生成AI利用に地域格差はあるか?2万人調査を地域別に初集計【探索的分析】

「生成AI利用の地域差: 新規事業関与者の週1回以上利用は関東68.8%・関東以外62.3%、関与率の入口はほぼ同水準(株式会社ARCHECO 2万人調査・主要9都道府県の追加分析)」
生成AIの週1回以上利用率は関東68.8%・関東以外62.3%——新規事業への関与率は地域でほぼ同水準(株式会社ARCHECO 2万人調査・関与者4,794名)

「地方の企業は生成AIの活用で遅れている」——この通説は、データで確かめられたものなのでしょうか。株式会社ARCHECOが会社員・経営層20,000人に実施した「新規事業の生成AI利用 2万人実態調査」から、主要9都道府県(3大都市圏の7都府県と北海道・福岡)について、これまで未集計だった地域別の数字を初めて取り出しました。地域別の内訳まで開示された一次データは、私たちが把握する範囲では多くありません。

新規事業に関与している人の割合——いわば入口の広さは、関東24.2%・関東以外23.6%とほぼ同水準で、最も高いのは北海道の26.1%でした。差が表れたのはその先、関与者が生成AIを使う頻度のほうです。週1回以上の利用は関東68.8%に対し関東以外62.3%(+6.5pt)と開きます。ただし観察された差は業種・企業規模の構成の違いとも重なります。「地域そのものの格差」があるとまでは、このデータからは言えません。地域別の集計は事前設計にない探索的分析です。主要9都道府県を対象に、集計した表をすべて公開します。

要点サマリー

  • 関与率(入口)は関東24.2%・関東以外23.6%とほぼ同水準。差が出るのは利用強度で、週1回以上は関東68.8% vs 関東以外62.3%(+6.5pt)、ほぼ毎日は35.6% vs 30.1%(+5.5pt)——関東の牽引役は東京(週1以上72.4%・ほぼ毎日40.4%)
  • 新規事業への関与率は全体24.0%(20,000人中4,794人)。地方ブロック間の幅は20.6%(中部=愛知のみ)〜26.1%と小さく、最も高いのは北海道
  • 関与者が生成AIを週1回以上使う割合は全体66.4%。ブロック間は59.4%(北海道)〜68.8%(関東)——入口より、使う頻度のほうに差が表れる
  • 3大都市圏とそれ以外の2区分でも形は同じ。関与率は3大都市圏以外(北海道・福岡)25.3%・3大都市圏23.8%と、3大都市圏以外の側がわずかに高く、週1回以上利用率は3大都市圏67.1%・3大都市圏以外60.7%
  • ただしブロック間では回答者の業種・規模の構成が大きく異なる(例: 中部は製造業43.4%、北海道は299名以下の企業が59.7%)。頻度の差はこの構成差と重なり、地域固有の差とは切り分けられない

引用・転載について

本記事の数値・表は、出典を明記のうえ、報道・記事・SNS・社内資料などに自由にご利用いただけます(事前連絡不要)。出典表記は以下をコピーしてお使いください。

出典: 株式会社ARCHECO「新規事業の生成AI利用 2万人実態調査」(2026年・n=20,000)https://archeco.co.jp/ai-startup/report/ai-shintou-20000-2026/

引用の文例: 「株式会社ARCHECOが会社員・経営層20,000人に行った『新規事業の生成AI利用 2万人実態調査』の地域別集計(主要9都道府県・探索的分析)によると、新規事業への関与率は地方ブロック間で20.6%〜26.1%であり、最も高いのは北海道だった。」——このままお使いいただけます。

調査概要

調査名新規事業の生成AI利用 2万人実態調査
調査対象全国の25〜69歳の会社員(正社員)・経営者/役員
有効回答20,000名
調査方法インターネット調査(Freeasy利用)
調査期間2026年8月17日〜19日
調査主体株式会社ARCHECO

本記事の地域別集計の対象: 回収のあった主要9都道府県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・京都府・愛知県・北海道・福岡県)です。

本ページの数値はすべて回答者本人の回答に基づく実測値です(企業の公式な導入率ではなく、個人の回答の集計)。回答者は自主参加型のオンラインパネルで、役職構成は管理職層が厚め(課長クラス以上38.2%)です。用語は次のとおり定義します。「関与」=直近3年に新規事業へ責任者またはメンバーとして関与、「責任者」=そのうち責任者としての関与、「週1以上」=生成AIを週1回以上利用(「ほぼ毎日」を含む)、「ほぼ毎日」=生成AIをほぼ毎日利用。

