富士通様&ARCHECOで行なっているCARITE(ファッションシェアリングサービスプラットフォーム)の共同事業が2018年8月1日に外部向け実証実験段階として、三越伊勢丹様から第一弾リリースされました。

これを受けて、本プロジェクトを推進した富士通様側のリーダー山田修平様とARCHECO側のリーダー須斎祐紀でプロジェクトを振り返る形で対談を行ないました。今回は、その模様をシリーズで配信する第一弾となります。今回の対談ではこれから新規事業を起こそうとしている企業の担当者の方、新規事業立ち上げの相談を受けているUXプロダクションのディレクターの方には非常に興味深い話がたくさん聞けたと思います。必見です。

Topの複数の写真をみてお分かりのように、須齋も津崎も動き回るのでいい表情の時にピントが合わせられませんでした。この場をお借りして謝罪いたします。by OKT

モデレータ(津崎)
お二方、本日はお忙しい中お時間をいただきましてありがとうございます。

山田
とんでもないです。ARCHECOさんのためなら笑

モデレータ
まずはリリースおめでとうございます。

山田/須斎
ありがとうございます。

モデレータ
今日は、先日三越伊勢丹さんから外部向け実証実験としてリリースされましたCARITEプロジェクトについて、リリースまでの1年半を振り返る形でお二方からお話を聞かせていただきたいと思ってます。よろしくお願いします。

山田/須斎
よろしくお願いします。

モデレータ
それでは早速ですが、CARITEについてご存知ない方もいらっしゃるかと思いますので、具体的なサービス内容を教えてください。

須齋
まず一言で言うと、服を貸し出すサービスのプラットフォームです。
それで、服を貸すサービスなんですけど、プラットフォーム自体はどの部分がプラットフォームなのかと言うと、貸したい貸主さんがいて、それが例えば百貨店であったり、アパレルのメーカーさんであったり、それに対して服を借りたい人をマッチングする部分が我々のプラットフォームです。

山田
貸主さんの話で言うと二つの側面があると思っていて、一つはファッションのシェアリングにアパレル会社が容易に参画できるという側面。もう一つが、デジタル化に遅れているファッション業界が、彼らの強みである人であったり店頭といったところを活かして、デジタルでユーザーに繋ぐ、といった側面の大きく二つあるかな、と思っていて。

モデレータ
なるほど。プラットフォームとして、シェアリングに必要なシステムは用意されているので、参画する障壁が低いということですかね。店頭とユーザーをデジタルでつなぐというのは具体的にはどういうことですか?

山田
我々が考えているのは、やはりベースは店頭に来てもらいたいと。そこには長年培って来たアパレル企業の接客のノウハウとか、タッチポイントとしてもリアル店舗は欲しい。なので、まずは店頭接客を行い、そこからユーザーと遠隔でもデジタルでつながる方法を提供しています。

モデレータ
なるほど。プラットフォームとしてはシェアリング以上の課題解決も提供されているんですね。

山田/須斎
はい。

モデレータ
よくわかりました。では、ここからはプロジェクトを最初から振り返ってお伺いします。シェアリングプロジェクトが始まったきっかけというのを教えていただけますか。

山田
私が富士通の新規事業でやりたいと思ったところから始まっています。入社したときからずっと新しいサービスを起こしたいと思っていたんですけど、自分が入社した頃はFacebookとかiPhoneとか出て、僕が若い頃は日本のメーカーが世界で一番だという感じだったのが、徐々に海外勢がプラットフォームで攻めてきて世界を席巻していて、日本は技術力があるのにもったいないなあ、と思っていました。日本もそういうところに追いつきたいな、と富士通でそういったことをやりたいと思って入社したのがあります。

モデレータ
もともとプラットフォームをやりたいと思って富士通に入ったんですか?

