こんにちは、Archeco学生インターンの湯原です!
前回の「ワークショップ編」では、
DePaul大学の学生たちが AIツールを使いこなしながらUX/UIデザインに挑戦した様子をお届けしました。
ツールをどう使いこなすか、人の手で何を補うか、
デザインの「つくる部分」を一緒に体験した私たち。
でも、それだけでは終わりません。
「AIの登場でこれからのUX/UIデザイナーって、どう変わっていくんだろう?」
最後はそんな 未来のデザイナー像 をみんなで考える、
ディスカッションタイムがスタートしました。

AIに対して、どう向き合う?

まず話題になったのは、AIそのものに対する印象や課題意識。
私が一番驚いたのは、学生たちの多くが
「環境問題」や「社会課題」にまで意識を広げていた ことです。

「AIは便利だけど、その電力消費やサーバー維持にかかるエネルギーって、地球に優しいの?」
そんな問いかけが出てきた瞬間、
「あ、彼らはツールじゃなくその背景までちゃんと見ているんだ」と
カルチャーショックを受けました。

日本の学生だと、
「AIってズルい?正しい?」「仕事がなくなるの怖いよね?」
みたいな“倫理や道徳”の話題が先に出ることが多い気がしますが、
DePaulの学生たちはもっと システム全体の影響 に視野が広がっていたんです。

一方で、教授陣もAIとの向き合い方には慎重な姿勢でした。
ある教授はこう話していました:
「正直、私も今回のワークショップで初めてUIZARDを知ったんだよ。
便利な世の中になったけれど、学生たちには、
『なぜこのツールを使うのか?』『どこまで頼るべきなのか?』
を自分の頭で考えられる人になってほしい。」

また別の先生は、
「便利さに流されて、基礎的な観察力や手を動かす力が失われるのが怖いね。
まず“自分で考える”こと。それが何より大事なんだ。」

私はこの意見にすごく共感しました。
AIを使うこと自体は悪くない。
でも、それが「考えること」をサボる理由になってはいけない。

この道具に振り回されない姿勢は、デザイナーだけじゃなく
これから社会で働く誰にとっても大切だと感じました。

デザイナーの仕事は、AIに奪われるのか?

この問いには、意外にも悲観的な声は少なく、
むしろ「人間の役割はなくならない」という前向きな声が多かった のが印象的でした。

ある学生はこう言っていました:
「AIは正解を早く見つけるのは得意だけど、問いを立てることはできないと思う。
デザインって答えを出すことじゃなく、何が課題か?を考えることだと思うから、
そこは人間の仕事だよね。」

また別の学生は、
「考え込んで、行き詰まって、悩む。その時間があるから、愛着が湧くし、
その先に自分にしか作れないデザインが生まれるんだと思う。」

この「悩むことに価値がある」という感覚、
私もすごくわかります。

一方で、もちろん冷静な意見も。
「作業の全部を人がやる必要はないと思う。
単純作業はAIに任せて、本当に大切な考える時間に集中した方がいいよね。」

こうした「効率化も必要、でも全部じゃない」というバランス感覚は、
学生らしいリアリティを感じました。

教授陣も、
「UX/UIデザイナーはこれからも必要。ただし、役割は変わる」
と語っていました。

「AIの登場で、手を動かすデザイナーは減っていくだろうけど、
課題を見つけ、体験を設計するデザイナーはむしろこれからもっと必要になる。」

この言葉には、デザインという仕事の 本質的な価値 が表れている気がしました。

ワークショップを通じて得たもの

学生たちにとって、このワークショップは
単なるAIツール体験ではなく、
「自分たちが今学んでいることが、現場でどう活きるのか?」 を知る場だったようです。

ある学生の感想がとても印象的でした。
「UXデザイナーが実際にどんな風に考え、作っているのかを知って、
大学での課題にもちゃんと意味があるんだと実感できた。
これからももっと頑張ろうと思った!」

また、AI活用についても、
「AIも正しく使えば便利だけど、全面的に頼るのはまだ抵抗がある。
地球環境や、社会的な影響も考えていかないといけないと思う。」
という慎重な声が多かったです。

先生方からも、
「学生たちにとって、企業の現場でリアルなプロセスを体験できたのは
キャリア形成にも大きな学びだったと思う。」

「日本のおもてなし文化に触れたことも、貴重な経験になったと思う。
軽食も喜んでいました(笑)」

と、温かいコメントをいただきました。

これからのUX/UIデザイナーとは?

ディスカッション全体を通して、
「AI時代でも、考える人間の役割はなくならない」
という共通の認識が見えてきました。

学生たちはこう語ります:
「デザインは“誰かの課題を解決する”ためにある。
そこに創造力や感性、人への共感が必要な限り、人の仕事はなくならない。」

「でも、自分がどこまでAIを使うかは、自分でちゃんと考えたい。
無意識に全部任せるのは違うと思う。」

先生たちも、
「AIはあくまでも道具。デザインは、人が“誰かのために”考える営みだから、
そこはこれからも人間の仕事として残り続ける。」

と、デザインの未来に希望を感じていました。

最後に

今回のディスカッションを通して改めて感じたのは、
「AIがあるからこうなる」じゃなく、
「AIがある時代に、自分たちはどう生きるのか?」 という
自分ごととして考えることの大切さです。

正直、私も普段は「AIって便利だな〜」で終わってしまうことが多いけれど、
今回の学生や先生たちの言葉を聞いて、
もっと 「どう使いこなすか?」 を考えないといけないと強く感じました。

未来のUX/UIデザイナーに求められるのは、
新しいツールをいち早く使いこなすスピードだけじゃなく、
その背景や影響まで考えて、価値ある体験を生み出す力 なのかもしれません。

学生も先生も、そして私たちも、
それぞれの視点から 未来のデザイナー像 を描けた、学び深い1日でした。