面を後回しにしたこと。

ただ、これらに共通する原因は1つでした。

結果を示す数字にKPIを置いたこと。

請求まで届いたかどうかは結果です。結果は、アプリを作っている開発担当者が翌週の改修で直接は動かせません。動かせないものを毎週測る形にすると、「何が起きたら成立と見なすか」という、代わりの判定が必ず要ります。

そして代わりの判定は、数えやすいものから順に埋まります。確定操作のように、1回だけはっきり起きるものが先に入る。送迎のように、複数の画面にまたがって少しずつ進むものは、最後まで入りません。主力の商材ほど工程が長いので、代わりの判定から漏れます。

主力の送迎が到達率に寄与しなかった流れを、通しで書くとこうなります。あとから測って分かったことですが、送迎のある訪問は記録の操作が11回と、送迎の無い訪問の3倍近く重い。だからヘルパーは、送迎の分だけ紙に逃げます。紙に逃げた訪問は、アプリの中で請求まで届かないので、到達率の分子に入りません。そのうえ、到達と見なす画面の表には送迎の画面が1枚も載っていないので、送迎がどれだけ落ちているかは、指標の画面に一度も表示されません。到達率は、送迎のない簡単な訪問だけで上がり続けます。数字が上がっているので、僕たちは簡単な側の改善を続けました。主力の送迎は、指標の外で、紙のまま止まっていました。

⑤ 直したのは1箇所だけ

「直したのは1箇所だけ」を図解したスライド|やったことは、測るものを1つだけ差し替えることです

やったことは、測るものを1つだけ差し替えることです。

新しく置いたのは、訪問1件を記録し終えるまでに、ヘルパーが画面を触る回数です。

選んだ理由は単純で、画面を触る回数なら僕の会社の開発担当者が翌週の改修で減らせるからです。入力欄を減らす。初期値を先に入れておく。順番を入れ替える。回数が減れば、ヘルパーが紙の記録票を使う理由もなくなります。

最初に測ったとき、送迎のある訪問は平均11回でした。送迎の無い訪問は4回です。ここで初めて、なぜ送迎の分だけ紙で出てくるのかの説明がつきました。

⑥ あとで知った ── 動かせる入力に、すでに名前がありました

「あとで知った ── 動かせる入力に、すでに名前がありました」を図解したスライド|しばらくして、2009年にAmazonが出した株主への手紙を読み、手が止まりました

しばらくして、2009年にAmazonが出した株主への手紙を読み、手が止まりました。

そこには、次のように書いてあります。「Senior leaders that are new to Amazon are often surprised by how little time we spend discussing actual financial results or debating projected financial outputs」。財務の結果を議論する時間の短さに、新しく来た幹部が驚く、という意味です。

続けて、理由が置かれています。「focusing our energy on the controllable inputs to our business is the most effective way to maximize financial outputs over time」。ここでいう入力(controllable inputs)とは、作り手が直接変えられる行動や工程のことです。自分で動かせる入力に力を注ぐことが、財務の結果を最大にする最も効く道だ、と言い切っています。

「自分で動かせる入力に力を注ぐ」という方針が本気かどうかは、同じ手紙の中で確かめられます。2010年に向けて社内に置いた目標は452件あり、そのうち360件は顧客の体験に直接効くものでした。そして「net income, gross profit or margin, and operating profit are not used once」と添えられています。利益を指す語は、452件のどこにも1度も出てきません。

もう1つ、Amazonが作り手の動かせる入力を選び間違えた記録も残っています。元幹部のColin BryarとBill Carrが書いた『Working Backwards』です。品揃えを増やすために最初に置いた指標は、「新しく作った商品ページの数」でした。各チームは誰も買わない商品を大量に足し、ページ数は増えたのに、売上は動きません。

指標はその後、ページの閲覧数、閲覧のうち在庫があった割合、そして「在庫があって2日で届く割合」へと作り替えられています。動かせる入力なら何でもいいわけではなく、顧客が商品を閲覧して受け取るまでの過程に沿った指標へ置き直した、ということです。

新しい理屈は、ひとつも要りませんでした。

⑦ 変えてみて、何が良くなって、何を失ったか

「変えてみて、何が良くなって、何を失ったか」を図解したスライド|測るものを作り手が動かせる入力に移してから、事業所の手元で変わったことがあります

測るものを作り手が動かせる入力に移してから、事業所の手元で変わったことがあります。

送迎のある訪問の操作回数が、11回から5回になりました。入力欄を2つ消し、送迎の時刻を予定表から先に埋めておいただけです。紙の記録票は、月に60枚ほど出ていたのが3枚まで減りました。事務の2名が打ち直しに使う日数は、4日から2日になっています。

ただ、代償があります。3件書いておきます。

1件目。役員会で「で、売上はどうなっているの」と聞かれて、その場で答えられなくなりました。 操作回数を売上に換算できないので、なぜこの数字を見ているのかの説明から毎回やり直しになります。

2件目。作り手が動かせる入力を測る指標も、選び間違えます。 操作回数だけを追った月に、内容の不備で請求を戻される差し戻しが3件出ました。回数を減らすために隠した欄が、請求に要る項目だったからです。誰も買わない商品ページを増やして売上が動かなかったのと、形は同じです。だから、到達率のような結果の数字も捨てずに、月に一度だけ見る位置へ下げています。