山田
そうですね。端的にいってしまえばそういった話になりますね。ただ、それも世界と戦っていくのに、日本発のプラットフォームのサービスが必要なのかな、と。ただ、これから時流が変わったら違うことをやった方がいいのかもしれないなとは思いますけど、今のところそれはないのかな、と。
ただかれこれ8年くらい経ってしまって、元々営業やってたんですけど、そろそろ本当にやりたいことをやろうと思って異動して、でそれからプラットフォームのビジネスを何か考えたときに、今からSNSのFacebookと戦ってもなかなか勝てないだろうし、Amazonとかも難しいだろうし、って思った時に、世界的なトレンドを見たら、シェアリングエコノミーというのが広がりつつある。で、UberとかAirbnbとかは大きくなりすぎていたので、そこに参画しても勝てないと思って、ほかに何かあるかな、て思った時に、アメリカではrent the runwayというファッションのシェアリングのサービスが成功している、ファッション界のAmazonとか言われていて、翻って日本を見た時に、徐々にその芽は出つつあったけどもまだ広がってはいない、というところだったので、今からであればそこに投資すれば勝てるかもしれないというところが、最初にファッションシェアリングに目をつけた理由ですね。

モデレータ
それはいつぐらいの話ですか?

山田
それが16年の11月とか12月だったんですけど、まずは一人で調べ始めました。その時、業務は全然違ったんですけど、やっぱり新規事業をやりたいと思っていたんで、プライベートの時間を使って、ファッションのシェアリングエコノミーとかファッション業界とか小売業界とか調べていった時に、徐々にわかってきたのが、ファッションとか小売業界って全然デジタル化されていない。したくてもできない事情があって、それは売上規模的にそこまで投資ができないとか、あとは本業じゃないからそこまでテクノロジーの人材を確保できない、みたいなところが見えてきて、これは筋としてはファッションのシェアリングがうまく開けば、勝ち目があるんじゃないかな、と感じ始めました。ある程度、社内でプロジェクトの承認がおりそうになったので、それを一緒にやってくれるメンバーを探しました。

モデレータ
それでメンバーを外部の会社に求めたと…それでは富士通とARCHECOの最初の出会いっていうのはどのようなところから?

山田・須齋
茂谷さん無くしては ですね。

須齋
僕は1年間、大手キャリアに出向してたんですけど、そこでは数億円規模の開発を行っていて、最後は頓挫してしまったプロジェクト何ですけど。
そこでクライアント側のプロジェクトオーナーの茂谷さんとは一緒にプロジェクトをやっていて、でも今はもう企業に収まる人ではなかったので、まさに今月辞めちゃったんですけど、そういう破天荒な人が、何件かこれまで「ARCHECOと仕事したらすごくよかった」ということで、ARCHECOにお客さんをつないだりしてくれていて、こっちは無下に「いや結構です」とか、すごい断ったんですよ。それを山田さんに伝えたみたいで。

山田
そうですね。それも結構綱渡りで、僕も異動して新規事業やれるってなったんで、ただそれまではノウハウがなかったから、外部のセミナーとか勉強を受けに行ったんですよね、事業計画の作り方とか。そこで茂谷さんが生徒側で来てたんですよ。ビジネスモデルキャンパスを学ぶっていうのかな?初めて行ったんですけど、そこに茂谷さんがいて、8人くらいのワークショップで、たまたま二人一組で茂谷さんと一緒になって、最初なんかヤバイ人だな〜って思いながら話聞いてたんですけど、なんかお昼ご飯食べてたら、すごい今までやって来たことも経歴も面白くて、結果も残されてる人で、すごい熱心に話してくれました。多分そのときに、こんなことやりたいと思ってるんです。って話をしたら、すごい興味を持ってくれたのと、あとちょうど「アプリを一緒に作ってくれるデザイン会社を探してます。」っていう話しをしたら、「また相談してください」って言われたのが最初。で、実際にプロジェクトが始まる、チームを作るっていうタイミングで茂谷さんにFacebookで「お久しぶりです。デザイン会社できたら紹介してください!」って言って紹介していただいたうちの1つがARCHECOさんでした。

モデレータ
ということは複数社あったんですね。ちなみに他に挙げられた会社さんをお伺いしてもよろしいですか?

山田
他は…某老舗の有名デザインコンサル会社某○社と、もう一社は某スタートアップのデザインやって有名になった○社です。その三社を紹介していただいて…で実際茂谷さんに紹介してもらったのはARCHECOさんだけかな。T社とG社さんの方は富士通デザインでつながりがあったんでそこからアポイントとってました。

モデレータ
なるほど。その紹介された会社さんは全て周られたんですか?

山田
周りました。見積もりも出してもらって…

須齋
他も見た方がいいって言いましたもんね!

山田
いや言われてないですよ〜笑

モデレータ
で、その三社の中で、最終的になぜARCHECOだったんですか?