地域別集計の内訳と読み方: 対象9都道府県の回答者数は、東京5,441人・神奈川3,140人・大阪2,577人・愛知2,240人・埼玉2,174人・千葉1,806人・北海道1,064人・福岡917人・京都641人です。本記事の「地方ブロック」は、この9都道府県の回答をブロック区分に沿って集計したもの——北海道=北海道、関東=埼玉・千葉・東京・神奈川、中部=愛知のみ、近畿=京都・大阪、九州・沖縄=福岡のみ——であり、各ブロックの代表値ではありません

結果1: 関東 vs 関東以外——入口の関与率はほぼ同水準、差は利用強度(週1以上68.8% vs 62.3%)

最も分かりやすい対比として、関東(東京・神奈川・埼玉・千葉)と関東以外の5道府県(大阪・京都・愛知・北海道・福岡)の2区分から見ます。新規事業への関与率——入口の広さは、関東24.2%に対し関東以外23.6%とほぼ同水準です。差が出るのは関与者の利用強度のほうで、週1回以上は関東68.8%に対し関東以外62.3%(+6.5pt)、ほぼ毎日は関東35.6%に対し関東以外30.1%(+5.5pt)でした。

区分回答者n関与者n関与率週1以上n週1以上率(関与者内)ほぼ毎日nほぼ毎日率(関与者内)
関東(東京・神奈川・埼玉・千葉)12,5613,03924.2%2,09168.8%1,08135.6%
関東以外(大阪・京都・愛知・北海道・福岡)7,4391,75523.6%1,09362.3%52830.1%

エリアを5つに分けて見ても、関与率(入口)は20.6%〜26.1%の幅に収まり、最も高いのは北海道の26.1%。週1回以上の利用率は関東の68.8%が最も高い分布です。関東の内側では東京が牽引しており、週1回以上72.4%・ほぼ毎日40.4%でした(都道府県別の詳細は後述の参考表)。

エリア回答者n関与者n関与率週1以上率(関与者内)ほぼ毎日率(関与者内)
関東(1都3県)12,5613,03924.2%68.8%35.6%
関西(大阪・京都)3,21879224.6%61.1%31.1%
愛知2,24046220.6%66.0%30.7%
北海道1,06427826.1%59.4%29.5%
福岡91722324.3%62.3%26.0%

結果2: 新規事業への関与率——ブロック間の幅は20.6%〜26.1%、最も高いのは北海道

ここからは地方ブロック別に見ていきます。最初は「入口」——新規事業に関与している人の割合です。全体では20,000人のうち4,794人、24.0%。地方ブロック別で最も高いのは北海道の26.1%、最も低いのは中部(愛知のみ)の20.6%でした。関東24.2%、近畿24.6%、九州・沖縄24.3%は、いずれも全体の24.0%のすぐ近くに並びます。責任者としての関与率も8.2%〜10.5%に収まりました。少なくとも本記事が対象とする主要9都道府県の範囲では、「地方では新規事業の入口が狭い」という分布は見当たりません。

地方ブロック(対象の都道府県)回答者n関与者n関与率うち責任者n責任者関与率
北海道1,06427826.1%1029.6%
関東(埼玉・千葉・東京・神奈川)12,5613,03924.2%1,32510.5%
中部(愛知のみ)2,24046220.6%1838.2%
近畿(京都・大阪)3,21879224.6%3129.7%
九州・沖縄(福岡のみ)91722324.3%9410.3%
全体20,0004,79424.0%2,01610.1%

結果3: 差が表れたのは使う頻度——週1回以上は関東68.8%、北海道59.4%

次は、その入口を通った人——関与者4,794人が生成AIをどれくらいの頻度で使っているかです。全体では週1回以上が66.4%(3,184人)、ほぼ毎日が33.6%(1,609人)。ブロック別に見ると、週1回以上は関東の68.8%が最も高く、北海道の59.4%が最も低い。ほぼ毎日も関東35.6%が最も高く、九州・沖縄(福岡のみ)の26.0%が最も低い分布でした。入口ではブロック間の幅が小さかったのに対し、頻度側には相対的に差が表れる。入口の差は小さく、頻度に差が表れる——これが地域の列からみえた第一の観察です。

地方ブロック関与者n週1以上n週1以上率ほぼ毎日nほぼ毎日率
北海道27816559.4%8229.5%
関東(埼玉・千葉・東京・神奈川)3,0392,09168.8%1,08135.6%
中部(愛知のみ)46230566.0%14230.7%
近畿(京都・大阪)79248461.1%24631.1%
九州・沖縄(福岡のみ)22313962.3%5826.0%
全体4,7943,18466.4%1,60933.6%

