前回の記事はこちら ⇒【この文字をクリック!!】
〜前回までのあらすじ〜
天才すぎる高校生、三宅君の「アプリのデザインを良くして下さい!」という申し出を受け、
おもむろに口を開いた、代表の須斎。
ついに今、鬼が動く!!! 白熱の連載3回目です!
須斎「三宅さん、申し訳ありませんが、デザインの改良だけをお受けすることはできません。」
三宅「なんでですか?!」
須斎「三宅さんは、このアプリが売れないのは、表面的なデザインに問題があるとお考えのようですが、
それさえ良くなれば、お店はアプリを導入するでしょうか?」
三宅「そう思います!特に、会計が混雑して困っているお店には、売れると思いますけど!
さっきのカスタマージャーニーやビジネスモデルキャンバスで、具体的な運用の流れも考えましたし。」
須斎「三宅さんが描いた流れはこうでしたね。
・アプリを使うことで、グループでの会計時間が短縮される。
→お店は、業務効率を改善できる!
(集団客も、積極的にお店を再訪するようになる)
→メリットがあるので、お店はアプリを導入する!〔収益は、お店のアプリ利用料〕
確かに、この流れに沿ってイメージすれば、一見うまくいくように思えます。
・・・でも、これで業務効率が改善されるとアピールしたとしても、
お店側はお金を出しませんよ。」
三宅「えっ、どうしてですか!!」
須斎「【業務効率の改善】をもたらす代わりに【アプリの利用料】を払って欲しいという提案は、
クライアント(お店)からすると、費用対効果の観点から検討することができます。
須斎「ですが、クライアントが気にするポイントは、実は費用対効果だけじゃないんですよ。
サービスの購入を検討する時、クライアントの心の中では、二つの感情がせめぎ合っています。
それは、期待と不安です。
【費用↔︎効果】は、お金などの数字に換算できる、物理的な判断基準。
それに対して【不安↔︎期待】は、クライアントの心理的な判断基準です。」
須斎「大切な会社のお金を出すクライアント側からすると、
いくら提案されたサービスの費用対効果が優れていても
『実際に、この通り上手くいくのだろうか・・・?』と、心理的に不安を感じるものです。
提案する側はこのことを理解して、不安より期待が上回る状態にクライアントを導かねばなりません。
それには、何が必要だと思いますか?
三宅「うーん・・・。考えたサービスのプランについて、なるべく丁寧に説明するとかですかね?」
須斎「甘いですね。いくら説明が丁寧でも、それは三宅さんが頭の中で組み立てたイメージですよね。
必要なのはもっと確かなもの、【過去の成功事例】や【ブランド力】などです!」
須斎「今回のアプリにはまだ成功事例がなく、さらに三宅さん個人が手掛けるので、社会的ブランド力もありません。
クライアントはやはり不安なので、うまくいっても『利益が出た場合だけ費用を払う」という成功報酬型のコミットになります。
そうなると自己資金でビジネスを軌道に乗せねばならず、三宅さんに十分な資金力がなければ、ちょっと大変じゃないですか?」
三宅「そうですね、僕個人にそんなにお金はありません。
サービスの中身さえよければ、お店もお金を出してくれると思ってましたけど、
クライアントの心理なんて考えもしませんでした・・・。」
三宅「それじゃ結局、僕みたいな無名の個人は、諦めるしかないんですか?」
須斎「いいえ、今回のような新規事業で、大きな成功事例やブランド力がない場合も、出来ることはありますよ!3つご紹介しましょう。」
- ①【テスト環境で小さな成功事例を作る】
須斎「このアプリを、最初から大手ファミレスに導入してもらうことは難しくても、
三宅さんの知り合いの飲食店にお願いして、1週間だけ使ってもらうことなら出来るかもしれませんよね?
『◯◯というお店でアプリを導入したら、バイトの作業量が一人分減りました!』
といった実績があるだけでも、聞き手の印象はずいぶん変わります。」
- ②【アプリにユーザー数をつける】
須斎「あらかじめアプリにユーザー数(フォロワー)をつけておくことで、クライアントにとっての潜在ユーザーを提示し、期待感を高める方法です。
最近ではメンバー同士でネット送金が出来る割り勘アプリが人気ですが、これも実店舗に導入されるまでに、多数のユーザーがついていました。
三宅さんのアプリも、いきなり店舗に売り込もうとせず、ユーザーの獲得から目指すといいかもしれません。」
三宅「けど僕みたいな個人が、どうやってアプリの存在を宣伝したらいいんでしょう?」
須斉「今の時代は個人でも、SNSで情報を拡散したり、専用のLP(ランディングページ)だって立ち上げたり出来ます。
企業並の広告力が無くても、工夫次第で多くの人に情報をリーチさせられますよ。
まずは金銭的にもリスクのない、気軽なものから徐々に初めてみることがオススメですね。」
- ③【デザインの力】
須斎「さて、最後の3つ目ですが・・・。
先ほど「アプリのデザインを良くして欲しい」という三宅さんのご依頼をお断りしてしまいましたが、
誤解しないで欲しいのは、デザインの改良それ自体には、大きな価値があります!
スタートアップ企業でも、デザイン性の高いモックアップを作って投資を受けるケースは多いですしね。」
三宅「じゃあ、なんで今回は駄目なんですか?!
デザインにそれだけパワーがあるなら、僕のアプリもお願いします!」
須斉「ただ、いいですか・・・?今からすごく重要なことを言いますよ。
デザインが価値を発揮するには、条件があります。
それは、【根本のサービス設計が正しいこと】です。
どれほどデザインが素晴らしくても、その基礎となるサービスの設計自体に間違いやズレがあれば、
意図しただけの効果やインパクトをユーザーに与えることは出来ません。
優れたデザインとは、優れたサービス設計の上に成り立つものなんですよ。」
三宅「うむむ・・・。確かに、デザインって見た目のことというか、表側を作ることだって思っていました。根本的な設計が、デザインする上でもそれほど重要なんだとは・・・。
三宅「だけど、今回の僕のアプリは、デザインの改良だけで問題ないです!」
僕が、設計の部分をしっかり考えましたから!」
須斉「問題が・・・な、い、だ、と・・・?」
ふんぬーーーーーー!!!!!」
三宅「!?」
kim「こっこれが、鬼の、最終、、形、態?!!!
(※ すっかり出番がありませんが、隅っこに存在しています広報kimです。)
三宅君、逃げてええええええ!!!!!」