山田
ん〜、それは社長さんですかね〜社長の得体の知れなさ。笑
須齋さんには言ったと思うんですけど、T社さんとARCHECOさんとですごくどうしようか悩みました。G社さんは、うちは受託ですって言われて…僕が探していたのは、一緒にこの事業をチームとしてというか、一緒に作ってくれる人を探していて、それも条件として出していたんですよね。

須齋
それでちょっと記憶にあるのは、T社さんには元商社出身のビジネス専門の人ですみたいな人がいるって。それでビジネス専門っていうのがちょっと引っかかったんですよね。多分自分よりはできないだろうなって。それで、山田さんは「ARCHECOさんはビジネスできるんですか?」って。僕はまだ猫をかぶってたんですけど…それでもその時に「負けることはないと思いますよ。」って言って、「そういう時は自信ありそうにするんですね、ハハハー」って笑われてました。笑

山田
言ったかもしれない!多分それ2回目くらいだった気がする。

モデレータ
そんなことがあったんですね笑。で、結局なんでARCHECOになったんですか?

山田
すごい悩みましたよ。すごい悩んで、うーん…まあ面白そうだったからかな。

モデレータ
面白そうでした?笑。本当にそんな感じで?

山田
本当にそんな理由ですよ。
あのタイミングでいうと、確率でいうとT社さんの方が確度高いんだろうな、とは思ったけど、多分普通のサービスしかできなそうだな、って。サービスっていうか、富士通で求められている成功というのはT社さんの方が確度高いなって。

須齋
僕は最初から、スタートアップは普通じゃいけない、っていう話をした記憶があります。

モデレータ
じゃあ、普通のものは作りたくなかったから、ARCHECOに?

山田
そうですね。
異常…うーんと、innovativeなものですね。T社さんは優等生な感じなんですよね。オフィスも洗練されていて。ARCHECOさんはHPみて、なんか人相悪そうな人がいて、この人が出て来たらどうしようかと思ってたら、本当に出て来てびっくりしたとは伝えました。

モデレータ
まあ、マンションの一室は本当に大丈夫かってなりますよね。

山田
確かに、T社との対比というよりか、富士通って一応大きい企業なんで、発注する先ってある程度信用されているところじゃないとなかなか発注できないんで、それがこのマンションの一室のところに発注できるかな、っていうのは少しありましたね。
大工さんみたいな人いるし、出て行くって言ってるのに改装してるし…
でもそうですね、いつも須齋さんと言ってますけど、部活みたいに僕は仕事をしたいと思っていて、やっぱりT社さんはなんか品行方正?な感じだったんで…
本当に24時間365日フルコミットで喧々諤々とやりたいなと思ったから、それができるのはARCHECOさんだと判断したんだと思います。


<vol.2へ続く…>

プロフィール

山田 修平(やまだ しゅうへい)
富士通株式会社
共創イノベーション事業部 シェアリングサービス プロジェクトリーダー
1984年生まれ
2008年富士通入社。営業として主にクレジット業界のお客様を担当。2016年、社内異動制度に応募し、イノベーション企画の現職に着任。
2017年より、シェアリングサービスの事業企画を推進。三越伊勢丹との共創にて2018年8月 アパレルシェアリングサービス「CARITE」をリリース。
現在は、シェアリングサービス及びニューリテールの社会実装をミッションに企画、提案を推進。
経産省グローバルイノベーター育成プログラム「始動」3期生。

須斎祐紀  Yuki Susai
株式会社ARCHECO 取締役 ファウンダー
東京都立大学卒業後、株式会社富士通ゼネラルに入社しメカニカルエンジニアとして機構筐体設計に取り組む。
入社2年目に上海に渡り、富士通将軍上海で熱流体研究員兼ハードウェアエンジニアとして樹脂成形部品の20%コストカットを達成する。
2年間の駐在後、帰国し独立系コンサルファームで課長としてWEBサービスやアプリの企画/設計/開発に携わり、UX設計からUIデザインに落とし込むまでのデザインプロセス確立とUI設計・デザインを自ら担当。
2014年、アルチェコを創立し、大手キャリア/メーカー/IT企業の新規事業立ち上げを戦略・企画立案/要件定義/UX/UIデザイン/収益計画/営業プロセス確立に至るまで、全ての工程に深く携わり結果にコミットし続ける。
人間中心設計認定専門家、SFC研究員。