結果4: 3大都市圏とそれ以外の2区分でも同じ形——入口は3大都市圏以外25.3%、頻度は3大都市圏67.1%

「都市 vs 地方」という通説の構図に近づけるため、埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪の7都府県を3大都市圏、北海道・福岡を「3大都市圏以外」とする2区分でも集計しました(本記事の「3大都市圏以外」は北海道・福岡の2道県で、一般的な「地方」像を代表しません)。

関与率は3大都市圏23.8%に対し3大都市圏以外(北海道・福岡)25.3%と、むしろ3大都市圏以外の側がわずかに高く出ました。一方、関与者の週1回以上利用率は3大都市圏67.1%に対し3大都市圏以外60.7%、ほぼ毎日は34.2%に対し27.9%。頻度側は3大都市圏が高い分布です。ブロック別と同じく、「入口の差は小さく、頻度に差が表れる」という二段の形が、この2区分でも観察されました。

区分回答者n関与者n関与率週1以上n週1以上率(関与者内)ほぼ毎日nほぼ毎日率(関与者内)
3大都市圏(7都府県)18,0194,29323.8%2,88067.1%1,46934.2%
3大都市圏以外(北海道・福岡)1,98150125.3%30460.7%14027.9%

結果5: その差は「地域の差」なのか——業種・規模の構成と重なっている

では、頻度側の差を「地域の差」と呼んでよいのでしょうか。ここで確かめるべきは、各ブロックに集まった回答者の顔ぶれ——業種と企業規模の構成です。業種構成(上位3業種)を並べると、中部(愛知のみ)は製造業が43.4%と突出。北海道は建設業15.6%と製造業15.6%が並びます。上位3業種に情報通信業(12.2%)が入るのは、関東だけでした。

地方ブロック回答者n1位2位3位
北海道1,064建設業 166人(15.6%)製造業 166人(15.6%)サービス業 139人(13.1%)
関東12,561製造業 2,898人(23.1%)サービス業 1,755人(14.0%)情報通信業 1,537人(12.2%)
中部(愛知のみ)2,240製造業 972人(43.4%)商社・卸売り・小売業 197人(8.8%)サービス業 190人(8.5%)
近畿(京都・大阪)3,218製造業 942人(29.3%)商社・卸売り・小売業 379人(11.8%)サービス業 359人(11.2%)
九州・沖縄(福岡のみ)917製造業 183人(20.0%)商社・卸売り・小売業 108人(11.8%)医療・福祉 104人(11.3%)
全体20,000製造業 5,161人(25.8%)サービス業 2,545人(12.7%)商社・卸売り・小売業 2,036人(10.2%)

※業種構成の分母は各ブロックの全回答者です。

企業規模の構成も大きく異なります。299名以下の割合は北海道が59.7%と最も厚く、関東は41.6%。逆に1,000名以上は関東が40.9%と最も厚く、北海道は22.3%でした。

地方ブロック回答者n299名以下300〜999名1,000名以上
北海道1,064635人(59.7%)192人(18.0%)237人(22.3%)
関東12,5615,226人(41.6%)2,200人(17.5%)5,135人(40.9%)
中部(愛知のみ)2,240979人(43.7%)363人(16.2%)898人(40.1%)
近畿(京都・大阪)3,2181,568人(48.7%)519人(16.1%)1,131人(35.1%)
九州・沖縄(福岡のみ)917431人(47.0%)159人(17.3%)327人(35.7%)
全体20,0008,839人(44.2%)3,433人(17.2%)7,728人(38.6%)

そして規模別に見ると、関与率の分布は平坦ではありません。第1回レポート本編で「入口は中堅、使い込みは大企業」として報告したとおり、規模別の関与率は300〜999名の30.4%をピークとする中膨れの形です。

従業員規模回答者n関与者n関与率
49名以下4,36684119.3%
50〜299名4,4731,09724.5%
300〜999名3,4331,04230.4%
1,000〜4,999名3,59091925.6%
5,000名以上4,13889521.6%

ブロック間でみえた差は、こうした業種・規模の構成の違いと重なって観察されています。週1回以上利用率が最も高い関東は、1,000名以上の構成が最も厚いブロックであり、上位3業種に情報通信業が入る唯一のブロックでもあります。ただし、構成だけできれいに説明が揃うわけでもありません。北海道は299名以下が59.7%と最も厚い構成でありながら、関与率は26.1%と全ブロックで最も高いのです。どこまでが業種・規模の構成の違いで、どこからが地域固有の違いなのかは、本データからは切り分けられません。因果関係も特定できません。ここで示せるのは、「地域差として見えているものは、構成の違いと重なっている」という観察までです。