3件目。6か月ぶんの到達率の記録が、比べられない数字になりました。 到達と見なす画面の表を書き直した時点で、書き直す前の月とは連続しなくなったからです。先にこの順番で始めていれば、払わずに済んだ代償でした。

⑧ 現場で置くなら、この3つの問い

「現場で置くなら、この3つの問い」を図解したスライド|新規事業のKPIを決めるとき、手元で使っているのはこの3つの問いだけです

新規事業のKPIを決めるとき、手元で使っているのはこの3つの問いだけです。

1. 来週、作り手の手で動かせるか。動かせるなら、KPIに置きます。動かせないなら、月に一度だけ見る位置に下げます。

2. 主力の商材が、その数字に載るか。載るなら、そのまま置きます。載らないなら、載る形に直してから置きます。

3. 成立の判定が、人の手で並べた表に頼っていないか。頼っていないなら、そのまま置けます。頼っているなら、毎月、その表を読み直す手順をセットにします。

3つのうち、いちばん効くのは2つ目の「主力の商材が、その数字に載るか」です。主力の商材ほど工程が長く、成立の判定から漏れます。 しかも、漏れていることは指標の数字からは見えません。その指標の数字は上がり続けるからです。

この見方は、扱っているものには依存しません。訪問でも、出荷でも、契約でも同じです。数えやすい工程から先に指標へ入り、いちばん売っているものが最後に残ります。

⑨ この置き方が効き続ける理由

「この置き方が効き続ける理由」を図解したスライド|売上や件数を決めるのは買う人です

売上や件数を決めるのは買う人です。アプリの開発担当者が翌週の改修で動かすことはできません。

新規事業の初期は、売上や件数を決める買い手がまだ少なすぎます。数字が動いても、改善のために打った施策が効いたのか、たまたま大口が1件入っただけなのかを読めません。だから結果の数字は、来週の判断の材料になりません。

一方で、操作の回数や工程の長さは、作り手が来週の手で変えられます。変えたら翌週に数字が動くので、効いたかどうかを読めます。KPIは、事業の成績表ではなく、来週の判断を変えるための道具です。

2009年の手紙が2026年になっても読まれているのは、動かせる入力を先に見る、というこの順番のためだと思っています。景気にも、事業の形にも依存しません。

新規事業で、どこまで確かめてから作り始めるかの設計は、新規事業コンサル・MVP/PoCのページに整理しています。PoCとは、本格開発の前に小さく試す検証のことです。置いたKPIが半年動いていない事業があれば、こちらからご相談ください。

体重計は、いまも朝いちばんに乗っています。

ただ、トイレに行ってから乗ると200グラム軽いことに気づいてしまい、その順番だけは半年間、一度も崩していません。

以上です。

新規事業KPIのよくある質問

新規事業のKPIには何を設定すればよいですか?

作り手が来週の手で直接動かせる入力の数字を設定します。この記事の事例では、請求まで届いた率から、訪問1件を記録し終えるまでにヘルパーが画面を触る回数へ変更しました。操作回数なら、入力欄を減らす、初期値を入れる、画面の順番を変えるといった施策で減らせます。KPIは事業の成績表ではなく、来週の判断を変えるための道具として置きます。

新規事業のKPIに売上や件数を置かないほうがよいのはなぜですか?

売上や件数は結果の数字であり、作り手が来週の手で直接動かせないためです。新規事業の初期は数字が小さく、施策が効いたのか、大口が偶然1件入っただけなのかを読み分けられません。結果を毎週測るには代わりの成立判定が必要になり、数えやすい工程だけが先に指標へ入りやすくなります。その結果、数字は上がっても、検証や現場の改善が止まることがあります。

請求まで届いた率をKPIにした事例では、何が問題になりましたか?

到達率は最初の3か月で31%から58%へ上がり、6か月後には64%になりました。しかし紙の記録票は減らず、事務の2名が打ち直しに使う日数も4日のままでした。到達と見なす表には全44画面のうち10種類しか載っておらず、送迎にかかわる7画面は1つも含まれていませんでした。さらに、紙を使わなかったか確認する画面も作られておらず、主力の送迎と紙の利用実態が指標から漏れていました。

新規事業のKPIを決めるときは、何を確認すればよいですか?

確認するのは、来週に作り手の手で動かせるか、主力の商材が数字に載るか、成立の判定が人の手で並べた表に頼っていないかの3点です。来週動かせない数字は、KPIではなく月に一度見る位置へ下げます。主力の商材が載らない場合は、載る形に直してから指標にします。成立判定を人手の表に頼る場合は、その表を毎月読み直します。

KPIを操作回数に変えて、どのような効果がありましたか?

送迎のある訪問の操作回数は、11回から5回になりました。入力欄を2つ消し、送迎時刻を予定表から先に埋めたことで減らしています。紙の記録票は月約60枚から3枚へ減り、事務の2名が打ち直しに使う日数も4日から2日になりました。操作回数を測ったことで、送迎だけ紙に戻っていた理由も説明できるようになりました。

KPIを入力の指標に変えたら、売上など結果の数字は見なくてよいですか?

結果の数字も捨てず、毎週見るKPIから月に一度見る位置へ下げます。入力の指標も選び間違えることがあり、この記事では操作回数を減らすために必要な欄を隠し、請求の差し戻しが3件出ました。また操作回数は売上の言葉に翻訳されていないため、役員会では、なぜその数字を見るのかを説明する必要があります。入力の数字で毎週の改善を判断し、結果の数字で選んだ入力が正しかったかを確かめます。

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