参考: 都道府県別の一覧(主要9都道府県・n併記)

地域別集計の対象である主要9都道府県の一覧です(都道府県単位はブロックよりnが小さい参考値です)。関与率・週1回以上利用率とも最も高いのは東京都(26.9%・72.4%)。目を引くのは、同じ関東の内側でも関与率が埼玉県21.2%〜東京都26.9%と開き、ブロック間の幅(20.6%〜26.1%)と同水準だったことです。「地域差」はブロックの間だけでなく、同じブロックの内側にもある——これも、要因までは特定できない観察です。

都道府県地方ブロック回答者n関与者n関与率週1以上率(関与者内)
北海道北海道1,06427826.1%59.4%
埼玉県関東2,17446121.2%65.1%
千葉県関東1,80638721.4%62.8%
東京都関東5,4411,46626.9%72.4%
神奈川県関東3,14072523.1%67.0%
愛知県中部2,24046220.6%66.0%
京都府近畿64114923.2%60.4%
大阪府近畿2,57764325.0%61.3%
福岡県九州・沖縄91722324.3%62.3%

このデータから言えること・言えないこと

言えること(分布の観察):

  • 地域別集計の対象範囲(主要9都道府県)では、新規事業への関与率のブロック間の幅は小さく(20.6%〜26.1%)、最も高いのは北海道だった
  • 関与者の利用頻度(週1以上・ほぼ毎日)は、関東・3大都市圏側が高い分布だった
  • ブロック間では業種・規模の構成が大きく異なり、頻度の差はこの構成差と重なって観察された

言えないこと:

  • 「地方は遅れている/進んでいる」という優劣の断定(本記事は分布の記述のみ)
  • 差の原因が地域にあるという因果(業種・規模構成との重なりを分離できず、因果は特定できない)
  • 主要9都道府県以外の地域の状況(本記事の地域別集計の対象外)
  • 企業としての生成AI導入率(本調査は個人の回答の集計)

本記事の表を自社や取材対象に当てはめるときは、地域の行だけを見ないことをおすすめします。同じ「地方」でも、業種や規模の構成が同じとは限らず、本記事で観察された差もこうした構成の違いと重なっていたからです。ここで観察された「入口の差は小さく、頻度に差が表れる」「差は構成と重なる」という2点は、地域を含めて設計した調査データが揃った時点で、あらためて検証されるべき仮説だと考えています。

よくある質問

地方の中小企業は生成AIの活用で遅れているのですか?

本調査のデータからは、そうした優劣は断定できません。新規事業への関与率は地方ブロック間で20.6%〜26.1%と幅が小さく、最も高いのは北海道でした。関与者の週1回以上利用率は3大都市圏側が高い分布ですが、業種・規模構成の違いと重なり、地域そのものの差とは切り分けられません。なお、本記事の地域別集計は主要9都道府県が対象で、3大都市圏以外の集計は北海道・福岡の回答に基づきます。

生成AI利用率の都道府県別データはありますか?

本ページで、地域別集計の対象である主要9都道府県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・京都府・愛知県・北海道・福岡県)それぞれについて、新規事業への関与率と生成AIの週1回以上利用率の参考表(n併記)を公開しています。

この記事の地域別集計はどの地域が対象ですか?

地域別集計の対象は、回収のあった主要9都道府県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・京都府・愛知県・北海道・福岡県)です。地方ブロック別の表は、この9都道府県を北海道、関東(埼玉・千葉・東京・神奈川)、中部(愛知)、近畿(京都・大阪)、九州・沖縄(福岡)に区分して集計したものです。対象外の地域の状況は、本調査のデータからは分かりません。

この調査を根拠に「生成AIの地域格差がある」と書いてよいですか?

本記事が示せるのは、利用頻度などの分布に地域差が観察されたという状態の記述までです。差の一部は業種・規模構成と重なり、原因が地域にあるのか(因果)は特定できません。「格差」という言葉が含意する構造的な優劣・不利までは、本データからは言えません。

この記事の数値や表は引用・転載できますか?

はい。出典(株式会社ARCHECO「新規事業の生成AI利用 2万人実態調査」(2026年・n=20,000))を明記のうえ、報道・記事・SNS・社内資料などに事前連絡不要でご利用いただけます。

本記事の元になった調査の全データ(役職・年齢・企業規模・業種別)は、第1回「新規事業の生成AI利用 2万人実態調査」本編で設問別に公開しています。未公開クロス集計・取材の窓口は本編ページ末尾にあります。調査シリーズの一覧は調査レポートハブをご覧ください。